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悪役令嬢は何もしない。けれど叔父様は世界を変えてしまいました。  作者: VLS
辺境の1地方の終わりと国家間攻防(物理)の始まり。
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これは交渉なのかしら?交渉出来ていると思われているの?

「我が国の艦隊と一戦交えた事は誇りに思って良い。

この辺りで一度、貴殿らの騎士達に休息を与えさせて良いと考えたのだ」

「不要です続けましょう。

此方に停戦する意味があるとお考えで?」

「そ、それは!いやそうではなくて…」

「全ての船が沈没するまで続けましょうか?」

「それは駄目だ!」


大声を上げて制止しようとする交渉人はあくまで、

ここまでで攻撃を終わりにしたいみたいで問答無用で、

此方が攻撃する事を止める理由を、戦況がデルフィナス王国に不利だから。

以外の理由を付けようと必死に自分達以外の理由である伝統やら、

なんやらで私達が「攻撃」を出来ない理由を言って欲しそうにして来るのだった。


「そちらも弾薬が尽きかけているだろう?

これ以上我が国の船を攻撃する事は不可能なはずだ!」

「本当にそうお思いで?」

「それはっ」


解っている。

相手の交渉人も解っていてそれでもそれでもと言いながら譲歩をさせたいと、

それを狙って言葉を選んでいる事は気付いている。

けれどこれ以上の譲歩はないのだ。

私はリラーナに対して伝言をする。

この場において、相手方を有利にする交渉理由を作る必用はないのだ。

徹底的に反抗の意志があるなら叩き折るつもりでいたのだ。

その言葉を聞いたアルフィンは私に対して了解の意志を示す。

そして指を折って、カウントダウンを開始したのだった。


―ドゴン-


例によって例のごとく繰り出されたその音は、

砲弾が投射された音だったのだ。

そして着弾地点は旗艦の至近弾となる。

ザパンと大きく跳ね上がる水しぶきに旗艦として大きく作られた船舶ですら、

グラリと思い切り傾けられたのだ。

何時でも撃てる。

躊躇いはない。

今は交渉中だから当てないでいてやった。

だたそれだけなのだけれど、交渉人のこちらに戦闘継続力がもうないなんて言う、

戯言を吹き飛ばすには十分な意思表示となった。

交渉している部屋から窓の外見れば今にも倒れてしまいそうになっている。

旗艦の姿がばっちり見えた。

海岸にまで届く通り雨の様な水しぶきもその演出に一役買っていた。

譲歩しなければならない理由は何一つない。

こちらは何度もそう言い聞かせ実力を示すだけなのだ。

船の外側から見た着弾して立ち上がる水柱の高さとその音に、

明らかに動揺している交渉団の面々。

その後ろでで「ひぃ」と交渉人と一緒に来ていた「ドレス姿」の女性2名の女性と、

それを支えるメイド達は現実をまざまざと打ち付けられ交渉にならない事を、

関係のない彼女達ですら優しく理解できる状況となっていたのだった。

状況説明として別の伝声管から交渉の状況を伝える声が、

相手が慌てている状況を伝えて来てくれていた。


「見ての通りこちらにはまだ貴殿らの乗って来た船を、

粉々に出来るだけの余力がある。

至近弾で満足しないのであれば今すぐ「直撃」させて差し上げましょう」

「ただの交渉人のお、お前にそんな事を決める権限があるとでも言うのか!」

「…今ご覧になった貴殿らの船の「状態」がそれを物語っていると思うのだが?」


こちらの交渉役として座っている文官のノリノリっぷりに、

指令室側ではクスクスと笑いが零れていた。

引く理由もなければ、砲弾を叩き込むだけの状態なのに、

何の交渉が出来ると思っているのか解らなかったのだけれど…

それでも「今」デルフィナス王国の交渉人が「弱気」になれない理由を、

遂に口走ってしまう事になるのだった。


「こ、こちらには去る高貴なお方がいるのだぞ!

それを、ただの1交渉人程度の奴が私と対話をすることを、

許してやっているだけでも譲歩しているのだ!

そちらも譲歩するべきであろう!」


交渉を行っている室内に沈黙が訪れる。

交渉人の後ろには「高貴なるお方」がいるらしく、

その名も知らぬ高貴なるお方の為に私達は譲歩しなくてはいけないらしい。

それは単純にメンドクサイ事になってしまったという事しか頭をよぎらなかった。

けれどここまでコケにされて黙っているほど私達の代表者の文官は、

甘くはなかったのだった。


「はぁ?ではそのさる「高貴なるお方」とやらに従わない場合、

我々は「どうなる」のでしょうね?

それ以前にそのさる「高貴なるお方」やらを「高貴なるお方」と認めるのは、

国交を結んでいる国だけでしょう。

我が国と貴殿の国はまだ「国交」すら樹立していないのです。

つまりあなた方を「敬う」理由が無いのですが?

そう言った御託は国交を樹立している国とすれば宜しいでしょう。

少なくとも我が国とデルフィナス王国が国交を結んでいると言う証明は、

「ありません」でしたが、貴殿らの方でもそうでしょう?」

「ち、違う!我が国は貴国と国交を結んでいる!」

「ではなんと記載されているのでしょうか?」

「そ、それは…ギネヴィア王国と記載されている」


…はい?まあ、確かに今の交渉人は都市ギネヴィアの代表者の代理人と言う、

事で交渉をしている。

だから簡単に考えれば「ギネヴィア王国」となるのだが…

んなわけあるか。

残念な事にそれはただの都市の名前である。

ボロボロだった。

何もかもボロボロの交渉だったのだ。

デルフィナス王国の交渉人の口から出る言葉を聞いても、

もう引き金を止める理由が見当たらない。

出来ればあの旗艦を手に入れて「海図」をとも考えていたその考えすら、

間違っていたと思うしかなかった。


「おわりね。意味がないわ」

「ええそうでしょう」


指令室側がそう判断するのに時間は必要なかったのである。

アルフィンが残り2隻に砲弾を直撃させる様にターゲットの座標を、

指名していく。

高貴なるもが何だってもう構わない。

ここで海図を失えばそれはそれで勿体ないとは思うけれど、

それより生かしておく方がよっぽどめんどくさい事になってしまう。

ここまで茶番に付き合ってあげたのだ感謝してほしいくらいである。

外交の練習にもなったと思えばそれで満足するべきなのだ。

さぁ、消し飛んで戴きましょうか…


「では、交渉は終りといたしましょう。全滅してください」

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