誰に似たのかしら
「もう、付き合い始めたんでしょ?おめでとう」
「あの、実はまだで・・・・・・」
夕食の手伝いをするため台所に来た凛花に美奈子はお祝いする。
「でも、ペアルックだったじゃない?」
「あれは、私が無理矢理お願いしたんです。だから、まだ・・・・・・」
「りょうはまだ思い出さないの?」
「記憶には残っているみたいですけど、それが私だとは認識してないみたいで」
「困ったものね」
そうため息をつく美奈子。
「忘れてないだけマシですよ。それにまだ気づかないて欲しいですし」
「そうなの?」
「・・・その、今の私を好きになってもらいたい・・・・・・ですし」
顔を赤らめながらそう言う凛花に美奈子は更に深いため息をつく。
「こんなに想われてるのにうちの子は・・・・・・誰に似たのかしら」
その会話を幸夫が聞いていたらその答えを即答出来ただろう。
◆
夕食は赤飯だった。
僕の記憶違いでなければ赤飯ってお祝い事の日に食べるものだった気がする。
恐らく買い出しで買ってきたんだろうな。
当然、凛花がその誤解を解くのは買い出しから帰ってきた後になるためしょうがないのかもしれない。
「・・・・・・やっぱり」
そう言いながらこちらを見てくるお父さん。
あれ?まだ誤解が解けてない?
そう思って凛花の方を見ると、申し訳なさそうにしていた。
どうやらまだ誤解を解いていないらしい。
「私もそうだと思って夕飯を用意しちゃったけど、まだ、らしいのよ」
凄いまだを強調してたな。
なんというか外堀が埋まってきている気がする。
ただ、僕はもう一度あの子に会うまでは・・・・・・・・・
◆
夕食も食べ終わり部屋に戻り久しぶりに感じるベッドに横になる。
一日だけだが、毎日だったものが一日抜けるだけでも大分久しぶりと感じるものだ。
そんな、余韻に浸っているとノックが聞こえた。
上半身を起こし体を伸ばした後扉を開ける。
「どうしたの?」
凛花がなんというか雰囲気からして嬉しそうに立っていたため何事かを聞いてみた。
「気がついてなかったけど明日、休みだよ!」
・・・・・・え?
明日は月曜日・・・・・・・・・
「あ、海の日か」
海の日は7月の第三月曜日にある祝日である。
なぜ、僚太が気づいてなかったのか。それは準備を前の日にしないという点がまずあげられるだろう。
それと、テスト期間で久しぶりに勉強しているためそこまで気にしていなかったという点があげられる。
「そう、明日も勉強しようね」
あ、これ学校に行くのと変わらないな。
そう思う僚太であった。