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悪役令嬢は何もしない。けれど叔父様は世界を変えてしまいました。  作者: VLS
辺境の1地方の終わりと国家間攻防(物理)の始まり。
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他国のお姫様のお陰で、別の所で燃え上がってしまったみたい。

「リ、リチェ、私限界…」

「ギネヴィア様に限界はありません。

あるとしたらそれは無限に広がる可能性なのです」

「リチェ意味が解らないわ」

「昔ゼファード様が仰いました「考えるな感じろ」と。

つまり今ギネヴィア様はご自身のお姿を考えてはいけないのです。

「感じる」のです。そうすれば自ずと未来が見えて来ます」

「違うのよ。未来とかじゃないのよ?未来はいいから…コルセット緩めて」


しかしその言葉に当然リチェルチェ首を横にしか降らない。

周囲では針子さんとデザイナーさん達が目を血走らせながら、

きつくドレスの部品を縫い付けていくのだ。

丁寧にそして正確に縫い目を合せながら組み立てられていくそのドレスは、

一種の芸術品でもあると同時に着せられたら本人には脱げない愉快なドレス。

それでいて結界を張るために必要な物が取り付けられているのだから。

それは万が一戦闘で脱がされそうになっても耐えられる様に作られている、

鎧としての価値すらある物に仕上げられているという事。

そりゃ着せる側としては大切な主を守る最後の砦用なのだ。

丹精込めて縫い付け作られるからいい加減泣きそうなギネヴィアなのだけれど、

リチェルチェが一言だけ悪魔の言葉を告げれば彼女は泣き事を言えなくなる。


「では、アルフィン様を来訪する「姫」に取られても良いと?

今はギネヴィア様がガッチリ御心を掴んでおりますが、

はてさて?今日はとても着飾った両姫をその目に映す事になると思います。

それを見てアルフィンは「平静」でいられるでしょうか?」

「え?え?え?」

「ええ。そうなのです。アルフィンの心の拠り所となるために、

ギネヴィア様は着飾らなくてはいけないのです!

そしてアルフィンの心をがっちりキャッチです!

良かったですね!

素敵なドレスがあって着られるのです!

