アニメ見る?
そんなこんなで変な疑惑をかけられたが家に帰ってきた。迎えはお母さんだった。
この時間帯はお父さんよりもお母さんの方が時間の融通が効くのだ。
お父さんは言わずもがな本屋で仕事をしているが、お母さんは他の所でパートとして働いている。
本屋はお父さん以外に働いている人はいない。
その結果が僕が早く帰る日には手伝わないといけなくなる現象である。
お母さんもパートと家事の合間に手伝ったりしているが、どうしても一人では手が回らなかったりする。
それでもなんとかなっていたのは小さな店だからだ。
お祖父ちゃんの代で繁盛していた時はもっと大きい店があったそうだけど、そのときに働いていた人が色々な事情が重なり人員不足となり結果的に今の広さで一人いれば一応なんとかなる程度の大きさになったらしい。
僕もそこまで詳しくは知らないが。
◆
「そういえばコホラのアニメ最近見てる?」
「・・・・・・・・・見てない」
家に帰ってから昼食を済ませ自室にて勉強を始めた時にそう言われた。
「一緒に見よ?」
「・・・・・・勉強は?」
すぐに飛び付きたいところを踏み止まり勉強の話題を出したのには褒めて欲しい。
「だって、復習ばっかりでつまんないでしょ?」
た、確かに。
「ほら、そうと決まればリビングに行くよ」
凛花がルンルンだ。本当にコホラ好きなんだな。
まあ、僕もだけど。
コホラはしっかりと毎週録画をするように設定をしているため録り逃してはいない。
聞いたところ同じ話から(ちなみに凛花がこの家に来た週の分から)見てなかったためちょうどよかった。
◆
コホラのメンバーは戦いが一段落ついたため一度宴のようなものを開くことになった。
「なあ、リーダーさんよぉ。最近ちょっと様子がおかしくないか?」
フォンエルに話しかける大きなジョッキを持つ男。
彼もまたコホラのメンバーである。
「ちょ、酔いすぎ」
「あ、私がなんとかしますね」
「ありがとうアリス」
フォンエルはアリスに感謝を述べながら先ほど言われた言葉を気にしていた。
「最近様子がおかしい・・・・・・か」
「どうしたんだい?まさか今さら目的を変えるなんて言わないでくれよ?僕も結構ここの居心地の良さと別れるのは名残惜しいから」
考え込むフォンエルに話しかけるのはギライルである。
彼はどちらかと言えば利害が一致しているため行動を共にしているだけであり、フォンエルをリーダーと仰いでいるわけではない。
そのため、フォンエルつまりコホラの行動が利害と一致しなくなれば彼は離れることになる。
ただ彼もこの居場所の居心地の良さがずっと続いて欲しいと願っていた。
「目的は変わることはないさ」
「だと思ってたよ。これからもよろしく頼むよ」
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このシーンで見逃していたアニメを全て見ることが出来た。