海の日
「皆さん、おはようございます。7月××日月曜日、今日も元気に始めていきたいと思います。
それにしても今日は海の日ということで♪う~み~はそらい~な~綺麗だ~な~♪」
「歌詞間違えてるよ!というかそらいってなんだよ?」
「空みたい、みたいな?」
「お前もわかってないのかよ!」
◆
朝食時、珍しくついていたテレビはそんな入りで始まった。
初めの歌には少しクスッとしてしまった。
そして、今日の朝食はもう一点いつもと違う点がある。
それは隣で凛花が一緒に食べているということだ。
原因は昨日の夜にある。というのも凛花が訪ねてきた後まだ早かったが眠ったため朝早く起きてしまったのだ。
その結果朝食の時間が被ったのだ。
「あの芸人さん面白いよね」
「たしかに」
クスッとなってしまったため正直に答える。
「そういえば今日は私が問題を作ったからそれを解いてね」
さすが優等生、自分で問題が作れるのか。
◆
あれから朝食をテレビをみながら食べ終わり部屋に入って勉強を始めようとしていた。
「それじゃあいくよ。まずは国語からね。1.海の部首を答えなさい」
そんな部首とかって今回の範囲だったっけ?
まあ、あったのかもしれない。
「2.クジラを漢字で書きなさい」
だから、それ本当に範囲か?そう思いながらも答えを書く。
「3.サバを漢字で書きなさい」
「それ、絶対範囲じゃないよな?」
さすがにもう違うだろうとそう言ったが、
「え?範囲だよ?」
真顔でそう返された。声も嘘のようには聞こえなかった。
「なんちゃって」
だ、騙された。もしかすると凛花には演技の才能があるのかもしれない。
内面までコントロール出来るほどの。
・・・・・・ということは今まで声から感じてきた感情は偽りだったのかもしれない。
そう思うと、なんというか嫌だった。
上手く言語化できない気持ちをなんとか分かりやすくするとこんな感じだった。
「気を取り直して数学いくよ。1.魚が」
「絶対関係ないだろ!」
魚が出てくるとはつまりそういうことだろうと思い即座に反応したが、
「問題は最後まで聞かないと。1.魚がX匹・・・・・・」
問題はちゃんと範囲の内容だった。
その問題を解いた後、
「別に魚にしなくても」
「海の日なんだからせっかくならそれにちなんだ方が楽しめるかなって・・・・・・」
演技かもしれないとわかっていてもそんな感情で言われたら謝ざるおえなかった。
◆
その後、色々な問題を解いていると、
「♪う~み~は~そらい~な~綺麗だ~な~♪」
隣にいる凛花がそう口ずさんでいた。