ギネヴィア様の魅力もアップアップで-す」

「リチェ!遊んでる?遊んでるわよね?」

「リチェは遊んでおりませーん。楽しんでいるのです」

「余計に悪いわよぉ!」


そこには一国の姫の様に飾り付けられて一段高い所に、

柵を立てて守られ座るギネヴィアとその横に控えるアルフィン。

そしてその後ろにはリチェルチェが立つという、

素敵な陣容が出来上がっていたのだった。


はた目から見れば最高権力者が少し離れた所から無言で、

こちらの様子を観察する立場へと仕立て上げられたのだ。

立場的に間違いじゃないのだけれど戦闘に立って歩く立場と言うよりは、

アルフィンの後ろについて歩く側の子だからね。

デルフィナス王国のお話を聞くのは私の役目であり、

テーブルにつくのも私の役目。

その様子を見守る形として陣容を整え迎え入れる事に、

不満を上げる者はグラファイス位しかいなく、

そのグラファイスもいざ話を始める時になれば、

私の後ろに控えると言う形を取らせる事で納得させるに至ったのだ。

多少の問題はあれど私達の考えは纏まる。

1人の偉大な指導者の手によって決めると言う方式は、

現在の状態では無理で仲良しクラブを気取るつもりは無いけれど、

この場はギネヴィアの場所である事は切り捨てられない要因だしね。

けれど、ある程度の裁量を与えられ皆で相談しながら課題をクリアーしていくは、

緊張感もあるけれど私は「楽しめて」しまい始めていた。

だから、まだ私には余裕があるのだろう。


さて…お出迎えとして一応港には馬車を用意して、バルダー家のお屋敷まで、

姫君達を連れて来ることになるのだが上陸船をまた下ろして貰って、

えっほえっほと船を漕いで着てもらうのはきついモノがある。

その為にそこから「おもてなし」する事にして差し上げる事にしたのだった。

その為のお迎えはグラファイスで一択なのだ。

素敵な騎士様を演じて戴く事にしよう。

それはグラファイスの持つ魔法を使った演出で、

こちらから動力付きの船舶を使って随伴艦に接岸して氷で桟橋を作り上げ、

用意した上陸船に必要な人に移譲して頂く事にするのだった。

もちろんこの上陸船は必要な人員を一度に運ぶことができる程度の大きさで、

当然接岸する場所はちゃんとした桟橋様に作った大型船舶の上に乗せる様な、

船ではないのである。

用途は漁業用ではあるのだけれどまだ未使用品を用意して、

甲板に乗せて桟橋に運ぶだけと思えば十分な船であると思うし、

特殊な縁を持つ漁船は、この世界ではまだただの飾りにしか見えないのだ。

本来の部品を組みつける事によって使用する事が前提の物だし、

バレなければそれで良いと割り切ったのだ。

一応甲板に高そうな絨毯を敷いてそれっぽくみせたのだけれどね。

手すり付きの氷の桟橋を作り上げて随伴船から「お姫様達」とそのお付きの、

者達が降りようとした時、随伴艦の甲板用員が明らかにほっとした表情を、

向けて来ていると細かく船上を観察している人員より報告が入ってくるのだった。

監視の手は未だ緩めていない。

けれど抵抗もなんの魔力反応も出ずさしたる不満を見せる事無く、

乗船は完了して、随伴艦から離れる事になったのだ。

後は港の馬車を用意してある所に接岸して、

此方に順調に向かって来ることのみ伝えられたのだ。


気品ある立ち振る舞いで今までの交渉人とは感触が違うとだけは仕えて、

来てはいたけれど…

下船したのは明らかにお姫様関連の全員だと言う事だけは確かな様だった。

何せ、私物を大量に担ぎ込まれたのだから。

侍女とメイドをそれぞれの姫に2名づつ。そのメイドと侍女を支える為の、

人員が更に5人と…あの高圧的な交渉人もせっつかれる様に下船したのだった。

23人も乗り込む事を想定はしていなかったけれど、

漁業用品を積んでいない船舶は余裕でその荷物を抱え込んだのだった。

それは明らかにこの随伴船に戻らないと言う意思表明で、

亡命が受け入れらたと思い込んでいるようだと報告が入ってくる。

何かにサインをした訳でもない唯の停戦状態で完全な人質として覚悟を持って、

代表として降りたと言うよりは、自身だけが安全な所へ行ける安堵感の方が、

強いのかもしれない。

だた…

高貴なる方々が降りた船は直ぐにでもこの場を、

内湾を出て外洋に避難したいと進言されたらしい。

どの道武装は何もない船が逃げた所でと言う考えもあったけれど、

結論と処断が決まるまで「動けば撃沈する」という事は変えるつもりは無い旨を、

伝え込んで



「脱出したいのであれば止めない。

だが動けば砲弾の雨は降らす。

貴殿らの立場は何も変わっていないが、

逃げたければ逃げると良いでしょう」


そう断言して差し上げたのだった。

船は湾内に未だ釘付けなのである。

いざとなったらこの亡命者を突き返す場所は欲しいからね。

少なくとも「領都」に送り出すまでは随伴艦は湾内に留まり続けて貰いましょう。

「食料が…」

みたいな事も言っているので、水と食料だけは供給してあげる事にしたのだった。

流石に死なれると航海も出来なくなるし姫様達を連れて帰れないからね。

そんな水面下でのやり取りをしていいた人員は全て下船。

そして残された責任者はしっかりとした船の船長として立場の人間だった。


「我々は…どうなるので?」

「結論は直ぐに出るから心配する事はない。

我々の上層部は貴殿らに価値を見出していそうだ」

「そ、そうなのですか?」

「そう言う事にしておかれる様に行動したらどうだ?

厄介者はいなくなったのだ。無事に動かせる準備は必要だと思うがね」


船上で兵士同士での話は実に有意義な話し合いが行われたという事だけは、

後々の報告で知る事になる。

暴発しない統率の取れた集団の素晴らしさを彼等は後に見せてくれるのだった。


さて、港は本格的に大人しくなり、

上陸した姫はすくにバルダー家の館に届けられたのだった。

すぐに面談を始めたいと思っていた私達とは裏腹に、

二人の姫に仕える侍女達は当然の様に要求を始めたのだった。

会談を前に身なりを整えたいという要望で…


「両姫君達には必要な事なのです。

この要望を叶えられないと「亡命」しないかもしれませんね?」


姫のお付きの侍女もやっぱり少しおかしいようだった。

亡命してほしいと頼んだ訳でのないのに、

いつの間にか要望を飲まされる立場に私達は仕立て上げられているのだった。


「あ、はい。控室のような場所で宜しければ直ぐにでもご案内出来ますが」

「では、案内なさい。

一国の姫君を待たせるような事をして良い訳がないのです。

わたくし達も直ぐに姫様方の準備をします。

協力なさい」

「かしこまりました」


…もう、戦闘してボロ負けした事で帆船が沈められた事なんて、

忘れているのか些細な事なのか、それとも王家の姫のプライドなのか、

私達には解らなかったけれどともかく好きにさせて差し上げる事にしたのだった。

どの道数日間は泊まれる場所は用意していたからね。

そこに先に案内するだけの事だったから。

けれどそのお色直しなのか、ご準備なのかは解らなかったけれど、

理解不能なレベルで待たされる事になる。

既に午後となり、面会が終わったらすぐに脱げると思っていた、

ドレスを着せられたままのギネヴィアはとても大変そうである。

その代りゆったりと支えるアルフィンはご満悦のようで…

二人の亡命を希望する姫様達が私達の前に現れたのは、

おやつを食べる時間に近かくなっていたと思う。


それでもキィと音を立てて入室して来た時の二人の姫は一国の姫として、

相応しい姿となっていたのだった。

磨き上げられた肢体をさらして美しいボディーラインを持つ二人の姫は、

並みの男なら篭絡出来る勢いで仕上げられていたのである。

その姿と美しさに息をのむしかなかった。

その場にいた誰もが「これが王家が作り上げた「美」の結晶なのだと、

納得する事が出来る形となっていたのだから。

長旅をして来て疲れていると思えない素敵な体付きは、

「すごい」の一言に集約される。

集約されて、私は思うのだ。

何処の国も「美」の結晶の形はすさまじい形になるのだと改めて思ったのだ。

コルセットにより異常な括れを示す腰そして針金の様に細くなった手足。

最後に異常な盛り付けがなされた「ドレスを着ると普通に見える体」は、

まさしく少し前の私が強いられていた姿に他ならない。


「この度は私達の来訪をお認め下さりありがとう御座います。

謹んでお礼申し上げます」

「…ようそこ、お出で下さいました。

歓迎いたします」


そう答えるのがやっとだったのだ。

そのまま私達はテーブルを挟んで向かい合う形で座り、

両姫の悲しい物語を聞く事になるのだった。

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