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見知った物でなければきっとその意味を理解できないかも?

5月14日まで毎日更新します。

蒸気文明を突き詰めてしまった結果の産物の一部。

火薬を使わない固定型長距離砲。

投射兵器の数々。


この世界の戦いはまだ魔法を中心に「攻撃」が考えられてる。

だからその魔法を封じるべく砦には叔父様禁制の魔法妨害装置か設置され、

それ以上に相手の攻撃範囲から一方的に攻撃できる物が備え付けられている。


「大型の固定型術式は解らないけれど…

普通の人間が攻撃する以上、絶対に攻撃目標を見る必要があるんだよねぇ。

って事は山なりに巨石を投げ続ければ魔法使いは反撃できないよね?」


その攻撃範囲は前世で言えばキロ単位の投射能力を持つらしい。

砦の後ろに隠れて鉄馬で移動できるように作られたソレは、

いわゆる列車砲に似通った物まで用意されている始末で…

「備えあればオーバーキル」が出来る物が用意されている。

もちろん、戦争状態ともなれば、直ちに鉄馬の簡易レールも引かれ、

領内のあらゆる所から継続戦闘に必要な物資が運ばれてくるのだから、

砦には夢とロマンとファルスティンの誇る最大級の牙が仕込まれている事になる。

領内の物資が空になるまで戦い続けられるし弾薬や燃料。

食料だって領内が空になるまで運ばれるのでしょうね。


王国には何も渡さない。

奪われるくらいならすべて使い切ってやる。

それを体現するかのような心意気で砦は日夜兵士達の手によって、

カスタマイズが続けられてしまっている。


もちろん。

普通の兵士を迎え入れる事も考えて叔父様はファンタジーもちゃんと用意していた。

叔父様は近代兵器は用意しなかったけれど、

謎の錬金術を使って血液認証の魔法武具なんかも作り上げてしまっていた。

砦や領内では魔法は封じられる。


けれど兵士達同士の戦いなら数が物を言う戦いになってしまう。

相手を効率的に無力化する事に叔父様は全力で取り組んでもいたのだった。

一体いつの間に?

こんな事もあろうかと!

っていう言葉が飛び出てきそうなほど優秀な兵士達というより、

自分を信じ付いて来てくれた兵士達に生きていてほしいという願いからか、

叔父様は特別な武器を与えてもいる。

製法は叔父様しか今は知らない。

魔法と錬金が出来なければ作れないみたいだけれど、

叔父様は人数分仕上げて渡したみたいだった。


魔法武器は何故か結界内でも有効で?

信任厚い騎士達や実力者へ配られていた。

ファンタジーと科学の勝利なのかな?


もしも来訪した貴族の方々が、領民に対してオイタをした場合すぐさま対応。

領内で暴れるようなことをすれば一発で鎮圧して差し上げる体制は作ってある。

とっても心強い方々が「貴族」と「王族」の警備に付く事が決まった。

アネスお父様とゼファード叔父様が選び騎士爵を与えた素晴らしい方々。

礼儀を重んじファルスティンに忠義を尽くす買収など絶対に出来ない、

素敵で紳士な方々が王子様のエスコート役に選ばれていた。

もちろん王国への心遣いを忘れない様な温かいエスコートが出来る人選だ。

イラっとすれば人が「いなかったことになる」素晴らしいエスコートをして下さる。

お父様達にとってはどっちだって構わないのだ。

ファルスティンに干渉し続けようとする為に、力で押さえつけようとするなら…

それ以上の力で叩きつぶすだけ。

お父様も叔父様ももう隠さない。


まぁ、隠さなかったからお兄様への世代交代になったのだけれど。


ただ…

第2王子殿下がどういった人かは私には解らない。

私達の入学と同時に卒業だったから直接お会いしたこともないし。

ボルフォード家の公爵夫人として付き合いが出来るとしたら、

王太子殿下と王太子妃様になるはずだったし。

その辺りの人物像は正式にボルフォード家の屋敷に閉じ込められてから行われる、

国家の機密の含んだ教育だったからもちろん後回し。

第2王子殿下の事も当然知らされない。

ポット出てきた第2王子殿下の「来訪と良き日」なんて言われても、

思惑が透けて見えるからそれ以上は気にしないつもりだった。

少なくとも、第2王子殿下と私の関係はお兄様が考えて下さるでしょう。

ボルフォード家で無理矢理婚約させられ、

こちらから破棄さえ許されなかった前例があるから王国としても、

無理に話を進めたらどうなるか理解しているでしょうからね。

ファルスティンにとっては「第2王子殿下」と言う名のただの人という評価。

だから領内に入ってまで王国の論理をかざし命令する人だったら、

もう容赦は出来ないわよ?

