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悪役令嬢は何もしない。けれど叔父様は世界を変えてしまいました。  作者: VLS
貴族令嬢としての始まり 与えられた役目を果たす為に
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私は婚約した時に既に覚悟を決めていた。

次回の更新は明日の20時です。

外的要因なのだから。

どれだけ考えたって受け身になり選択肢は限られる。

ならその少ない選択肢の中で取りえる物を選ぶほかないでしょう。


「…お兄様は王国の王族が何処まで強く出てくるとお考えなのですが?」

「こちらの独立の機運は今までにないくらい高まってきている。

それに気付けないほどバカではないから王太子は結婚か、最低でもお前との、

婚約を発表するなりしてこちらに首輪を嵌めさせようとするだろうさ」

「…最悪、私を見捨てさえすればファルスティンは順調に独立できるでしょう?」

「バカな!何を言っている!」


義姉様は目を見開き、お兄様は私の意見に声を荒げた。

けれど元々私は「ボルフォード」に嫁がされるはずだったのだ。

今私がファルスティンにいるのは言わばボーナスステージのような物。

そう考えれば簡単な事ではないだろうか。

元々エルゼリアなどいなかったと考えればリスクと言う意味では、

人質とされるのが「私」だけなのであれば、

お兄様達とお父様が私を見捨てれば良いだけ。


「本気で、言っているのか?」

「代価として支払うのが私の命だけなのであれば、

それは大したリスクではないでしょう。

厳しいファルスティンの大地で大切に育てられたのです。

恩を返せると思えば、安い物ではないでしょうか?」

「そうか…本気か…」


そう言いながらライセラスお兄様はターシャ義姉様の方を見て何やら、

アイコンタクトを取っているみたいだった。

ターシャ義姉様はそれでも横にフルフルと首を降るだけ。

困った顔をしながら今度は義姉様が私に話しかけてくる。

と言うよりコレは説得だった。


「エルゼリア?そう簡単に見捨てる事が出来たら、

私もライセラスも相談なんてしません。

初めから見捨てると言う決断を下して、実際にそうしています。

貴方は私達の可愛い妹なのです。

貴女が王国に攫われるような事が在ればどんな事をしても…

私達は貴女を救うために王国に「戦争」すら問答無用で仕掛けるでしょう。

それほどまで私達は我慢してきたのですよ。

貴方がもう一度奪われる事など絶対に許せる事ではありません。

それでも、お屋敷の中で大人しくしている事は出来ませんか?」

「…義姉様の言っている事も理解できましょう。

自身が愛されている事も理解しているつもりです。

ですが「それでも」と言わせてもらいます。

私はまだファルスティンになんら「恩返し」が出来ていないのです。

私は…

私が捕まると言うのであればそうなるまでに、せめて未来の「形」を、

ファルスティンに作りたいのです」

「それは王国との間のやり取りが落ち着くまで待てないのですか?」

「義姉様、王国が「落ち着く事」がこれからあるのでしょうか?

お父様からお兄様に異例の速さで爵位の移譲を行った「国」が、

それをしてガス抜きをしたと思い込んでいそうな「国」が、

お兄様と私にこんなふざけた手紙を送ってくる「国」が、

果たして、私達に対して干渉することを諦めると思いますか?」

「…ない、でしょうね」

「それが答えなのではないでしょうか?

怯えていては私達はされるがまま受け身で居続けるしかなくなってしまいます。

もうこれ以上、泥を塗りたくられ続ける位であれば私は剣を持ちたいのです。

その為の剣(都市)でしょう?」


この、相談という場にお兄様と義姉様が用意していた選択肢は、

私を安全な所に逃がすと言う事だった様だ。

けれど、もうこれ以上逃げる場所なんてないでしょう?

戦うしかないでしょう?

