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悪役令嬢は何もしない。けれど叔父様は世界を変えてしまいました。  作者: VLS
貴族令嬢としての始まり 与えられた役目を果たす為に
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知らない内に使われている新しい技術を使いたくなって

次回の更新は明日の20時です。

買えない価格まで上昇しつつある小麦は、金を持っている貴族が揃う王都周辺に、

吸い上げられる様に集められていく。

でなければあの理解不能な支援をさせてやる的な手紙が来る訳がないのだが。


「生産地を書いた刻印をした袋に入れただけで領主達は買い取る事を辞めたのだ。

彼方はやる気らしいのだから、こちらから仕掛けても問題ないだろう?

支援する所としない所を選ぶ権利はファルスティンにもある」


まずはルクレイン領に隣接する領主達に、

ルクレインから食料の支援をすることにすれば簡単に周囲の領主はその、

支援を受ける方向で話を進めるだろう。

王国全体に支援をするのではなくて一部にだけ支援をするのであれば、

別に王家の名前である「オースヴァイン」を使う必要はないのだ。

ルクレインを信用してくれるところだけに渡りを付ければ良いだけなのだ。

ルクレインの名を使い致命的に悪化し続ける食糧事情をルクレイン領から、

ファルスティンに至るまでのルートにばらまき一本の線を作る。

次にルクレイン領の周囲の領地に対して強く支援を行って行けば、

それだけで王国との間に、敵にならない中立地帯を作る事が出来る。

今はそれだけで良い。

王国とファルスティンを天秤に掛けて何方に味方するのか考えさせればいい。

少なくともファルスティンは隣接する領地に対して、

支援する余力があるのだから。

非緩衝地帯があるだけでこちらとしては安心できるし、

戦力として一番期待される隣接する領地がやる気を鈍らせれば、

それだけ時間が稼げるのだ。

ファルスティン同様ルクレインもまた辺境の一領地。

他の国と隣接していない辺境の魔物と戦い、その領民と領地を守る、

ありふれた一領地なのだ。

それがファルスティンから流れ込む物の集積場となる中継地点として、

機能をし始めたのはもちろんターシャ義姉様がファルスティンに嫁いで来てから。

お兄様がターシャ義姉様を可愛がり、

ルクレインを大切にしているのが解っているからこそと言った所もある。

けれど、お兄様と義姉様の間に子供もお生まれになっている事だし。

色々な意味で、もうルクレイン領はオースヴァイン側に傾けないと思う。

新しい防衛ラインが出来たらターシャ義姉様の里帰りもきっと楽になる。

と言うかお兄様も楽にするでしょうしね。


「まぁ明確な線引きをして、王国がどう次の一手を出してくるかかな」

「そうですねエルゼリア?ともかく身の回りの変化には敏感になりなさいね」

「はい。解りました義姉さま」

「本当に解っています?」

「?大丈夫ですよ。理解しています」

「そう…。リラーナ?エルゼリアから目を放さない様にね?」

「十分に心得ております」


その日の話合いはそれで終わった。

けれど今回の手紙の事で週に1回の「話合い」をして、

私と情報を共有する事となったのだ。

手紙を王都に出したとして向こうに届き、

返信をこちらに帰って来るまでのタイムラグを考えると2週間前後。

であれば大体1週間に一度の話合いと情報確認をすれば、

問題なくスムーズな対応が出来るだろうとの事だった。

何よりも怖いのは第2王子殿下の電波な手紙だ。

私が第2王子殿下を愛していると言うストーリーは一体どこから、

始まった事になっているのか理解できないのだけれど、

それでも、それを真実とされてしまえば私はファルスティンから、

強引に誘拐される可能性だってあるのだから。

警備だけは厳重になったのだ。

私の直営に付くグラファイスの装備は鎧こそ着ていない物の…

叔父様の技術の粋を集めてブラッティーローゼの資料を纏め上げて、

作り上げてしまった「魔法具」を身に着けて護衛に当たる事になった…

のだけれど…

そのね?

