解る人にだけ解るだけでいい。それで満足できるから。
「ねえギネヴィア?
パーティーの事だけれど、「(結婚式)場」を彩る為に、
統一感を演出したいのよ。
それでこちらが用意する(特注のウェディング)ドレスを着てくれない?」
「そうなの?結構こだわるのね。
〔〔〔良いわよ。〕〕〕演出含めてパーティーの方は任せるわ。
私は区画整理と搬入物のチェックでそちらを確認する余裕は無いから。
エルゼリアの好きにして良いわよ」
「…ありがと」
「いいえ。
それじゃよろしく」
もう、何も言うまいと言うレベルで、私は〔〔〔良いわよ。〕〕〕を喜んだ。
全てを私に任せて任せきってくれたのだからサプライズ込みで、
その期待に大いに応えてあげるだけなのだ。
叔父様の考えていた〔マイホーム〕となる屋敷を引き渡すサプライズを、
潰してしまったのだから、自分が仕掛けられる側となっているなんて、
当然意識の外側であり、
叔父様がお屋敷を引き渡した後は重要な「冒険の旅」が控えている以上、
ドッキリを仕掛けている余裕はない。
そう言った意味でも充実したマイホームの建築が出来たのだろうから、
当日の忙しさは耐えて貰うわよー。
「リチェ待って!ちょっとおかしい!どうしてこんなドレスがあるの?
何時作ったよ?私の確認もせずになんで作れるの?!」
「それは、今日のバーティ―の「演出として必要だから」ですよ。
エルゼリア様お抱えの針子さん達と、デザイナーさんが突貫で、
ギネヴィア様お抱えのデザイナーの考えの赴くまま作ったのですよ?
もちろん、エルゼリア様がギネヴィア様に確認している所を、
リチェもリラーナも周囲の針子さん達もデザイアーさんも聞いていますよ!
ギネヴィア様は楽しそうにお屋敷の図面だけ見ていらっしゃいましたが、
ドレス作成の確認はその場にいたほとんどの人が聞いていますから、
皆証言してくれますよぉ?」
そう、的確にギネヴィアの質問に答え自業自得なのだと教えながら、
これが今日の予定ですよ~とびっしりと書き込まれた予定表を渡して、
そして、ドレスに合わせて用意されていたパリュールも、
いつの間にやら領都から運び込まれていたのだった。
結論。
今日のギネヴィアは花嫁姿にならなくてはいけない。
そして用意された大ボリュームで、
欲望のまま作られた一国のお姫様が着る様なドレスに、
袖を通さなくてはいけないのである。
計画が予定通り進んで私はとっても気持ちが良かったが、
ギネヴィアの視線は私を恨めしそーに睨んでいるかと思いきや…
そうでもなかった。
ギネヴィアお抱えのデザイナーさんのお陰とアルフィンと揃いの衣装なのだ。
それに…
アリア叔母様もゼファード叔父様も優しい祝福の笑顔なのだ。
ギネヴィアはこの日確実に「バルダー家の幸せの象徴」としての役割を、
果たせたのだと私は思う。
変則的な式ではあったけれど、重たいドレスを着ているギネヴィアは、
あまり動かないで良いように配慮しまくったし、
タイムスケジュール的に苦しい所はあるけれど、
それを差し引いてもギネヴィアとアルフィンへの「挨拶」は、
重要な人物だけに絞ってもいた。
ドレスが異常に派手なだけでコンパクトな式に仕上げてはおいたのだ。
その辺りの匙加減も上手くいったと思うのだ。
結果的に喜んではもらえたからね。
とはいえ結婚式兼屋敷開きは予定通り終わらせて…
残った時間は画家を読んでの、姿絵を書いて貰う時間は多めにとっておいた。
ギネヴィアに派手なドレスを着せるのは苦労するからね。
一日の予定を順調にこなして…
それでその日は終了。
そこからは、ちょっと一日だけギネヴィアとアルフィンに時間を貰ったのだ。
叔父様と叔母様にも内緒にしていた事で、
これは私の趣味でしかない。
けれどどうしてもギネヴィアにウェディングドレスを着せると決めた時に、
考え付いていた事で、
私のデザイナーさんと針子さんに頼んで作り上げて貰った物が一つある。
そしてこの世界では絶対にありえない物で、
その上にこの国では礼服と認められない物だから、
もちろん式典中に着替えて貰う訳にもいかない物なのだ。
リラーナには無理を言って動きやすいメイド服を特別に許して貰って、
叔父様と私だけの為にギネヴィアに着てもらったのだ。
ギネヴィアの黒目黒髪にその衣装は良く映えた。
そう白無垢…を完全に再現したかったがそれはムリで…
けれど極力似せてみた和服もどきだった。
ギネヴィア自身には不思議な服ねとしか思われない。
そう前世持ちの私と叔父様しかたぶん、理解できない物だから、
大衆にお披露目できる物でもなかったしね。
けれど叔父様には感慨深いものとなってくれたみたいで…
「うん…ギネヴィアはアルフィンのお嫁に行ったんだねぇ…」
「うん?そうよ今更何を言っているの?」
白無垢の意味もアリア叔母様には解らないし勿論アルフィンも、
私が着せた物の意味も解らない。
ギネヴィアにとってはただの斬新なファッションにしか過ぎないのだ。
それでも、今の私が持たない黒目黒髪を持つギネヴィアに、
結婚したからこそ着せたかった。
それだけで私は満足できていた。
ちょっとの間ギネヴィアに白無垢を着せて満足したのだ。
後日出港迄の忙しい時間の中で叔父様が手紙を渡してくれた。
とは言っても非公式な物でただ一文が書かれていた。
「娘を送り出した父親になれたよ。ありがとう」と。
この世界の文字ではなくて単純にけれど書きなれない「日本語」で、
書かれた文字だった。
それは叔父様にとっての特別な時間を作れたのかなって、
そう思うと同時に…
私は一つこの世界で無駄で面白い事を仕掛けてみても良いかも知れないと、
叔父様の行動を見ながら思い始めていた。
程なくして予定通りの活動が始まりバルダー家のマイホームである、
お屋敷は予定通りの機能を発揮し始めたのだ。
それを見届けると叔父様は安心して出港する日を迎えた。
大きな出港式は執り行わず船の大きさと規模からすれば、
ありえないほど小規模な関係者だけの参加する小さな門出となった。
というのも、大規模イベンドに近い屋敷開きと結婚式を同時にやったのだ。
直近でこれ以上大きなイベントを開くための準備をする人員の、
数が足りていない事も承知の上だし、
この巨大船舶は建前上叔父様が作ったどんなトラブルが起きるか解らない、
実験船であり大衆に公開できるような物ではないのだから仕方がない。
けれど何故か二番艦の建造?は始まっているが。
そんな事は気にしてはいけないのである。
下手をすれば二番艦の方が叔父様手製でないぶんトラブルは起きそうな、
気もするがその辺りは私はまだ覗き込まない事にしておくのだった。
一つの大きな山が消えて、
新しい人々で新しい時代を作る時が来たのである。
叔父様は無事出港しました。
当分の間は万能チートキャラはいなくなったので、
真面目に王国とファルスティンは向き合います。
ご都合主義の軽減?と、真面目な戦いが待っています。