私は無力な一個人ではなくてファルスティン家の貴族令嬢なのだから。

エルゼリア・ファルスティン伯爵令嬢は、掴んだ剣(都市)を手放さない。

身をさらしてでもファルスティンの先陣をきって戦うのだ。

お兄様は私の回答に不満を覚えながらも何か小さな決断を下したみたいで、

私の後ろに控えているグラファイスの方を見ながら確認しているみたいだった。

当然グラファイスもお兄様の視線に気付いているから、

あのふざけた手紙で表情を崩した状態ではもちろんない。


「エルゼリアの周囲は急速に悪化している。

自信がないのであれば直ぐにでも言ってくれていい。

どんなに危険であってもエルゼリアは「王国」に、

出向かなくてはいけない事もある。

グラファイス、お前にはブラッティーローゼとしての生き方も選択できる。

護衛から下りても直ぐに別の者をエルゼリアに付ける準備はしてある。

ブラッティーローゼの血もまた尊い物だ。

降りたとしても誰も何も言わない」

「ご冗談を。私はまだ何も役目を果たせていません」

「…良いのだな?」

「勿論ですよ」

「そう、か。ならばこれ以上は言うまい。

ライセラス・ファルスティン伯爵として命令を上書きする」

「はい」

「エルゼリアに降りかかる物理的な「障害」を、

「いかなる手段を使っても構わない。

「確実」に「問題」を排除せよ。

排除対象の生死は問わない。

それがたとえ他国の「王族」であったとしてもだ」

「…宜しいのですね?」

「ああ。追って命令書として、お前にそれだけの権限を付与する。

これ以上「王国」の好きにさせはしない。

エルゼリアが体を張るなら、な。

それに対してファルスティンの領主として、出来る事はこれ位しかない。

さしあたっては第2王子殿下が本当に来るつもりなのか解らんが、

歓迎出来る様に、準備だけは進めておいてくれ」

「ライセラス伯爵閣下の御命令謹んでお受けいたします。

会談終了後直ちに準備に入ります」


…私の頭ごなしに、とっても物騒な事が決まってしまった見たいだけど、

もうこれ以上「王国」に振り回されるのは嫌なのだ。

グラファイスには「物理的」に頑張ってもらいましょう。

物理的な私の盾となる事が決まっているグラファイスは文字通り、

私の為に命を捨てる覚悟が無ければやっていけないという、

現実が彼の前に置かれたという事でもあったのだった。

それでもグラファイスが返答をするのに迷った時間は一秒たりとも無かったのだ。

彼はとっくに覚悟を決めていたのかもしれない。

そんなグラファイスの問いと同じことも、

ターシャ義姉さまもリラーナに声をかけてくる。


「リラーナも良いのですか?あなたもまたファルスティンの、

大切なゼフィラの血を持つ者と聞いています。

貴女を失えばリリーもリチェルチェも悲しむでしょう。

貴女もまたエルゼリアと同じく「守られる側の人」だと、

私は思っていたのですが…」

「ターシャ様、心配はご無用で御座います。

私達ゼフィラの血はファルスティンが今ここにあるからこそ輝けるのです。

エルゼリア様の為以外に生きる道は既にありません。

私の命はエルゼリア様に既に捧げております」

「そう、なのですね。

失礼な質問をしてしまいました。

ごめんなさいね」

「いいえ。ご心配して頂いてリラーナは嬉しく思います。

けれど、ご心配頂いていたとしても私はエルゼリア様の為にだけに、

この命を使いたいのです」



ここから先私が進む正解の道は思いのほか狭くて間違えると、

ただの行き止まりではなくて地獄が待っている様な、

そんな背筋に冷たい物が走る安全とは程遠い生活が待っているのかもしれない。

けれど、そうだったとしても歩く方向は既に決まっている。

ゼファード・バルダーが私の前に置いて行った置き土産は、

私に「未来」を描かせる。

その「出来る事」の多さに私は止まる事が出来なかったのだ。

ギネヴィアが作る叔父様の残した「課題」の成果ですら大きな変化が待っている。

その為に私は止まれない。


既にエルゼリアにはフルスロットルで走る未来が用意されていたのです。

ですが、彼女は本当の意味で「王国に捕まる事」の怖さを理解していません。

もしも第2王子にエルゼリアが捕まったら、

ソフィア以上に酷い地獄のような人生が待っているでしょうね。

「お人形」にされるのは当然として、王国のほこる自動演奏機械や、

文字通り一生机の前から動けない机に繫がれる人生が、

用意されていたでしょうねぇ。

その上ファルスティンを言い様に操る為に当然、

「エルゼリアに子供を産ませて、

その子供をファルスティンの領主にする」くらいはやるでしょうから、

その子の人質として使える様に「子育て」もやらされるでしょう。

まぁ、グラファイスが本気で対処しますからそんな事にはなりませんが。

ブラッティーローゼもファルスティンに来て楽しい事になってしまいまし。




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