お姫様方はとっても気品あふれる素晴らしいお方の様でとても見習いたい存在…ではないかな。
慌ただしく姫様方を鉄馬に乗せて送り出せば、
通常の生活に戻るまであと一息だと思い皆気力を振り絞って
お姫様方の対応をしていたのだった。
鉄馬と言う未知の物に乗る事を拒む事は無かったのだけれど案の定
「私達に相応しい物なのかしら」
「そうよ私とお姉様が乗るのよ最上級品を用意なさい!」
この地にある最上級品は勿論ギネヴィアの為に用意されている列車で、
それをギネヴィア以外が使う事を許せるほど周囲の人々は心が広くないのだ。
ファルスティンならともかく何故訳の解らねえ姫を名乗る奴の為に?
特捜列車を走らせねばならんのだと…
鉄馬に乗る事が決まったその日に鉄馬の運行管理責任者が、
吊るし上げを喰らう位に急速に姫様方の評判は地に落ちていた。
情報源はもちろんギネヴィアの傍付きと侍女達からで、
その情報源からもたらされた物だからとっても正確で、
運行管理責任者は
「そのギネヴィア様から遠ざける為だ!
急いでご用意してさっさと領都に連れて行くんだ!
アルフィン様とギネヴィア様から訳の解らねえ奴を連れ出す為なんだ!」
という、ぐうの音も出ない説得力ある言葉を使って列車を用意したのだった。
そのエピソードを聞くだけで今回の都市ギネヴィアを結界で守り切った
ギネヴィア様はお疲れの中必死に都市を守り続けているという素晴らしいお方に、
評判が急上昇している事が解る出来事になってしまっていたのだった。
ともあれ戦闘の残務処理をすれば、
何時もの日常が帰ってくるはずなのである。
なれば海に浮かぶ彼等にはそろそろ決断して戴こう。
残った最後の随伴艦の乗組員はどっちが好みの出来事なのか。
―愛しき姫様の為に逃亡を手助けしてここまで来たのか―
それとも?
―結婚前の最後のご旅行で―
―姫様方の最後の外遊の果てにこの地にたどり着いたのか―
前者の場合は生かして返す必要がないのだけれど、
後者の場合なら「演習」で不幸な事故が起こってしまったとして、
「処理」してしまうだけなのだ。
お兄様から素敵なお手紙が届いている事だし。
「内容を確認したのち選択肢として帰国を選ぶのなら渡してやると良い」
そう言伝を聞きながら届けられた手紙の内容はなかなか素晴らしい内容だった。
そして同時に、あぁやっぱり逃げていたのはオースヴァインからだったのだと、
核心を得られる内容だった。
勿論気付かせる為に読むようにと届けられた物だという事が丸わかりだった。
―確かに貴殿の国の二人の姫は我がオースヴァイン王国を代表して―
―ファルスティン家当主ライセラス・ファルスティンとその妻ターシャが―
―姫君達が正式に王家に嫁ぐまで身の回りのお世話をさせて戴く事になった―
―その任を全うするために最大限努力させていただく―
―また不幸な行き違いがあり、残念なことに貴国の姫君の座乗艦と―
―護衛の船団は随伴艦一隻を残して全て沈んだそうだ―
―荒波にもまれてしまったのだから諦めるのが宜しいだろう―
―そしてオースヴァインの王家と強く結びつくデルフィナス王家を―
―当家は歓迎する―
―これからオースヴァイン王国にとって素晴らしい貴国となる事を祝福する―
うげぇ…
これ直接は書いていないけれど、
姫を人質に何かオースヴァインはひっどい事を命令する予定って事でしょ?
それに気付いたデルフィナス王国の国王がその契約から逃げる為に、
姫様方を逃がしたって考えるのが普通なのかもしれないわね。
普通に考えれば15隻の大船団で姫二人を逃がすなんて考えられないもの。
それ以上を失うと思ったからデルフィナス王国から、
姫様方は逃がされたのだろうけど、その行き着く先がオースヴァイン王国の、
一領地だったとか…
あの姫様方は恐らく逃がされた理由すら理解出来ていなかっみたいだから、
何も言えないけれど…
領都で花嫁修業?でもされるのかな?
いや…深く考えるのは辞めよう。
既に都市ギネヴィアは平常化へと向かって進んでいる。
あのやかましいデルフィナスの姫君を送り出した後は当分の間、
アルフィンとギネヴィアは離れないでしょうしリチェルチェもそのつもりで、
動いているから色々と裏から手を回してきていた。
その内の一つが今私が携わっている事なのだ。
「エルゼリア様、戦闘の残務処理…
お願いできますでしょうか?」
「大丈夫よ。ギネヴィアとアルフィンの事は解っているから」
「ありがとうございます。必要な事はリラーナを通してお申し付けください。
直ちに「処理」致します」
「解ったわ」
「それでは私は…
ギネヴィア様を〔いいこぉ~いいこぉ~〕します。
そして素敵なドレスを着せて針子とデザイナと一緒に新しい扉を開きます」
「ええ。しっかりと開いてあげなさいな」
「はい」
その後はシュタタタタタと軽快な走る音を立てて、
リチェルチェは走り去ったのだ。
周囲に余計な余裕が出来れば当然その緩みはリチェルチェの行動が、
彼女にとって面白おかしくなることにも繫がる。
…ギネヴィアが通常の生活に戻れるのはまだ先の事のようね。
残務処理を任された私はそのま自身の為に用意されているバルダー家にある、
私室へと戻り作業を始める事になる。
リラーナを傍に置いてグラファイスが定位置に立つ、
正に普通の日常が帰って来たって事なのだ。
そして近くの部屋からリチェルチェの笑い声とギネヴィアの泣き声を聞きながら、
最後の残務処理へと本腰を入れる事になる。
「リチェ!私考えてない!感じているのよ!」
「そうですね!感じてくれて嬉しい限りでーす。
なのでご褒美として〔いいこぉ~いいこぉ~〕するのでーす」
「ちがーう!」
「私達のギネヴィア様はあんなバカな姫君達より、
美しくなくてはいけないのでーす。
いいえ!美しいの!」
まぁ、負けた訳ではないのだろうけれど姫君達の我儘三昧に付き合わされた、
ギネヴィアの衣装係達はそりゃあもう、自身の実力でどれだけ主が美しく出来るか、
試さないではいられないのだ。
自身の主の高潔さを確認したくしてしょうがない事理解できてしまう。
そして最後に我慢したご褒美を、一番無理をさせた服飾関係の関係者の、
ご機嫌を取るためにはギネヴィアがその身をさしだすのが超と良い事を、
リチェルチェは勿論理解しているから、率先してギネヴィアを着飾るのだ。
あの特別な傍付きのリチェルチェ様がギネヴィア様を着飾らせたいのだから…
私達はお手伝いするだけと言う大義名分を与えられた針子さん達が、
暴走しない訳無いのにね。
なんともまぁ微笑ましい時間が進むのでしょうよ。
そしてねっとりとした視線から逃げる為にアルフィンは頑張ったのだから、
当然愛の語らいの時間も作られるでしょうし。
趣味と実益が混在した夫婦の周辺はこう言った形で人心を掌握して、
周囲との繋がりのバランスが取られるのでしょうね。
と他人事の様に勝手に納得して置く事とするのである。




