葛藤と答え
そんなこんなで勉強が始まった。
僕には凛花=りんちゃん説が本当なのかどうかを確するという自分で決めた目標もある。
そのため勉強には集中できない可能性も考えていたのだが、そんなことはなかった。
外ではあるが、静かなためか案外集中できた。集中しすぎて目的を忘れてしまいそうになるほどである。
と言っても、僚太自身どう見極めたらよいのか分かっていない。
僚太の中でのりんちゃんは夢の中で補完されているとは言えあやふやなものである。
直で聞くのが手っ取り早いがもしそうだった場合どう対応して良いのか分からなくなる。
今までの態度を一気に改めるのはそれはそれで違う気がするが、何より気づけなかった自分が恥ずかしくて顔向けできない。
しかし、はっきりさせないとあの約束をどうするのかという話が出来ない。
僕はりんちゃんが望まないのなら、それはそれで結婚しなくても良いと思っている。
結婚するという重大なことを5、6歳の時の約束で縛ることは良くない。
僕自身が約束しているからという面において縛られているのは置いておいて、それにりんちゃんまで巻き込むことはない。
それは二人で相談して決めるべきことだと思う。
ここまで凛花=りんちゃんだったとして考えてきたが、思い当たる節はなくもない。
ただ、あるとも断言できない。決定打がないのである。
思い当たる節というのも時々りんちゃんの面影と重なるということ位である。
そして、名前的にりんちゃんと呼んでもおかしくない。
ただそれだけのことが今ある確実なもの。
他にもあるにはあるが核心的なものはない。
「ペン止まってるよ?わからない問題でもあった?」
「いや・・・・・・」
わからない問題を今絶賛考え中である。
「遠慮しなくても教えてあげるのに」
色々考えていたが、結局凛花=りんちゃんが本当だった時のことを恐れて逃げているだけだということに気づいた。
◆
「どこがわからないの?」
身を乗り出して僕の出しているワークを見る凛花。
逃げているだけだということに気づきはしたが、やはり聞く勇気は中々出ないもので切り出せない。
「おーい。聞いてる?」
そろそろ言わないと聞けなくなると思った僕は思いきって言うことにした。
「僕たちってさ、昔会ったことあるっけ?」
「どうしたの?急に?」
「い、いや、何となく」
「ふ~ん。変なの」
この反応と声の感情・・・・・・・・・やはり凛花=りんちゃん説は違ったようである。
これにて一件落着だ。