表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は何もしない。けれど叔父様は世界を変えてしまいました。  作者: VLS
貴族令嬢としての始まり 与えられた役目を果たす為に
61/114

お兄様だけじゃなくって。お父様ももしかして?

次回の更新は明日の20時です。

事前に爵位を譲る前に二人は最後の「好きに使う物資」を大量に、

前線の砦と、港湾都市の造船ドックに送り込んでいる事は確かで、

私の領内の物資状況の確認で理解不能なレベルで、

食料の備蓄エリアから廃棄予定だった食料物資の一部が砦付近に、

これまた作られていた貯蔵庫に溜め込まれていたのだから笑えない。

もちろん、売却に失敗してご丁寧に持ち帰った「小麦」もその砦の倉庫に、

戻ったみたいで。

誰が見てもアネス・ファルスティンの行った物資移動は、

戦争の前準備と思える損耗物資の備蓄だったのだ。


理性を総動員した結果が、国境への張り付きと、

潤沢に持ち込んだ物資を使っての「砦の強化」なのであれば、

表向きは、別に問題視はされないと思いたい。


けれど、ちょっとしたきっかけで…

具体的には「エルゼリア・ファルスティン伯爵令嬢を守る為」という、

大義名分を手に入れたらアネスお父様が、

暴走するのではないかという見立てもあるみたいだった。

アネスお父様を止める事が出来るのはミーシェお母さまだけだけれど…。

お母様としては元ゼフィラの血を引く者として絶対にお父様を止めない。

ミーシェお母さま自身の血に刻まれた、


「ファルスティンの血の為なら、私の命など差し出せる」


という想いは決してお父様を止める事をしない。

それどころか、そのお父様を守る為の前線で部隊の指揮を取りそうだし、

実際とってしまうだろう。

ミーシェお母さまのゼフィラの血はファルスティンを守ってきたと言う誇りは、

軽い物じゃないし軽くないと分かっているからアネスお父様を止めてくれない。

私の両親は変な所で繋がっているみたいだった。


愛娘(私)を守る為なら、迷わず王国と戦争を始めてしまう勢いた。

お父様もさることながら、その部下達も私が王国の「公爵家」に取られたと、

認識しているのが厄介で。

ここで判断を間違えれば、お父様とその部下は暴発しかねない。


「あながち間違いのない推論だと思います。

リリー姉様もリチェルチェ姉様も、それとなく私に教えてきている辺り、

ゼファード様はともかくアネス様の行動は実行力を持って動かれます。

その行動は明確な意思の下動きますが。

どの程度まで強力に動くのかが読めません。

ライセラス様との会談の対応次第で王国に対する態度を、

はっきりと決めてしまわない限り、アネス様が安心なさらないでしょう」


…まって。

ちょっとまって。

そこまでお父様は気持ちを拗らせて敵意を進行していたの?


