妹がいた
「あれ?もしかして本当に性欲なかったりする?」
なぜそんな風に思うのかと自分の行動を客観的に振り返ると、何も言わずに座るというどちらかといえば肯定よりの行動をしていたことに気づいた。
どう弁明しようか。性欲があるなんて普通のことだとは思うけど、堂々と声に出せるわけがない。
かといって性欲がないと誤解されたまま過ごすのも気が引ける。
性欲がないのならと凛花のアピールがもっと激しく・・・・・・
何を考えてるんだ僕は。
「なんか、ごめん」
僕が考えていた時間の沈黙をまたもや肯定と捉えたのだろう凛花に謝られた。
完全に誤解されているな。というかこういうときにプラス思考になってもらいたかった。
こんなに気まずそうに謝られると余計に誤解させたままにしておけない。
「ああもう!あるよ」
「え?何が?」
うん?今の声、疑問じゃなくて期待がこもっていたな。
「・・・・・・僕に性欲あるって言わせたいだけだろ」
「あ、ばれちゃった」
「やっぱりそうかよ」
「ごめんごめん。性欲があるからこそこうしてるんだよね?」
「わかってるなら言うなよ」
なんというか、からかわれているような違うような・・・・・・
「実はさ、私一人では寝付けないタイプなんだよね。小さい頃は双子の妹と一緒に寝てたから良かったんだけど最近は抱き枕で何とかしてて、ここには何もないからさ、ダメ?」
そういう体質なのか?凛花の部屋に行ったことないから本当に抱き枕があるのかも分からない。
それに・・・・・・
「双子の妹がいるなんて聞いたことないけど」
「正確にはいただからね」
その声には悲しみが感じられた。
ということは本当にいて・・・・・・
「ごめん」
「良いよ。これで二回目だね。ということで何でもお願いできる券ね」
前回はお弁当をすり替えるというものだったのがグレードアップしてる。
でも、それよりも暗い雰囲気を明るくしようとしている発言であることは明白だった。
「・・・・・・しょうがないな」
「やった!でも、妹のこと思い出したから妹のこと話して良い?」
「良いよ」
◆
「私の妹、凛音は双子だけあって私にそっくりで向かい合うと鏡を見てるみたいでさ。容姿だけじゃなくて勉強の出来ぐわいとかもほとんど一緒で・・・・・・」
凛花の声から悲しみがあふれでている。
こんなに凛花の声からはっきり気持ちが読み取れたのは初めてだ。
「凛音が不治の病にかかるまでは本当に何もかも一緒でそれが嬉しくて・・・・・・
不治の病にかかってから凛音はどんどん衰弱していって、精一杯看病したけど、お母さんの5回目の命日の次の日に・・・・・・」
「・・・・・・そう・・・なんだ。でも、何で僕にその話を・・・?」
「それは・・・・・・内緒」
なんかはぐらかされたな。