考えても解らないお手紙の内容。そしてお兄様の思惑が…
次回の更新は明日の20時です。
実際学園に通っていた貴族生徒達は「階級意識」は薄い。
それが主人子のソフィアがヒーロー達が起こしたりする、
ちょっとしたトラブルに首を突っ込む事によって関わり合いを持ち、
ズブズブと関係を深めていく。
乙女ゲームの始まりに相応しい「素敵な出会い」の場を演出する結果となる。
階級意識を徹底させれば、自動的にヒロインとヒーローの接点が無くなって、
ゲームが成り立たなくなるからね。
私がどんなに「ゲームと現実を考察」したって今更何が解る訳でもない。
けれど、あのご都合主義満載の「学園」に登場するキャラクーたちを、
内包した世界を創るのなら…
出来てしまえるのであればオースヴァイン王国と言う国は、
既に歯止めのかからない所まで、国が崩壊していてもおかしくない筈なのだ。
けれど未だ王国は健在。
そして第2王子殿下は、面白おかしい手紙を送ってくる余裕がある。
その歪みが一体何処で吸収されているのか…
一部は確実にゴミ捨て場としての「ファルスティン」だった。
他にもいろいろな「歪み」に対処するための人々がいるのかもしれない…
けれど、今その「色々な人」の事なんてどうでも良いのだ。
私が対処をしなくてはいけない問題としては、
この良く解らない状態で未だ私への接触を諦めていなかった、
「第2王子殿下」の対処なのである。
「乙女ゲーム」や今の第2王子の状態から推察しなくちゃいけない事は多い。
私はあの乙女ゲームを完全攻略した事がないから解らないけれど、
乙女ゲーム的に言うなら隠しキャラ的な立ち位置となる存在なのだ。
全てのキャラクターを攻略したら出てくる隠し攻略キャラ。
そう考えなければ今の第2王子殿下の在り様は王国としてもまずいと思うのだ。
第2王子殿下は王太子のスペアであり、
言うまでもなく何かあった時の保険なのだ。
それなりの家臣団を抱えて、王太子に何かあった時は直ぐにスペアとして、
家臣団を率いて国を導く存在にならなくてはいけない筈。
未来の「王妃」という位置は「オースヴァイン王国貴族子女達」にとって、
限りなく魅力的な存在のはずなのだ。
その位置がフリーとして用意されている辺りに、
不気味さを感じられずにはいられない。
元々友好の証として他国に婿入りする事を前提に考えられているので有れば、
良縁があったから国内では結婚しないという事だったのだろうか?
そう言った噂を私が聞いたことがないだけで、
実はすっごい話が進んでいたけれどいきなり破談になってしまったとか?
それなら原因は一体?
私自身が知らなさすぎる事も多い事からどんな推論も立てる事も出来るけれど、
そんな考察は無駄でしかない。
ライセラスお兄様に頼めばその辺りの事情も事実が解るだろうし。
けれど、王太子のスペアとして機能しなくてはならない筈の第2王子が、
ファルステインと王国との関係を正しく理解していない事は問題で、
この状況認識能力程度なのは、私がパートナーとして選ぶ以前に、
普通の上級貴族と婚姻でも問題が発生するん…
…いや待て。
待ってほしい。
この期に及んで私に「使えない」宛がって「王子」という地位だけで、
満足してもらおうと考えていたのか?
