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悪役令嬢は何もしない。けれど叔父様は世界を変えてしまいました。  作者: VLS
私の知らない所で事態は急激に動き、私にはそれに応じた新しい役割が与えられる。
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象徴としての立場もあるからギネヴィアをドレスから逃がさないわ♡

「うそぉーーーーーーーーー」

「はいはいほんとうでーす」


リチェルチェと、ギネヴィアの楽しい攻防戦が新しい屋敷に木霊して、

屋敷で働く事になった使用人達はその日も笑顔で始める事が出来たのだった。

かく言う私は、おもてなしをされる側なので、

優雅なあさの朝食タイムをと洒落込む事となる。

特別なドレスを着るし必要もないし。

何より、屋敷開きにしろ結婚式にしろ祝福する側であるから、

華美な装飾は勿論厳禁。

主役はアルフィンとギネヴィアだからね。

とはいえ、リラーナとグラファイスには正装をして、

私の後ろについて貰っているけれど、

ギネヴィアにはこれからの都市ギネヴィアの結婚式のスタンダードとなるべく、

今日一日頑張ってもらいましょうねー


「朝から元気よね」

「その元気にならなくてはいけない原因を作ったのは誰でしょうね?」

「さぁ?ずぼらな自業自得が原因だと思うわ」

「それは…そうかもしれませんが…」


何も思いつかなかったのかリラーナはそれ以上言わないのだけれど、

リチェルチェはとっても楽しそうなのである。

新しい屋敷にいわゆるお客様を招待してお披露目する事となった。

今回のお披露目式。

けれどそれは既に目的の二番目にずり落ちている事は確かなのだ。

叔父様の叔母様も娘の晴れ姿を見たいのは勿論の事、

一番ギネヴィアにウェディングドレスを着せたいのは、

恐らくアルフィンじゃなかろうか。

アルフィンにとってギネヴィアはもう替えの聞かない唯一だろうし。

バルダーにとってギネヴィアは言うまでもないけれど、

本人には自覚がないけれど彼女は「成果と幸せの象徴」なのだ。

アルフィン側に両親はもういないが、

もしもいたら喜んでギネヴィアを着飾らせただろう事は明確なのだ。

特殊と言うかアルフィンがギネヴィアの特別になれた、

原因の一つではあるのだけれど、彼の両親はいわゆる最後の、

「冬を越えるための開拓者達」だったのだ。

運が良かったというか、悪かったと言うか…

アルフィンが生まれたのはゼファードが暴走し始めた少し後であり、

最後のファルスティンに「希望」として残される「次世代」だったらしい。

今の豊かになったファルスティンからすれば驚くほど

「生きる事」に必死だった最後の世代なのだ。

それは同時に叔父様が好き勝手やり始めた世代でもあり、

叔父様の暴走がファルスティンの発展にブーストをかけ始めた頃。

つまり技術の初歩の初歩が完成したゼファード・バルダーの、

これから作り上げる全てをリアルタイムで見る事が出来た、

「奇跡」の存在なのである。

アルフィン達は最後の「希望」の世代であるがゆえに、

ゼファードに頭が上がらず、そしてゼファードを尊敬し続けているらしい。

時間とタイミングでどちらが良かったかどうかわからないけれど、

ゼファードの技術の系譜を見続けられたと言う点では愛されたのだ。

故に飛びぬけて技術の理解度は高く他の同年代と比べると、

ゼファードとだけではなくアリアと過ごした時間も長ければ、

そのゼファードとアリアからの信頼度も高くなって当然だったのだ。

変な良い方になるけれど「大人」だけれど「大人になりきれていない」

ギネヴィアのパートナーとしても、

その精神的落ち着きと幼馴染であり父親と同じ様に頼れ過ぎるお兄さん的な、

アルフィンは自然とギネヴィアを守るべき対象と見ていたし、

そのギネヴィアも自然と懐いているから周囲の目も自然とそう見られる。

最後の「希望」世代のアルフィンに自然と「戦友」は出来たみたいだけれど、

可愛がれる人や守り保護しなければいけない対象は、

最後の「希望」世代のファルスティンではもちろん生きられる場所はない。

それから数年後生まれてくる私達世代でやっと、

