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悪役令嬢は何もしない。けれど叔父様は世界を変えてしまいました。  作者: VLS
貴族令嬢としての始まり 与えられた役目を果たす為に
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立場は仕事の形を変えるけれど決して減る事もなくなることもない。

次回の更新は明日の20時です。

けれど本当の意味で物質による「希少価値」を作る事が出来ないから、

「金」の信用は幻想で確かな信用が作れない。

叔父様が本気になれば直ぐにでも信用は破壊される。

絶対的な信用がないから王国の「貨幣経済」は何時か破断すると、

叔父様は断言できてしまえるし、何時だってそのトリガーは引けるのだ。

言っている事は理解できるのだけれど「叔父様」が本気を出して、

金を錬成してしまったら、本当にそうなってしまう事は確かで。

しかし、そうだったとしても新しい価値の付け方はしなくてはいけないし、

ファルスティン内の発展と通貨関連はともかく、

対王国と言う意味では、私達は今の所王国の傘下の一領地。

だからその通貨価値には従わないといけない。

完全な独立が出来て王国とも付き合いが切れない以上、

私達は通貨を支払いとして必要とするって事なのだ。

領外から必要な物を買わなくてはいけない時ならいざ知らず、

既に「必要な物」の生産は領内で賄える。

それでも叔父様達がばら撒いた「小麦」等で手に入れてしまった「貨幣」は、

領外に買う物がなくなった今領内に溜まり続けているのだ。

そのまま港湾都市に運び込んで高炉で処分して再利用するのは、

それはそれでもったいないし。

なんとか「王国貨幣」の価値を維持しなくちゃいけない」

領外から適当な物を買って来ても良いのだけれど、それでも、

ばら撒きまくって出てしまった「小麦」の量は膨大で、その売値で得た、

「貨幣」を消費するのは骨が折れそうなのだ。

わざわざ高い王国貨幣を使って無意味な王国の食料を買うのも意味がない。

本来なら芸術家を招致するのに使いたい所だけれど、

ファルスティンに来る芸術家ははいないから「文化」と「芸術」の

発展の為の支払いにも使えなかった。

王国を外として領内を内とするならその「壁」となる私達が、

無駄に大量に使った事にして通貨価値を維持するしかないのだ。

けれど使った事にするにも限界はある。

流通量が細すぎるから少しでも太くしないといけない。

本音で言ってしまえば王国貨幣の流通は必要以上に広げたくもないのだ。

「王国通貨」に価値が必要以上に付く事も望まない。

通貨の流通を王国に握られたままだと何かあった時の弱みになるからね。

だからそのジレンマを解消するには局所的に「王国通貨」を使う場所を用意して、

コントロール下に置いておくことが望ましい。

王国に関係する各所以外に広めたくはないから、

私達の周りだけで使える王国通貨を大量に回すのだ。


では、誰に消費させるかと言えば私達自身で回しきるしかないのだ。

王国の通貨は私達の高価な「衣類」を作った時にデザイナーに支払うのだ。

もちろん別途現物で報酬も渡すけれど「購買」と言う点で。

デザイナーさんと針子さん達には「原材料だけを買える王国通貨」の様にして、

「足りない分を買わせる」形をとって取引はしたとしておくのだ。

針子さんとデザイナーさん達は既に私の傘下に納まった時点で、

材料は無償で提供され続けさせているし、時たまギネヴィアから届けられる、

新作の材料も惜しげもなく与え続けている。

一着でも多く作らせてその技量を挙げさせるのが目的だし、

材料をケチっていられない…と言うか、

倉庫で眠り続けている「高品質」「高級品」として生産されてしまった、

一般に流通させられない「生地」が倉庫に眠り続けていたのだ。

私達のドレスを王国の規格で生産させ続けても、

尽きる事のない質が良すぎて「売れない」「出せない」生地の山を確認した時、

供給量過多の生地をどうするか考えれば使うに越したことはないのだ。

ライセラスお兄様もターシャ義姉様もそこまでドレスに拘る方ではないし、

なにより用意された物を消費するのに精一杯だったのだ。

体に合わせて着れなくなったら新しい物に袖を通すレベルの消費では、

質を向上させ続ける試行錯誤を繰り返し大量生産され続ける生地なんか、

消費し切れるはずもなく、領外に出す事も出来ない高品質すぎる生地は、

ただ倉庫の中に溜まり続けていたのだった。

それを消費させる為に始めた新体制用の礼服や侍女服など。

全て新しく作られたみたいだけれどそれでも倉庫の中の「高品質」な生地は、

消費し切れず、新しい生地が運び込まれて「倉庫」の在庫量は、

一向に減る気配がない。

それどころか置き場に困り増築が決定しているのだから…

本当にどうしようか。

輸出と言う方向に舵を取る事が出来れば、状況は打開できるけれど、

それは王国と繋がりを作る事になるし、同時に王国の衣類産業に、

ダメージを与える事になる。

どうせ売るなら捨て値で売る事になると思うし。

それで得た通貨で買って帰って来た商人達が、

売れる物を買って戻って来れないから王国貨幣は更に溜まる。

