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悪役令嬢は何もしない。けれど叔父様は世界を変えてしまいました。  作者: VLS
私の知らない所で事態は急激に動き、私にはそれに応じた新しい役割が与えられる。
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冗談のような計画書。ちょっとしたお遊びのはずだったのに…

叔父様の巨大船舶を見送ってから早数日。

私はバルダー家にあるファルスティン家の一室で都市エルゼリアと、

都市ギネヴィアの建設状況を確認しながら途中経過の報告書に目を通して、

進捗状況の確認を細かくしていた。

本当は現地に行って確認する事が最も早いのであるが、

それは警備の状況的に許されないらしかった。


「出来ない事はありません。

ですが安全を確保すると言う意味で工事が数十日確実に、

止める事になりますが…

それでも宜しければ準備しますよ」


それがグラファイスの返答だったのだ。

駄々をこねてもしょうがない上に、数十日も工事が止まったら、

それこそ一大事となる致命的な遅れが発生する事になる。

どうするかなんて考えるまでもない。

私は報告書とリラーナの部下が見て来た情報を頼りに、

色々と計画を修正するしかなかった。

通信手段がこの世界は鈍足すぎるとつくづく考えてしまうが、

それでも「鉄馬」を持つだけファルスティンは早い事は確かで、

領内の通信ネットワークとして使われる「手紙」もそれなりに信用できる。

それで満足するしかないとはいえ…

スマホを知っている世代にはきついモノがあるから仕方がない。

さて、そんな私の事務作業を行っている部屋には何故か2つ机が追加された。

言うまでもないがギネヴィアとアルフィンの机である。

父親と母親がいないという現実は結構ギネヴィアには堪えているみたいだった。

いるべき人が知っている場所にいない事に置ける不安感は、

やっぱり大きかった様で、さりとてアルフィンもギネヴィアとべったりだが、

べったりし続けられない場所も当然ある。

いつも一緒だからこそ欠ける恐怖も大きいのかもしれないなんて思っていた。

つまるところ「いない事」にギネヴィアは本人が思う以上になれていないのだ。

そしてその余波がここに現れているってだけで。

私は一時的なものだと思っている。

人はその環境になれる物だからね。

まぁ十分い広い空間は確保されているから、

アルフィンとギネヴィアがいても気にならない。

私は私でやる事があるしね。

ギネヴィアの気持ちが落ち着くまでと思えば、

そんなに大した時間じゃないと思うし作業効率と言う点でも、

近くにいてくれた方が楽だからとは思う。

入室も退室も二人はほとんど一緒だし、

ギネヴィアを連れていけない時に置いて行かれるだけだからね。


でなんだかんだで一段落ついてしまった私は、

まぁ少しばかり「王国をからかってやろうか」と思ってしまったのだ。

発展をし続けるファルスティンは余剰生産品もそれなりにできてきている。

でその中には畜産も当然の様にある訳で…

そう簡単に増やせないがその代り増やしてしまえば色々使える物が増えると言う所もあるが…。

それ以上に加速度的に増えていく畜産で生産される物は、

変な消費地を必然的に求める様になる。

特に加速がかかった穀物の生産量を消費できる場所は

「ファルスティン内」だけでは当然消化しきれない。

腐らせるくらいなら王国に売りつけると言うのはもちろん最終手段なのである。

余剰生産分はもちろん畜産へと向けられて当然の様にその生産頭数を、

爆発的に伸ばした時期もある。

牛や馬は一応田畑を効率的に運営する分には必要な分もあるが、

その辺りは理解不能の叔父様が作り上げた「蒸気機関」を使った、

一大穀物生産拠点を領内に数か所抱え込んだ時点で働かせる為の動物は、

まったくとは言わないけれど局所的に使われる扱いなって来ていたのだ。

もちろんこの世界においてまだ「軍馬」は当然必要だから防衛と言う意味でも、

馬の生産も当然叔父様は手を付けていた…

のだが…


「どう考えても作りすぎよね…」

「はい。余剰生産となる事は目に見えています」


報告書の中にある頭数はどう考えても、領内で消費される量を上回っていた。

贈り物としてルクレイン領に流した分を差し引いてもやはり多すぎるのだが。


「ねぇギネヴィア?

今年の畜産の生産ペース抑制する予定はあるの?」

「…あると思う?」

「そうよねぇ…」


当然ながらこの世界に置いて畜産はまだ多ければ多いほど良いのだ。

と言うより、交配の関係もあるけれど…

「動物」である以上色々な物が人のコントロールの範囲外なのである。

そして減らしてしまったら増やすのには年単位で時間がかかるのだ。

適切な消費地があれば適切にければ良いだけなのだが、

都市ギネヴィアと都市エルゼリアの間にいつの間にか広がってしまった、

一大穀倉地帯を支える為に作られる堆肥の生産的な所でも、

畜産を切り離す事は出来ないから、更なる消費地を作らざるを得ないのだ。

牛乳と言う点ではもはや量産体制を構築してしまっているから、

この増え続ける畜産関連もいずれ問題になるだろうとは思うのだ…

加工する頭数を増やせばよいと言う考えも解るし、

流通量増やせばいいとはいかないのだ。

単純な事で腐るのだ。

もちろん日持ちする加工を施して、山越え山脈に作った、

天然の冷凍庫もあるが…

それも保管量には限界があるし、廃棄予定と書かれた目録には大量の

牛革と「その他」の革があったのだった。

もちろん防寒具や鎧等で使われる量を差し引いた使い道の少ない物なのだが…

それでもふと思ってしまったのだ…


これで「コルセット」と「貞操帯」を大量に作ってやれば良いのではと。

もちろん領内ではなくて「王国に売りつける物として」であるが。


「リラーナ?今デザイナー…じゃないわね。

針子さん達で時間を余らせている子っているかしら?」

「それは…エルゼリア様が余らせろと命じれば」

「そうではなくて…縫物の練習と言えば良いのかしらね?