「断腸の思いで一度は手放す覚悟をしたエルゼリア様がこうして、

ファルスティン領内にいるのです。

アネス様は、もう二度とエルゼリア様の事を、

王国の貴族の好きにさせるつもりは「まったくない」という事なのでしょう。

慎重なご判断をしてくれるとリラーナは心より思っております」


叔父様は既に国の貴族としての責任はほとんどない。

そして独立国家並みの権限を得たと「ファルスティンの臣」と言う立場に、

納まる事が出来れば、王国の事は無視しても構わない。


そう、


無視しても構わないのだ。

王国との距離を決めるのはライセラスお兄様の仕事。

爵位を譲り渡した瞬間からお父様方は「王国の利益なんて考えない」のだ。

「ファルスティンの利益だけ考える」のである。

それは領内において領主として命令する権利を失ったという代わりに

お父様と叔父様画手に入れた免罪符。

そして、アネス・ファルスティン命を救われ、

アネスお父様の為に生きられる狂信的な部下がファルスティンには多すぎて、

その部下の息子達が、ライセラスお兄様に付き従っているのだ。

その事がまた別の意味で駄目な事を容認できてしまう。

つまりアネス・ファルスティンが暴走したとしても「仕方ないね」と、

割り切ってしまうという事なのだ。

任命式の時に私が言ってしまった言葉に、

お父様と叔父様は新しい文字を咥えてしまったのだ。。



―ファルスティンの為だけ生きて、ファルスティンの為だけに死ねる―


それはお父様と叔父様が望んだ最後の願いなのかもしれない。


「お父様と叔父様は本気なのね?」

「もう、あの二人に譲歩の2文字はないのでしょう。

エルゼリア様が「学園」に通っておられる間、

ライセラス様とアネス様の会談は良く行われていたみたいですし、

ゼファード様とアネス様との話し合いでは涙を見たと言う、部下もおられます。

お二方にとって、エルゼリア様は「特別」なのでしょう」


私は国に奪われた象徴と言われればそれまでだけれど…

もう、戦わないと言う選択肢はエルゼリア・ファルスティンに、

残されていなかった。


…と言っても、私としてはどの道王国とは、

近いうちに決別になるんじゃないかって思っていたし、

経済戦争が始まるのが何時からになるかなんて些細な事だったので問題はない。

基本領内の生活水準は現在の状態でも上昇傾向なのだから。

このまま領地を回して行けば自ずと王国の物は、

領民達に合わなくなってくる。

もう少し水準を加速させてあげればその先に待っているのは、

王国から入って来る物が趣向品しか売れなくなることは明白で、

今は領内で足並みをそろえる為に、

領内の商人達に統制をかけてあげているけれど、

もう少しして領外への規制を緩めてあげれば王国の経済なんて、

食い散らかせると思うのだ。


けれど、その判断をするのはお兄様であって私ではない。

私は育ちつつある文化を更に領内に根付かせる為に、

ジワリジワリと準備を進め続けるだけだった。

演劇?音楽?とりあえず、手っとり早く楽器の製作をギネヴィアに、

頼まないといけないかもしれない。


「…ふぅ。

思った以上に予定が詰まるわね」

「そうですね。

では予定が詰まった所でお着換えのお時間です」

「ええ」


そうして移動するとその先に用意してあったのは、

何時もの試作品のドレスじゃなくて、式典用の立派なドレスだったのだ。

待機していた針子さんもデザイナーさんも、

何時もの私が抱え込んだ子達じゃない。

もちろん彼女達もその場にはいたけれど、

ドレスの周囲にいたのは港湾都市で私のドレスを仕上げた、

別のデザイナーさんだったのだ。


「はて、これはどういう事かしらね?」

「もちろん本日はライセラス・ファルスティン伯爵様との

「正式」な会談なのです。

勿論正式な式典用のドレスを着て戴きます」

そう。なら貴女も着なさいね?新しい傍付きの着せて貰う侍女服を」

「へ?」


その言葉を聞いた瞬間、周囲を取り囲んでいた。

 私が抱えたデザイナーさん達と針子さん達はピンとしたのか、

隣のお部屋から何処からともなくリラーナに着せる侍女服を運んできたのだ。

こうなる事は解っていたのだ。

お兄様のとの正式な会談。

領内から出る事の少ない私にとって「正式」が付けばすぐに、

正装用のドレスを用意するに決まっている。

ともなればリラーナは私を飾り立てる数少ない機会を逃すはずはなく、

絶対に、特別製のドレスを用意させているだろうなと。

だから、それに合わせて、リラーナのいない所で頼んでおいたのだ。

新しいデザインこそ間に合わないが、そこ代わり侍女服の構造を変えて、

「着る」のではなくて「着せられる」侍女服を用意してほしいと。

正式な会談に着て行けるような物を用意してあげておいてほしいと、

デザイナーさんと針子さん達は、リラーナに文字通りピッタリそうな、

それはそれは、素晴らしい着せられる侍女服を作ってくれたみたいだった。


「さぁお着換えを始めましょうか?」


にっこりしながらリラーナを見つめる私。

リラーナは信じられないと思いながら私が用意させて置いた、

侍女服に自身も袖を通す事になるのだった。

たまにはねぇ。着せられるのも良い事よ。

なーんて思いながら私達は着替えさせられるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