昔の行いのせいで
「そこは相変わらず厳しいんだね」
「当たり前だろ」
同じ家に過ごしているとはいっても他人であることは確かである。
それも異性だなんて幼馴染みでも中々ない・・・・・・いや、ラブコメ以外ではあり得ない話だと思う。
いくら幼馴染みと言っても相手の部屋にまで入るのは小学生位までが普通だろう。
「じゃあ、私の部屋に来る?」
「何でそうなる?」
僕が言ってるのは異性と同じ部屋で夜を過ごすことはいけないと言っているのだ。
僕の部屋じゃなくなったからと言って良くなるわけではない。
「冗談だよ。ここより狭いし」
そういえば凛花の今の部屋って元物置だったっけ。
「そういえば良くあそこを綺麗に出来たな」
本当に今さらだがそこに感心した。
まずはなんと言っても入っているものの物量がとてつもなく多かった。
それにほとんど使わないものしかなく、その部屋をほとんど開けることもなかったため臭いなども結構キツかったはずだ。
そんな状態で住めるわけもないし、もしそのままだった場合お母さんが別の部屋を用意しただろう。
いや、物置以外で使えそうな部屋はなかったから別の人に頼んだりしただろう。
「あれは凄かったね。扉を開けたときにホコリがブワッと舞い上がってあそこまでいくと綺麗だったなぁ」
これは相当苦労してそうだ。感慨に浸っている。
「そうなんだ」
さすがに元々は自分が掃除を頼まれていたのを思いだしそれしか言うことが出来なかった。
「他人事だね?大変だったんだよ?」
「その節はすみませんでした」
元は僕が掃除しなければいけなかったのだ。
「約束を守る僚太くんにしては珍しいね」
凛花の中では既に約束を守る人と認識されているらしい。
間違えてはないが直で言われると少し気恥ずかしい。
「一応言っておくけど約束はしてなかったから」
「あれ?言い訳?」
「本当のことだって。約束はしてなかったよ。やれって言われてたけど」
「それはそれでどうなの?」
せ、正論だ。
「すみません」
言葉と共に頭を下げる。
タイミングを見計らって顔をあげると凛花はわかってるよねと言わんばかりにこちらを見ていた。
また増えるのか?でも、こればっかりは過去のことだからどうしようもない。
「わかったよ。何でもお願いできる券だろ?」
「やった!これで5回分だね」
これは後何回分発行することになるのだろうか?
凛花の引っ越しが完了すればそうそう増えることはないだろうからあと数ヵ月気を付ければ良い。
ゴールを考えなんとか頑張ろうとする僚太であった。
何でもお願いできる券カウンター 5枚