そして任命式が終わる前は領主はアネスお父様なのだから。

その事をちゃんと理解した王子様ならいいけれど、

そうでないなら無事に帰れるかどうか…


ともかく私達の式典日の朝は開けてしまった。

まだ外は暗いのだけど既に時間としてはギリギリになりかけている。

何時もより早い時間に起きなくてはいけない理由は一つ。

時間をかけてこの日のために用意された装飾品とドレスを着るから。


全て身に着けるお仕度が始められる時間になってしまったという事だった。

美しく仕上げられたドレスを着る体が汚いなんてありえない。

ドレスを着る前に徹底して磨かれる時間が始まる。

用意された大き目のお風呂場に連れて行かれて入浴が始まった。

これがあるから今日は一段と早く起きなければいけなくなっていた。

今日は準備する側もされる側も真剣そのもの。

主の晴れ舞台を完璧にこなしたいという想いと、

領内で初めて行われる事になってしまった「王国格式の任命式」のお陰で、

周囲の任命式を受ける主を完璧に仕上げたいと願う気持ちは、

より大きくなっていた。

主が嘲笑される事は絶対にさせないという周囲の決意の表れでもあった。


私とギネヴィアは、不思議なマッサージを受ける事になり練習と称して、

いわばエステ?の様な事を私は前日まで毎日付き合わされていた。

単純に色々な物を使って磨かれるのだけけれど、

結局ドレスの下に全て隠れてしまうのだから。

体をそこまで仕上げなくてもと思ってしまう。

けれど練習中、丹念に丹念に磨き上げる彼女達は嬉しそうに口にするのだ。


「エルゼリア様がどうお考えなのか少しは解るつもりです。

ですが申し訳ありません。

こうしてお体をお世話させて戴けていると思うと…

本当にっ。本当にっ。私達の下に戻って来て下さったと実感できるのです。

ですからっ…私達のっ。私達だけのお嬢様になって下さいませ」


エルゼリアがファルスティン領内にいる事。

その事が嬉しいと言われて実際に触れられる事が現実なのだと、

メイド達も考えているみたいだった。

ファルスティン領の領民にとって「エルゼリア」は王国に奪われた象徴。

そう考えている人がどれだけ多いのかを考えさせられる事の一つだった。

特に湯あみの介助係になれば私に直接触れる事になる。

それは私がここにいるという事を、

必要以上に感じられるという事でもあったのかもしれない。

日に日にツルツルになっていく体を感じながら、

私は丹念に仕上げられていく体を見ているとファルスティン領の、

彼女達は私を取り戻して、

「エルゼリア様は私達の物っ!」と宣言しているみたいだった。

ボルフォードの婚約制服によって3年かけて歪められた体を少しでも、

正しい形に戻して少しでも早く「ファルスティンのエルゼリア」に、

戻したいのかもしれない。

私の歪んだ体は「王国とボルフォード」と深く関わり合った証拠でもあるからね。

任命式を私がファルスティン領内で受けるという事が、

王国から大切な物を取り戻したという証拠にもなっているのかもしれない。


完璧な体に仕上げる。

自分達が出来る最高の状態に「エルゼリア」を仕上げる。

それをメイド達は口には出さないけれど、共通の想いなのかもしれない。

この日の為に何日もかけて丁寧に仕上げた衣装を着るのだ。

その身に着ける本体が汚いなんてもちろん湯浴みの介助係は許してくれない。

自分の受け持つ担当の事で自分の出来る最高をエルザリアに感じてもらう。

与えられた時間はギリギリ有効活用したい。

時間はいくらあったって足りない。

風呂場に閉じ込められゴシゴシと肌がヒリヒリするぐらい磨かれるのだ。

そしてこれでもかってくらい全身をくまなくチェックされて、

それでもまだ満足してくれなくて「制限時間一杯だから」って理由で、

やっとお風呂場から出る事を許されたのだった。

もちろん隣でギネヴィアから楽しい言葉が漏れ聞こえて来ていて…


「くすぐったい…」「うひゅ」「ひゅき」


なんとも可愛らしい単語を聞き続ける事にもなった。

領都に戻って来てから数日間、毎日ギネヴィアも磨かれて…

始めて磨かれた日は私も忘れられない位くすぐったかったのか大笑いして、

気絶するという失態まで披露してくれた。

まぁ、私も人の事言えないんだけれどね。


それが終われば真っ白のガウンに袖を通す事になる。

それから移動の為に髪の毛を纏め上げられれば私とギネヴィアは、

やっとお風呂場から解放されてフィティングルームへと連れて行かれた。



着るだけで重苦しい気分にさせられる愉快な一日の始まりだった。


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