そう思うと辻褄は合うけど合ってほしくないし流石に不味すぎる。
けれど任命式であの「勘違い背伸び野郎」は何といったのか。
それを思い出せば、ちょぉっと納得しないといけないのかもしれない。
「待っていてください」「必ず戻ってきます」「納得させられる姿」
どれをとっても、たかだか2カ月程度でなれるとは思えないし、
何せ国境に王子らしき人が入隊したなんて話すら出ていないのだから。
もう、どう判断して良いのか解らない…
ただ?誰かに言われて私に執着しているのか、
それとも自発的には執着しているのか解らないけれど、
だ、第2王子殿下は、
放置だけは絶対にしたらいけない存在に成り下がっていたのだった。
「考えても埒が明かないわ。
お返事は書く事にしなくてはいけないでしょうし。
いきなり「ファルスティンへの押しつけがましい善意の訪問」をされたら、
皆困るでしょう。
お兄様もいきなり「会いたい」なんて手紙を貰ってるとは思わないでしょうし」
「対処」しなくてはいけない事でしょうね。
私の婚姻に係る事だとも思うし」
「ではお話を通しておきますね」
「…ついでだから愛の「お手紙」を読んでいただきましょう」
私は机に仕舞った手紙をもう一度取り出すと、
そのままリラーナに渡したのだった。
あの良く解らないお手紙を読めば、お兄様の対応を変えるのではなくて、
対処をどうするか考えて下さると思うから。
その日はお目通りのお願いをして何時もの書類の確認をしながら終わった。
…のだけれど次の朝には、
お昼からお兄様とながーい会談する予定が組まれたと、
リラーナから伝え教えられたのだ。
ベッドから起き上がった私は開けた身嗜みを軽く整えられながら、
唐突な予定変更を聞かされ今日のおおまかな予定を聞く事に。
いわゆる意識が覚醒するまでの間の小休止タイムみたいなものも、
考慮してか少し早めに起こされたのだ。
それで予定の変更を伝えられるとそれだけじゃなかったのだ。
何やら重大な事を朝一番に伝えて、
私に考える時間を少しでも多くとらせてくれるようにする為に、
ちょっといつもとは違う朝の時間を過ごす事になった。
メイドにモーニングティーとでも呼べば良いのだろうか。
スッキリとした甘い紅茶を入れて貰って、
寝巻のままリラーナから重要な報告を聞かされた。
というか、知っておかなくてはならない裏話を聞かされる羽目になった。
「ライセラス様は、ご自身の立場を国に表明するおつもりなのでしょう」
「…早すぎると思うのだけれど?」
「いいえ、早くはありません…
これはリリーお姉さまとリチェルチェお姉さま経由の事なので、
確定事項ではないと言う事ですが…」
リラーナが言うには、叔父様とお父様が国に仕掛けて時限爆弾の第一歩の、
対応次第でライセラスお兄様は王国とやり合う事に決めていたそうだ。
ライセラスお兄様の心情としてお父様方が言っていた、
「怒りを抑えられない」と言う意味は別の意味を孕んでいたと言うことなのだ。
それは、「ファルステイン領」という領内に置いて、
隠居する事になった叔父様とお父様は、
それぞれの道へ進み始めると言う意味でもあるのだ。
お父様は「ファルスティン領」を守る為に我慢し続けた。
そんなお父様を慕っていた部下達もお父様の英断に従って、
こぞって引退をしたのだ。
これで政として表向き「王国に敵対的な集団」は消えた。
…訳が無いのだ。
別の意味で国は最悪の集団を作り上げているのだから。
泥水の飲まされ続けたアネスお父様は本音を言えば玉砕覚悟だったとしても、
王国に攻め入る事を良しとする。
そして、そんなお父様を慕って戦い続けた部下達が、
今のファルスティンの基礎を作り上げているのだ。
それは多少歳を取ってはいるが、
職種は多岐に渡り強力な武闘派組織の一団が出来上がっているという事で、
アネスお父様を頂点としてファルスティンの「どこか」に集団で、
ファルスティンだけを愛する行政を司れる組織があると言う事なのだから。
そして、アネスお父様が選んだ集団が組織を構えたのが、
ゼファード叔父様が魔改造しまくった国境線上の砦なのである。
そこに居を構えた時点で何が起こるのかなんて考えたくもない。
王国が「本気」で「国の存亡」を掛けた戦争を仕掛けて来ない限り、
簡単に返り討ちできる防備を固め続けるのだろう。
お父様は自身の持つすべての権限を使って前線で戦うつもりなのだ。
そしてゼファード叔父様は叔父様で、また自分の技術集団を抱え込んで、
こっちは予定通り港湾都市へと移動するとの事。
それは、私が少し妄想してしまっていた事を、
ゼファード叔父様自身で実行するみたいなのだ。
つまるところ叔父様は本気で冒険の旅に出るつもりらしい。
その「冒険」に備える為に本格的に、
あの巨大船舶の作り込みを実行するとの事。
それは、それぞれに
「国からの責任が無くなった事で領内における自分だけの責任の為に行動する」
という事だったのだ。
準備は着々と進んで聞き、叔父様の冒険の旅はともかく、
お父様のオースヴァイン王国との明確な線引。
そして、アネス・ファルスティンは王国を決して許さないという、
国に対してのメッセージとも言える行動を超す寸前なのだそうだ。