生きる為の「選別」をおこなわなくてはいけない事が終わるのだ。

守られる側として残せた人がアルフィンにはギネヴィアしかいなかった。

そう言った意味もあって悲しいかも知れないが開拓を知っているからこそ、

ギネヴィアの最高の伴侶ともなれるのだろう。

「希望」の世代は例外なく「強い」のだ。

強くなければ生きられない世代なのだから仕方がないと言えばそうなのだ。

アルフィンは横に並んでくれる友もいるし、後に続く後任となれる人も、

自然と抱え込んでいるけれど、そのアルフィンの近くの人は、

やはり保護対象になる事はないのだ。

命の境界線でファルスティンの歴史の切り替わるポイントである。

私の世代と、叔父様の世代の丁度中間よりにいるアルフィンの世代は、

ファルスティンとバルダーに文字通り命がけの忠誠を尽す人が多い。

アルフィンもその例外にはなれなかったみたいだった。

刷り込みによる洗脳ではなく、環境からくる自然の成り行きでの忠誠なので、

稀有な環境が稀有な人を作り上げた例なのかもしれない。

アルフィンにとってギネヴィアは妻であり仕事のパートナーでもあり、

また歳の近い妹の様にも見えている事は見ていれば良く解る。

ギネヴィアの時たま見せるパニックになって「あわあわ」すると、

それを優しくサポートするそれは「夫」というより「お兄ちゃん」な気もするし。

ギネヴィアの見せる歳不相応な「甘え」にも答えるのだからもう何も言えない。

アルフィンの甘やかしは場をわきまえているし、

ギネヴィアもアルフィンだから甘えられるのだ。

どう考えても夫婦になるべくしてなった感じなのだし。


その「幸せの象徴が?」幸せの形を表す「結婚式」をしないなんてねぇ?

本人が許しても周囲が許す訳が無いのだ。

ただ今までは周囲が動く理由ときっかけが無かっただけなのだ。

そのきっかけを自主的にギネヴィアが作ってくれたのだから、

利用しない手はないでしょうし。

世代の近いグラファイスだってねぇそう考えるでしょう?


「グラファイス?貴方だって生涯のパートナーは着飾らせたいでしょ?」

「えぇそうだと思いますね。

それはもう…

許されるのなら「やりすぎ」位が丁度良いでしょう」


私はほらね?

と言いながらどや顔をリラーナに見せるのだ。

朝からギネヴィアの周辺は慌ただしく過ぎていく。

けれどそうであったとしても面白い事で、バルダー家なのにちゃんと、

ファルスティン家専用の区画が用意されているし、

その区画を動かすための人員配置はリラーナが手配してくれているから、

この慌ただしい朝の時間でも私の周囲の時間は、

まったりと流れているのだ。

結婚式をすると決めて事前準備をしまくったとしても花嫁の準備には、

かなりの時間がかかるものなのだ。

ところが結婚式ではないもののそれに準じる式を行うのに、

ギネヴィアの準備は文字通り何にもしていないのだから、

そりゃ当日は嵐の様なタイムスケジュールとなるのは仕方がない。

既にアルフィンと一緒にのんびりと寝ていたベッドからはたたき起こされ、

アルフィンは用意された礼服に着替えるだけだから時間の余裕はあるけれど、

ギネヴィアはそうじゃない。

屋敷に完成したばかりの浴場はすぐさまギネヴィアを綺麗に磨き上げて、

少しでも「美しく」仕上げるのだ。

それは綺麗に出来るのならなんだってリチェルチェはするでしょうね。

主の晴れ舞台となってしまったのだから。

屋敷開きなら、いわゆるみんなで効率的にお屋敷を使いましょうね!

で済んだ事が私達の門出も祝って下さい!

となればお祝いの趣旨も変わるから仕方がない。

それに用意されたウェディングドレスはアルフィンお抱えのデザイナーが、

「好きに」デザインした物を私の抱えるデザイナーと針子が、

無理矢理そのデザインを再現して押し通して作成してしまった物だから、

超高級品のフルカスタマイズされた妥協一切なしのオーダーメイド。

ギネヴィアにとっては全く嬉しくないであろうが、

究極の無駄遣いとなる本人専用品で他の誰にも着られないドレスへと、

しあげて差し上げたのだ。

もちろん私としても、その辺りは抜かりなく確認しているから、

ギネヴィアは逃げられない。

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