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お揃いだね

宿を出ると空は昨日とは異なり曇り空となっていた。

しかも、それなりに怪しい雲が空一面を覆っている。

「昨日は晴れてたのにね」

隣で凛花も同じことを思ったのだろう。

「雨が降り始める前に駅に行こう」

「今日は先導してくれるんだぁ。頼りにしてるよ?」

やけに今日はのところを強調していたのは気にしないことにしよう。

今までは行き先がわかっていなかったという大義名分があるし。



駅へはスマホのナビを使いながら最短経路で向かった。

そして、無事に駅に着きホッとしていたところに外からザーザーという音が聞こえ始めた。

「ふ~、急いで良かったね」

そう言う凛花だが、駅までの道中色々なところで立ち止まっていたため、もう少し早く駅に着けたのが遅くなったのだ。その事を問い詰めると、

「良いでしょ?このキーホルダーを買えたし」

そうやって既にスマホに付けているキーホルダーを見せてくる。



「早く行かないと雨が降りだすかも」

「もうちょっと見ていこ」

僕の声は凛花には届いていないようでそろそろ濡れる覚悟をし始めた頃、

「このキーホルダー良くない?」

そうやって見せてきたのは開かれた本の形をしたキーホルダーだった。

「そのキーホルダーってどこにでも売ってあるんじゃ」

「そんなことはどうでも良いんだよ。僚太くんの分も買ってくるね」

そこからの凛花の動きは早かった。

僕の答えを聞かずに同じキーホルダーを二つレジのところまで持っていき並んだ。

ため息を吐きつつその凛花のもとへ向かう。

「あれ?てっきり外で待ってるのかと思ってた」

「これくらいなら買うよ」

そう言いながら左手をズボンのポケットに突っ込み財布を取り出す。

「ちゃんと彼氏ムーブしてくれてるんだね。ありがとう」

正直なところこれは彼氏ムーブとかじゃなくて寝相のお詫びなのだが、良いように受け取ってもらえているのであえて修正はしなかった。

その後、しっかり二つ分を払いその店を出た。

「ちょっと待って」

凛花の静止の声に振り替えるとその本のキーホルダーをスマホに付けようと四苦八苦していた。

これでは前に進まないので僕が代わりに付けることにする。

「貸してみ」

そして、すぐに付け終わり凛花にスマホを返す。

「ありがとう、僚太くんもスマホに付けてよ」

その言葉に素直に従い自分のスマホにも付ける。

「これで、お揃いだね」

その凛花の嬉しげな笑顔に気づかぬ内にこちらも笑顔になっていた。

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