魔法具が絶対に叔父様の趣味のデザインだったのだ。

所謂ベルト型で…

「変身!」とか言い出しそうな…

ロマンあふれる品々なのだ…


「グ、グラファイス。

ひとつ質問したいのだけれどあなたの付けているそのベルトは?」

「ええ。ギネヴィア様の所で開発されていた魔法具です」

「…変身するの?」

「勿論です。最新式の武具収納ベルトだそうで…

一度武具を装着した状態で収納させれば、

非常時に直ぐに鎧や武器を装備できる優れた一品に仕上がっていますよ。

デザインはゼファード様が拘ったらしく個人向けの装備として、

一品物として用意して頂きました」

「そう、なのね。

便利そうで良かったわね」

「ええ。非常に重宝していますよ」


確かに「変身」の掛け声一つで、フル装備になれるのであれば、

この世界では非常に有用な装備なのでしょうけれど…

けれど、そのベルトの形状はないんじゃなかろうかと思うのは、

私が前世の記憶を持っているからであって、

別にこの世界では可笑しな物ではないのかもしれない上に、

本当に「変身」出来てしまうので、実用性としては最高に良い物だと、

私も思てしまった。

あ、おしゃれな形にデザインを変えて貰ってドレスとデザインを合わせれば、

きっとお着換えも楽に…


「エルゼリア様?

グラファイスの付けているベルトを恨めしそうに見ているので、

先に忠告しておきますが、

彼の腰のベルトは装備一式の重量がのしかかっているとお考え下さいね。

エルゼリア様が身に着けるドレスを、

あのベルトに収納できたとして、ドレス一式の重さを腰に巻き付けた上に、

もう一着着る事になるのですよ?

ドレス2着分の重さにエルゼリア様が耐えられるとは思えません」


ニコニコ顔のリラーナは私にそう告げてくるのだった。

いや、ただでさえデザイナーが頑張って作り上げるドレスは重いのに、

それを2着重ね着するなんて考えられない。


「そこそこの重量になりますから。

それでも非常事態用の装具一式を持ち運べるから便利は便利です。

しかしご婦人方のドレス一着を丸々収納して、

その重さから逃げられるかと言ったらそんな事は無いのです。

そこまで万能ではないのですよ」

「そう、残念だわ」


玩具ではない本物の変身ベルトはそれはそれで欲しいと思う。

私に使い道はないけれど。

けれど配られたのは私と義姉様とギネヴィアの直接護衛に付く者だけだそうだ。

まだ量産は出来ないとかで。

量産出来たらそれはそれですごいと思うけれど、

グラファイスの腰に輝く変身ベルトは物凄ーい存在感を部屋の中で、

主張していたのだった。

けれど物理的な攻撃備えると言う意味では、私の身の回りで視覚的に、

変わった所はそこだけ。

そこだけしか変わらなかったのだ。

その辺り、元々グラファイスとリラーナの配慮は、

行き届いていたって事だったのだろう。


それでも私の目に入らない所では王子の手紙から始まった

ファルスティンの変化は急速にその領内に伝播していっている様だった。

特に、特別に招致したルクレイン領のお抱え商人の扱いは特別となり、

ファルスティンの生産物の一部がルクレイン領に流れる様になった。

とはいえ、ほとんどが食料品で、後は平民向けの衣類一式の販売も始められる。

羽毛布団等、嵩張る物には手を出せないけれど、

「生産失敗品と余剰廃棄分の引き取り」という形で取引を頼んだのだった。

未だ王国の硬貨に頼る事を良しとしないファルスティンは、

領内に積み上がる叔父様が作ってしまい領民達が練習がてら作った家具などが、

大量に「廃棄」をまっている状態だったので丁度良かったと言えばそれまでだ。

王国から手に入れたい物がない以上、王国の通貨は未だ領内では役に立たず、

けれど貴重な「金属」で作られた硬貨を王国から奪えるとなると、

それなりに売り続けても良いのかもしれない。

王国に対しての経済侵略と言う点では、それで良いのだけれど、

ファルスティンとしては「交易」する事を考えて行かなくてはならない。

けれど、今のまま国外と繋がりを持とうとすれば必然的に。

オースヴァイン王国に通行料と言う名目て利益の大半を吸い上げられる事になり、

交易をする意味もうま味もない。

だからお兄様としても国外に目を向けているけれど、

どうにかして迂回路を作るべくルートを探すために「冒険者」に、

依頼を出しているみたいだった。


王国と言う名の壁は無駄に厚い。

搾取する事に慣れている王国は既得権益を作り出す天才だって言ってもいい。

だからこそここまで生永らえているのかもしれないけれど。

その代価を払い続けているのは、辺境で国を必死に守り続けている領主達なのだ。

その辺りは、押さえつけるだけで何もしない王国に価値はあるのだろうかと、

私は考えてしまう。

外交でしっかりとした立場を示して諸外国からちょっかいを掛けられる事が、

減るのであれば、それなりに王国としての存在価値は、

あるのかもしれないけれど、それも関係なく自立できるようになるまで、

頬っておいたのだから、このまま無視をし続ければ良いと思うのに。

仕えると分かったとたんゴミ駄目と言って蔑んでいながら惜しくなって、

干渉してくるのだからたまらない。


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