王国の造幣局は必死に貨幣を市場に流通させないといけないでしょうね。

金属の巻き上げのような気もしないではないけれど、

これで金属不足で悪貨を製造する様になったらそれはそれで…

ともかくこのままでは領内で「王国通貨」は完全な玩具と化してしまう。

なんとかこの取引が「未来の衣類原料の価格」として、

ファルスティンの取引記録に残り続けて、

少しでも意味のある物にしておかないといけない。

王国お得意の「伝統」の価格で売って差し上げる下地とする位には、

役になってもらわなくてはね。

精々吹っかけた価格設定をして差し上げられそうにしなくてはね。

王国が崩壊して通貨価値が無くなったら「貨幣」は、

港湾都市ギネヴィアに持って行って、

再処理されるだけで綺麗さっぱり消えるでしょう。


高級な衣類を作ってそれを消費する環境を作り取引に「王国貨幣」を使う。

それで王国貨幣の領内循環を防ぎ経済隔離をする。

王国からファルスティンが離れる準備は着々と進んでいるって事だった。

王国通貨の循環の為にも作られたリラーナの傍付きの「新作」は、

その完成を一つの契機として侍女達の身に着ける物も、

変わっていく事になると言う証明でもあるのだ。

これからは「季節」によっても身に着けさせる物を変えていくのも、

良いかも知れないなんて考えていた。

基本ファルスティンは寒い。

けれど短い夏だってあるのだから。

その夏の間だけでも着る物があっても良いんじゃないかなって思うのだ。

その位の「贅沢」はしても許されると私は思っていた。

なにより着ているリラーナより、周囲の着せていた針子さんや、

デザイナーさんが嬉しそうな事この上ない表情をしている。

それはリラーナが憧れられる存在でもあるからであるが。

私の特別な傍付きという立場は、「平民」としての頂点を極めた、

主に一番近い場所で働く事が許された存在であり、

その権限は主の代わりに「指揮」出来る、

いわゆる準貴族と言ってしまっても良い。

令嬢の特別な傍付きと言う存在は、

血筋も関係あるけれどそれ以上に実力が無ければで登り詰める事が出来ない。

女性が得られる地位としては最高の場所なのだ。

それをこれから「着飾らせる事が出来る」許可が出たと思えば、

衣類関係に携わる人として嬉しくないわけがないし、

デザインはまだそのままだけれど「リラーナ」を「特別」として、

専用品を身に着ける事を許しているのだ。

これでリラーナはこれから自分自身の世話を、

自分が選んだ侍女達に任せないといけなくなるのだ。


「エルゼリア様…」

「良かったわね。

もう解っていると思うけれど、

貴方もこのお部屋にお世話になる立場になったのよ?」

「…それは、大変光栄な事です」

「喜んでくれて私も嬉しいわぁ。

好きなだけこのお部屋を使ってね」

「…はい」

「貴女も好きなだけ、巻き込んであげなさいね?

デザイナーさんも針子さんもきっと色々な種類の「試作品」を、

試したいでしょうし、なにより生地の在庫はまだまだあるらしいわよ」

「!それは…、そうしましょう。

技量アップの為には何より数を熟さなければいけないですしね!」



その言葉の意味を正しく理解したリラーナは、

次の標的を探し始めたみたいだった。

近くにいて、目を輝かせながらリラーナを見ていた、

リラーナが選んだ3人の侍女はそのリラーナの言った意味を、

正しく理解したに決まっているのだ。

一瞬にしてその、輝いてきた顔は曇り「え?私達も?」という表情になる。

そうよねぇ。

着せて貰うという事は美しさ重視で「苦しさ」とかは二の次で、

我慢させられる物になるからね。

お仕事で歩き回るのに美しく着飾っていたら大変だし。

着崩れが起こらない様にされるからね。

大変だね!

そんな着せて貰う服を着ていたら王国なら、

直ぐに楽しい反応を示してくれそうな気もする。


―爵位を持っていない似非貴族―


なんて王国の貴族達はそう言う風に嘲笑うのでしょうけれど違うのよね。

機械文明が発達すれば労働の質と意味が変わってくるのだ。

どんな事でも人間が熟して来た時代は終わる。

終ってしまうのだ。

例えば…

洗濯メイドなんかが良い例となると思う。

何百枚にも及ぶベッドのシーツなんかを交換する事になれば、

何十人と言う人々を抱えて、洗濯場で手で一枚一枚洗うのだ。

複雑な衣類の洗濯には必要なままだけれど。

シーツみたいな大量に消費される簡単な物なら話は別。

叔父様の作ってしまった「蒸気可動式洗濯機」を使えば、

シーツはその洗濯機の放り込むだけで良い。

現代の全自動洗濯機と比べれば、天と地ほど性能差はあるけれど、

大型の脱水機と洗濯機が数十台並んだスペースに蒸気用の配管が確保できれば、

一枚一枚手洗いしてきたメイドは必要なくなるのだ。

洗いだけを担当してきた彼女達はまた別の丁寧な作業が追及される、

メイド服や侍女服などの担当に回されていく。

新しい「仕事」を作ると言う意味でも、

使用人達は仕事へのかかわり方をきっと変わっていくのだ。

その中で、使用人達の準備をする使用人が出て来てもおかしくはないのだ。

それだけ侍女達の仕事は高度化していく事になるのだから。

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