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悪役令嬢は何もしない。けれど叔父様は世界を変えてしまいました。  作者: VLS
貴族令嬢としての始まり 与えられた役目を果たす為に
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彼の名前は…

次回の更新は明日の20時です。

お屋敷に用意された私専用の区画は、

まだ飾りもまばらで、物寂しい所となっていた。

それでも、他のライセラス兄さまと、ギネヴィアとの区画と見劣りするようには、

仕上げられてはいなかった。

専用に用意された区画へ入る直前には、叔父様の作った儀礼用装備兼、

どう見てもパワードスーツの一種としか見えない、特殊な鎧を身に纏った、

騎士に迎え入れられる事になる。

私が近づくだけで跪いて私に頭を下げるのだ。

そう言った武骨な騎士なのにリラーナは私を守る様な行動を取らなかった。

それはもちろんこの目の前にいる騎士が、

私を守る存在として選んだからに他ならない。


「初めてお目に係ります。

本日よりエルゼリア様の身辺を警護する、

グラファイス・ブラッティーローゼと申します」


ブラッティーローゼ。

皮肉を込めて王国に付けられた名前らしかった私もよく覚えている。

元は王国内の貴族で見捨てられた一族だから余計に忘れられずにはいられない。


「ゴミ溜め病原菌の駄犬ブラッティーローゼ」


王国に全ての責任を擦りづけられて、「償い」という形で、

一族全員がファルスティンへの医療支援という名目で移住させられたのだから。


それは王国の流行り病の責任を取らされたって事で、

王国内の医療関係を一手に取りまとめていた一族であったジャスティン家に、

失敗を擦り付けられる形となったのだ。

元は「ローゼ家」と言う名で、医療技術の発展と魔術の向上を目指した、

誇り高い一族だったのだけれど王国の政治的ミスの、

尻拭いをする事になったのだった。

お父様と叔父様の小さかった頃、王国内では疫病がはやったそうなのだ。

これは乙女ゲーム的に言うのであれば「王国の悲惨な過去」みたいな、

そういった表現で、あまり深く画かれるイベントではなかったのだ。

けれど、現実に考えたら「疫病がはやりました」だけでは済まされない。

森を感染源として、疫病に感染した人が町に帰り町全体に広がってしまった。

その報告を受けた王国貴族達はすぐさま隔離政策をしたのだ。

そして疫病への対応として王国で頭角を出し始めていた、

新しい医療の名家と呼ばれつつあった「ローゼ家」へ対処せよと命令する。

その依頼を受けたローゼ家の医師団はその疫病への治療に全力を注いだお陰で、

収束する方向へと進んでいたのだ。

けれど、それが面白くないと別の医師団を持つ家があったのだ。

「古き伝統の医療技術」を持つ王国一の医療技術を持つとされる家。

時の王族の健康を管理するいわゆる王族のお墨付きを受けたジャスティン家だ。

ジャスティン家は恐れてしまった。

自分達の知らない所で医療技術を進歩させ続けるローゼ家に。

新しく効果かあると言われて発見される「医療技術」は魔術だけではなくて、

新しい経験と知識から出来上がる複合的な「医療技術」は、

伝統を守らなくていけないジャスティン家では、

決して許される事ではなかったらしいのだ。

どんなに深い傷でも、どんなにひどい病気でも、ジャスティン家の誇る、

魔法使いが「強力な魔法で直す」のだ。

大魔力持ちで羨ましい限り…ではなくて。

広がり続ける疫病に対抗するには感染拡大防止が前提だと、

いくら素人の私でも解るがジャスティン家でその方法を取る事は、

「伝統が」許してくれない。

結果的に疫病へとの対処を「自由」に対応する事が出来た「ローゼ家」を、

現地に派遣したのだが王家は偶然だったけれど正しかったのだ。

のだが疫病の収束が始まった頃、王家は我慢の限界を迎えてしまったのだ。

つまるところなかなか収集が付かないこの疫病と言う騒ぎに。

ジャスティン家の治療で何時だって直ぐに治る事が普通と思っている、

王家にとってローゼ家は無駄に時間をかけている様にしか見えなかったのだ。

王家とジャスティン家はローゼ家が行っている治療行為が信じられなかった。

どっちが先だったのかは明確になってはいないけれど、

王家かジャスティン家が治まらない感染症への対策に口を出したのだ。

感染を広げない様にした隔離政策が気に入らなかったのだ。

嘘の治療をしようとして現場を混乱させたと、

難癖をつけ始めたジャスティン家はそのまま隔離政策を解除。

そしてシャスティン家の魔法使いを派遣して、

その場で治療して表向きの病気の根絶は出来たのだ。

すばらしい流石ジャスティン家だと褒め称えらえれる王家。

けれど問題はここから。


根絶できたとして町は解放され流通は再開。

けれど無自覚の保菌者が各地へ散ってそこでまた発病して瞬く間に拡散。

そして王国中に蔓延しる事になったのだ。

その対処で王国は混乱する事になったらしい。

けれど寒い地方にはあまり関係のない事だったのかファルスティンには、

影響はなかったので、お父様もあまり詳しく覚えていないみたいだったけれど、

それでも爆発的に国中へ病が広がってしまったのだった。

都市の封鎖を解いて行き来を自由にした結果訪れた地獄のような、

感染拡大は瞬く間に起こりもはや手の施し様がない事態にまで、

悪化してしまったらしい。

けれどそこで王家は何故か「伝染病はない」という発表をして、

何も対処をしないと言う事になったのだ。

一年の後、大打撃を受けた王国は「誰か」に責任を取らせないといけない事に、

なってしまったのだった。


―誰が国王に虚偽の報告をして病原菌の封じ込めに失敗させたのか―


そして、厳正な内部調査の末出た結論。

封じ込めに失敗した責任は解放を宣言したシャスティン家ではなくて、

ローゼ家が取らされる事になったのだ。

理由は


―伝統の治療をぜずに独自の治療をしていたから―


という事だった。

そこに学術的な原因を示す事は一切書かれていない。

ただ独自の治療を施しただけ。

けれど、膨大な魔力を持つジャスティン家の人間でなければ、

数日間の回復治療で治すなんて不可能なのだ。

だから精一杯出来る治療をローゼ家から派遣された医師団は行った。

それで回復傾向に向かっていたのだからその治療だって間違いじゃない。

そしてなにより、後から時間がかかり過ぎたと言って派遣された、

ジャスティン家の人間は患者の治療をしたのは、優先された町の権力者であり、

治り掛けの回復傾向に向かっている人だけなのだ。

まだまだ重病人はいたけれど、

その場にいた町の有力者さえ救えば良いとばかりに、

そう言った特別な人々だけを治療して町はもう閉鎖する必要はないと、

判断したのだ。 

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