形に出来ればそれで良いのだけれど」


現在のファルスティンの服飾関連はちょっと変わって来ていた。

それも叔父様のやらかした成果なのではあるが、

一端にミシンの様な物があるのだ。

つまるところ、手縫いの人と工場で機械を使った量産品を作る人と、

別れて来てしまっている。

そしてその工業製品の生産地はもちろん都市ギネヴィアなのではあるが。

大掛かりで厚みのある物は人の手によって縫われる事がほとんどだが、

都市ギネヴィア厚みのある物を無理矢理縫ってしまえるミシンも出来ていると、

何処かの報告で書いてあった。

それが本当なら…複雑な物は不可能かもしれないけれど、

コルセット程度なら作れるかもしれないって思ったのだ。

それと貞操帯も固いなめし皮で作ってあげて倉庫錠でも取り付けて、

売ってあげれば良いかもしれないって考えたのだ。

領内の女の子達は既にコルセットの着用率はほぼ100%だからね。

コルセットとしてお腹を締め付けるのが目的ではなくて、

寒いって言うのもあるけれどお腹を冷やさない様にする為の防寒具として、

温かい腹巻代わりなのだけれど…

これが意外にバカに出来ない温かさなのだ。

もともと固い事を除けばとても遮熱性の良い物だからね。

肌触りの良い生地で包み込んであげれば良い温かさを感じさせてくれる、

便利な物となってくれるのだ。

自分で身に付けるのであれば、必要以上に強く締め上げるなんて事はしないしね。

実際、妊娠している女性向けにあったか下着と言う点で着用を進めている。

ファルスティンの様な極寒の地で新しい命を守る、

とても大切な物となっているのだった。

始めて使ったのはもちろん過酷な環境で妊娠してしたアリア叔母様が、

叔父様からそのお腹を守らせる為に作った物らしいけれど…

いやそれ以前にそんな物が必要な所に連れて行こうとしないでほしい。

下手したらギネヴィアが生まれていない可能性だってあった訳で…

ともかく、王国に端材で作ったコルセットを大量に「捨てて」あげれば、

きっと伝統ある貴族が使ってくれるんじゃないかって思うのだ。

そしてコルセットは囮で本命は貞操帯。

もちろんとっても頑丈な倉庫錠とがっちり乙女を守ってあげる簡単には、

切断できない金属を挟み込んだ物を売り付けてやるのだ。

仕上げといってはなんだけれど…

その倉庫錠の他に本体に埋め込まれて取り付けられた鍵付きの貞操帯。

その貞操帯の鍵を格納しているのはその貞操帯の内側と言うオチで…

それに気付かず貞操帯を嵌めてしまうと、

鍵が内側だから外せない様にしてあげるのだ。

間違いやすい様に倉庫錠はちゃーんと大きな鍵にしておくけれど、

本体の埋め込み式の鍵は小さく作ってその鍵穴自体も保護色にして、

鍵が無い様にしてあげるのだ…

パッチンと軽い音を立てて嵌る貞操帯。

鍵は倉庫錠だけと考えて軽い気持ちで身に付けてしまったら、

倉庫錠は飾り気味。本命の鍵は軽い音で嵌りこむけれど、

凶悪なほど頑丈でただでは壊れないから鍵なしで外すには至難となる。

そして革の間に挟み込むのはこの前開発が終わってまだ目的が無いから、

あまり気味になっている魔法合金を挟み込んでやれば良いのかなって思うのだ。

この世界では十分に壊れない強度を出せるからね。

王国にある剣や魔法でも簡単に壊せない魔法合金を前に外せなくなった、

王国の淑女の皆様がどんな事をなるのかを楽しみたかったのだ。

というか貞操帯を外すための鍵が貞操帯の内側に格納できる点で、

構造欠陥なのだが…

王国を淑女たちも…

そのメイドも流石に気づくよね?


「と言う訳で、どうかしら?

お馬鹿さんには鍵を高値で売りつけてやりましょうか?」

「面白そうねやってみる?」


こうして私とギネヴィアで初めて悪戯は、

工芸品としても価値を高めるために、

更に磨きが掛けられて作り上げられてしまった。

「高貴な貴族用」も合わせて作ってみましょうかという…

軽いノリと材料の再利用を込めて作ってみようかと言う所まで来てしまったのだ。

叔父様がいなくなって気落ち気味のギネヴィアが笑ってくれれば、

それでいい様なノリだったのだ!


けれどそれに反して真面目に計画書を作るのは面白かったし、

実際バカな王国貴族が貞操帯やコルセットを外せなくなって涙するシーンを

思い浮かべればただのバカ騒ぎとなるだけで実害はないはずなのだ。

そこでこの話は終わるはずで…

計画書は消失してハイ終了となる…


はずなのに?



可笑しな事になってしまったのだ。

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