意外と体がしっかりしてる
「まずは足から攻めてきて次に手でしょ?その後は体全部だったかな」
え?本当にマジ?
何一つ記憶がないのにそんなことを・・・・・・
いや、やっぱり何かおかしい。
「え?あの、本当に?」
「僚太くんがこっちで寝てるのが証拠だよ」
確かにそうだけども・・・・・・
「とりあえずごめん」
認めるわけではないがとりあえず謝っておく。
「別に良いのに。良い抱き枕が来たから逆にぐっすり寝れたよ」
やっぱり何か違和感を感じる。
そのとき僚太はあることを思い出した。
敷布団など落ちることがないところで寝るとなぜか寝相が悪くなるということに。
寝相が悪いが自分の部屋のベッドやホテルなどのベッドでは落ちることもなく寝相もそこまで悪くなくなるのだ。
だからこそ忘れていた。
「寝相どれくらい酷かった?」
寝相だったかどうかを確認する意味でも聞いてみた。
「あれ?既成事実を作ろうと思ったのに寝相ってバレちゃった?」
「ちょ、その冗談はやめてくれよ。本当にしてしまったのかと・・・・・・」
ていうか既成事実って・・・・・・
とりあえず寝相だったようで安心した。
「それにしても意外と体しっかりしてるんだね。運動部じゃないのに。
やっぱり男子だからかな」
意外とって・・・・・・
それなら昨日あんなに連れ回すのはどうかと思う。
「毎年冬に強制で地域のマラソンに参加させられるからそれでかな」
だから、その時期は意外と体力があったりする。
しかし、そのマラソンの前後しか体力作りをしないため落ちて増えてを繰り返しているのが現状だ。
「え?42.195キロ?」
「そんなわけないでしょ。愛媛マラソンでもあるまいし。確か1キロ、2キロ、4キロの好きな距離に参加出来たはずだよ」
「・・・・・・何で3キロがないの?」
その問いに思わず僚太は笑ってしまった。
「あれ?何かおかしいこと言った?」
「いや・・・・・・・・・昔僕も同じことを思っていたから」
「昔ってことは今は思ってないの?」
「まあ、毎年4キロ走っていたら慣れてきてそうは思わなくなったかな」
僚太が凛花の疑問を以前思ったことがあるのかというと2キロは意外と楽なのだが急に4キロに増えるとしんどくなるからである。
そんなとき3キロがあれば緩やかに距離を伸ばしていくことが出来る。
「何で3キロがないのかな?」
僚太の答えに満足出来なかった凛花は再度その疑問を提議する。
「たぶん良い折り返し地点がないからじゃないかな」
「へ~、折り返し地点があるんだ。てっきりどこかのグラウンドとかでやるのかと思った」
「グラウンドは駐車場に使われていたから無理だよ」
「・・・・・・もしかして今年もマラソンに参加するの?」
「まあ、強制的に参加させられるからね」
「じゃあ、私も参加しようかな」
こうしてまだずいぶん先の予定が組まれたのだった。
僚太には寝相で眠りを妨げてしまったという負い目を感じていたため拒否することは出来なかった。