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悪役令嬢は何もしない。けれど叔父様は世界を変えてしまいました。  作者: VLS
貴族令嬢としての始まり 与えられた役目を果たす為に
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仮住まいだけれど専用のお部屋は必要みたい。

次回の更新は明日の20時です。


人を育てる事は、当然だが教師となるべき人間も必要となってくる。

そう言った意味で、これから私が面接でするべき事は、

その教師となれる人を選ぶことだろう。

まずは私の身の回りを揃える傍らで、そう言った人材を

確保していくべきなのでしょうね。

少なくとも、私を着飾らせる事の意味を知って、その役目を果たせると思って

立候補してきてくれたのだから、服飾関係の教師として有能かはともかく、

腕には絶対の自信があるはずだもの。

「王国規格のドレス」以外を作らせるのが、私は楽しみで仕方が無かったのだ。

そしてあわよくば、新しい服飾文化の発展を望まずにはいられない。

私が着る事は叶わないかもしれないが、領民の文化としての

新しい服装が生まれる事を私は楽しみにしないではいられないもの。

寒い場所だから前世のカジュアルなスタイルまでとはいかなくても、

仕事着として新しい物が生まれて来たらと、その種まきもしないといけない。

少し思考を巡らせれば、その先には新しい文化を根付かせる事の難しさ。

それ以上の楽しさを感じないではいられなかった。


リラーナに案内されて、隣の部屋へ移動事になった。

その隣の部屋は、私の為の本当のお着換えをする場所。

フィッティングルームとして仕上げられていた。

一応、私室として仕上げられているようで、私の寝室と同じ内装の

壁紙や彫刻が施されている。

体全体を映す3面式の大きな姿見と、

ドレスを大量に収めてあると思われる、ウォークインクローゼットへと

繫がる大き目の扉に、私が身に着ける為に用意されたドレスに合わせて

使用する装飾品が収納されている、埋め込み式の鍵付きの棚。

女性が身嗜みを整える場所として仕上げられていた空間だった。

床にはご丁寧に私がいてほしい場所と言わんばかりに、

円を描く模様が施された絨毯がひかれていて、段差や仕切りこそないけれど、

私の立ち位置はそこなのだと、一目で解る仕上がりだった。

立派に準備された空間はそれ以外の用途を全く想定していない。

服飾専用の部屋として完全に仕上げられていた。

大き目の姿見も持ち運びを考えて作られている訳じゃない。

一番の目的である私を着替えさせるという役目を果たせる場所なのだった。

とはいえ、今日はその役目を果たす事は無い。

リラーナと二人で着替えてしまったのだから。

私はリラーナと二人だけで朝の準備は出来てしまうのだ。

それでも、これからは二人だけで準備する事は許されない。

私は私の身の回りの世話をして貰う事で、「命令する事」に

馴れて行かなくてはいけないのだから。

ハイテク用品?がないこの世界は、言い換えれば

生きているだけで「時間」を思った以上に「消費」してしまう。

私の身に着けるドレスは一番近しい「時間の消費」なのだ。

立場状「美しくドレスを身に付けないといけない」以上、

手を抜いて着替えをする事は許されない。

確かにリラーナと二人でドレスを着る事は出来る。

けれどその着付けには無意識の攻防も当然ある。

二人だけで気軽に着換えるのであれば――

私は衣類を自身の付け心地の良い所に自分で宛がって、

背中側でリラーナに留めて貰うのだけれどね。

その位置をリラーナはずらして「美しくなる位置」に身に着けさせるのだ。

長年の矯正で体が歪んでいるから、その歪んた位置が私にとっては「楽」なのだ。

けれど、その楽な位置ではなくて体を一日でも早く元の形に戻したい。

ファルスティン製のドレスを無理なく着れる様にしたいリラーナは、

多少息苦しくなっても私の体が元に戻る様にコルセット等で修正したい。

そう言った無意識の攻防があるの。

用意されているドレスは、着衣としては破格の部品点数へと分割されているから。

勿論綺麗に整えるにはやっぱり時間がかかりすぎるの。

2人で着替えるより大人数で着替えた時の方が、素早くより綺麗に着られるけれど。

王国基準のドレスで身嗜みを整えるお着換えはこの有様。

更に爵位と立場が上がると細かく分割されて時間を消費する事が多くなっていく。


洗濯一つとってもそうなのだ。

前世の様に放り込んでおけば自動的に洗っておいてくれる洗濯機なんてない。

料理だって思った以上に手間が掛かる。

つまみを捻れば、直ぐに点火して一定の炎を出し続ける便利な火力調整が効く

コンロなんてものはないのだ。

竈で薪を燃やして温める事が領内の普通の家庭の調理方法なのだ。

衣食を他人に賄ってもらわなければ、

私の一日の半分は生活するだけで終ってしまう。


その延長で私の周囲は整えられている。

便利な通信手段のスマホがある訳では無いのだから。

担当部署の責任者に現在の進捗状況を報告してほしいと言ったら、

それだけでその担当部署に行き報告を聞いて来る人を出さなくちゃいけない。

この世界では、まだなにをするにしても人の手は重要なのだ。

だから私は私がやりたい時間を確保するためには、

本格的に人に動いて貰う事に慣れないといけない。

学園で使った矯正具まみれの代わりに自分で身に着けられる制服は、

そう言った意味では時間がかからなくて便利ではあった。

着換えた後にボルフォード家のメイドのチェックでさらに絞め上げられたけれど。

あの気軽に着る事が許された「制服」は、その点だけは評価できるわ。

着る事が楽な物を私が身に着ける事はもう許されないけれど、

一般に流通させるものとしては使えるとは思う。

さて、他の事に思考を巡らせるのはひとまず置いておいて、

私はこの場に用意された物を見ながら選び取らなくてはいけない。


広めの部屋として用意されているフィッティングルームは、

もちろんドレスを見比べられるようになるスペースも当然用意されていた。

私に評価させる事もこの部屋を用意した理由の一つなのかもしれない。

私室の細かい部屋割りはリラーナが行っていたから、

その大きさも多様に分かれているけれどこのスペースの取られ方は、

たぶんフィッティングルームが一番大きく場所を使っている事だけは確かだった。

6着のドレスとその隣に立つそのドレスのデザイナーと針子達。

式典用としても使用できるデザインで仕上げられた「新作」のドレスを伴って、

私の評価を今か今かと待ち望んでいる事だけは理解できる。

デザイナーと針子達の緊張を感じさせるピリリとした雰囲気を全員が

出しているのだ。

人が大勢いると言うのに、物音ひとつ聞こえない状態だった。


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