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悪役令嬢は何もしない。けれど叔父様は世界を変えてしまいました。  作者: VLS
辺境の1地方の終わりと国家間攻防(物理)の始まり。
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戦後処理を始めないと海がね?

敵は無力化済みだから警戒態勢は最低限。

緊張と言う重しを下ろす事を許された人々から日常に戻っていく事は想定内。

けれど海上に浮かぶ最後の生き残りの処理は的確にしなくてはいけないのだ。

グラファイスに頼んで海岸線の確認をしたいとお願いしたのだけれど…


「いけません。

今海は汚れております。

なので、エルゼリア様が見られる「海」ではありません」

「汚染が始まっているのね?」

「…そうです」


戦闘の残り香の処理。

要人の処理が終わったとは言えそれでやる事が無くなった訳じゃない。

これからが一番メンドクサイ事を始めなくてはいけない事が始まるのだ。

聞きたくもないし見たくもないけれど処置は施さなくてはいけない。

綺麗だった内湾は木造船の破片とその他の口にもしたくない物が浮かび、

湾内に落とされた大砲と火薬は確実に水質を汚染し、

未だ海面を漂っているのだから。

ド派手に打ち上げて叩き落とされた高射砲の砲弾は完全に海面下を汚して、

湾内で育てていた「養殖場」は報告書では木っ端みじんで。

壊滅状態へとなってしまったのだ。

当然だとは思ったけれど浮きも網も何もかも消し飛んだらしいのだから涙もでない。

当分の間は魚介類の安定供給は不可能となってしまったのだった。

生簀の再構築にも当然時間がかかるし小物だけれど重要な養殖業の雛形が、

高射砲の着水による余波で綺麗に吹き飛んだのだから仕方がない。

当然国外に作っておいてある予備の生簀や魚はあくまで予備であり、

本体の大きめに作ってあった生簀に入っていたほどの魚がいる訳じゃない。

主食として消費するほど大きな市場は出来ていないけれど、

テスト用として高速列車に乗せられて、

領都まで運ばれる魚介類は当分減る事になりそう。

それは高射砲を発射した時から解っていた事だけれど、

それでも現実に消失して壊れた物品の事を考えると結構大きな物(未来)を失った。

そう考えると腹立たしいと思えるのは、

必要な物だったと考えているからに他ならない。

この再生作業はとても大変な時間を要する事になる。

ともなれば、汚す原因を作った奴等の生き残りにやらせるしかないでしょう?

一応ブランをギネヴィアに提出して承認の許可を得る事は出来るだろうし。

反対する人もいないでしょう。

必用な物としてある特殊な機械を発注する事にしたのだ。

今回は要らなかった物まで作ってもらう事になってしまうのだから仕方がない。

オイルフェンスもどきと、冷房装置の2点を至急作ってくれと頼んだのだ。

用途は見たまんま海上海中のゴミが湾内に広がらない様に設置する為…ではなくて、

勿論別の用途に使うのだ。

だって既に開戦から何日も立っているのだから。

ゴミは海岸線の一部に漂着しているもの。

さらりと頼みごとをしたくてリラーナと共に執務室を訪ねると…

そこには素敵に着飾っているギネヴィア。

私の要望の書類は当然直ぐに目を通して貰えるから問題はないのだけれど…

椅子に座りながら必死に針子さん達に纏わりつかれている光景は、

諦めているというか悟りを開いているというか…

その光景は見なかった事にしてあげようと思う。


「エルゼリア、今更コレ等は必用はあるの?

それに湾内の釣りを禁止する必要はないんじゃない?」

「何度も言ったけれど、汚染された環境下で育った養殖魚は食べられないわ」

「本当に?」

「本当よ。

一時的に事だとは思うけれど、今は不要な問題事を抱え込むべきじゃない。

釣りの禁止は湾内の濁りが無くなるまでの間だけだからそんなに長引かせないわ。

今は養殖用の生簀を直すまでが限界ね。当分は郊外に作った養殖場に力を、

入れて生産するしかないわ。

それに合わせて缶詰の生産調整もよろしくね」

「解ったわ」


当分は離れられそうもないド派手に着飾ったギネヴィアとそれを支えるアルフィン。

きっと「余計な事」は言わない方がいいのよね。

今は戦闘後の影響を最小限にする方法を模索しなければね。

水質汚染なんて概念がまだ存在しない世の中だから、

魚介類は食べられると思ってしまうけれどその後に訪れるであろう健康問題は、

初期の段階で引き止めて置かなければもっと大変な事になる。

そうでなくとも都市ギネヴィアは重工業都市として道を歩み始めているのだから。

新たに食品関係も始めてしまった以上環境は重要なのよね。

缶詰めなんかの生産を始めてしまっているからその原料を考えるとね。

環境汚染はファルスティン領全体の問題となる事は解っている。

魔法と言う便利な物で「浄化」する事は当然できる。

たちまちのうちに人々は回復し環境は良くなる。

それは解っている。

けれど…

けれど人の特殊技能に頼る「環境保全」は、

いつか頭打ちになる事がわかっている事だから安定的な成長の妨げになるのだ。

その根本が大きくならない事が重要なのよね。

その辺りは叔父が帰ってきてから「対処」して貰う事になると思う。

公害で都市の発展の足を引っ張られるのは問題だもの。


そう…そう言った意味でも姫様方の座乗艦はともかく、

湾内に浮かぶ最後の生き残りの随伴艦の乗員にやらせる事なんて、

決まっている。


―湾内の清掃である―


清掃と言う言い方をするのもちょっとおかしい。

正しくは確実に汚染物質となる物を遠くに投棄させる事なのだ。

今大切にしなけれがいけないのは「都市ギネヴィア」とファルスティンなのだ。

それ以外の土地が汚染されようと私はちっとも気にしない。

と言うわけできったないゴミを移送するという、

この地味でメンドクサイ作業を永遠と死ぬまでやらせるか…

もしくはこの湾内から本国へ帰還するか。

どちらをさせようか考えていたのだけれど、

お兄様の素敵なお手紙を届けてもらわないといけないから…

はてさてどうしましょうね?

帰還するだけの水も食料も与えないけれどね。

渡す理由がないもの。

敷いてあげるのであれば、清掃の報酬として売ってあげる事も出来るけれど、

まだ敗戦の損害賠償(水質汚染による養殖場壊滅)しても立っていない訳で?

せめてお掃除くらいは「ご奉仕」させなければ気が済まない。

湾内にも海流はあるから当然浮かんでいる者は外洋へと流れ出てくれるから、

滞留する物は少ないけれどね?

落した「大砲」は拾い上げて貰わないといけないし?

しないのであればそれはそれで、色々と問題になりそうなのだけれど…

船員達は決断しなければいけないのよね?


結局海岸線を見る許可が出なかった事で、

その後の船員たちとの交渉に関しては、

グラファイスとその部下に丸投げする事しか許されなかった。

終わった後の事を纏めて報告を聞くだけになったのだ。

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