テストも一段落?
ふと時計を見るとまだ11時であった。
「まだまだ時間があるね」
僕の視線の先が時計であると気づいたのだろう凛花がそう言う。
「早めに帰ってもらっても良いんだよ?」
正直少しづつ眠くなってきている。
「まだ、話があるんだよ」
あれ?初めは暇だからみたいなこと言ってたのに何かあったのかな。
「明日学校行ったら土日じゃん。だから・・・・・・」
これはまたどこかに外出になるのか?
何だかんだ楽しめてはいるが、そもそも人混みが苦手な僚太にとっては休日は家で過ごしたいものだった。
「予定入れないでね?」
あ、これはもう確定だな。
断ったところであの券があるから強制のようなものだ。
「・・・・・・分かったよ」
◆
その後は僕が読んでいる本について色々聞かれた。
それが土日に関連するものなのかはよくわからないが、答えていると時間が来て凛花は素直に帰っていった。
・・・・・・・・・結局テスト勉強はしなかったな。
そう思いつつも布団を被るのだった。
◆
翌日も同じようにテスト勉強をしながら学校に向かい席につくとすぐに話しかけられた。
「田中僚太君、だよね?」
「・・・・・・うん」
突然声をかけてきたのは確か中野沙羅さん。
僕のイメージだが普段は真面目で友達と話すときはふざけたりもするという真面目でのりの良い人である。
もちろん話すのはこれがほとんど初めてのようなものだ。
「凛花の彼氏はあなたですよね?」
・・・・・・・・・ついにこの時が来てしまったか。
凛花が学校でよく接触してくるようになってから覚悟はしていた。
そして、皆がこの話を聞き逃さないためにこちらに意識を向けているのが何となくわかった。
「違います」
凛花が隣にいたがはっきりとそう告げる。
ここで嘘をつくと自分から外堀を埋めにいくようなものだ。
「なるほど、まだ違うと・・・・・・」
僕はまだなんて一言も言ってないんだけど・・・・・・
その事を言おうとするとチャイムがなり、全員が着席することになったため言うタイミングを逃してしまった。
◆
『ありがとうございました』
今日も無事2教科のテストを終えることが出来た。
すぐさま帰る準備を整え教室を出ようとするが、
「待って、凛花の未来の彼氏君」
沙羅さんに止められた。
というかすごいあだ名が付けられたな。
僕のフルネームより長くなってしまっているが。
「だから、それは違いますって」
「じゃあ、土日空いてます?」
・・・・・・・・・何でこういうときに限って聞かれるんだ?
「空いてませんけど違いますって」
「それ説得力ありませんよ?」
それは僕が一番わかってます。
ただ、約束したからには空いてないとは言えない。