夕食
まず一番初めに目についたのはメインであろうハンバーグだった。
白い皿の中央におかれ、その周りはソースが綺麗に円形になっている。
その皿の隅には皮付きのフライドポテトやニンジン、ブロッコリー等が乗っている。
そして、湯気が出ているスープはコーンポタージュのようだ。
後は、サラダと白米だった。
それらが二人分向かい合って食べるように中央の机に配置されている。
「美味しそうだね。早く食べよう」
そう言って急かす凛花は既に机に向かって座っていた。
「うん、そうだね」
実際僕も結構お腹が空いていたため食べ始めることにする。
◆
「いただきます」
手を合わせてそう言い箸を取ろうとするが凛花から制止の声がかかる。
「こういう時は一緒に言わないと」
・・・・・・なんなんだ時々見せるこの妙なこだわりは。
そうは思いつつ再度手を合わせる。
「せーの」
『いただきます』
凛花の掛け声により声が揃った。
それを合図にそれぞれ食べ始める。
「あれ?僚太くんのサラダもうなくなったの?」
少したって凛花が僚太のサラダが既に空になっていることに気づいた。
「いつもの習慣」
僚太は基本好きなものを最後に残すタイプだ。
そして、野菜は嫌いとまではいかないが好きではない。
よって、野菜は初めに食べるというのが彼の食事のルーティーンになっていた。
「私のを分けてあげようか?」
「いらない」
逆に凛花はバランスよく食べるタイプのため気を利かせてそう言うが僚太にとってはそれはあまり嬉しいものではなかったためすぐに断った。
「遠慮しなくて良いのに」
「してない」
「それなら良いけど・・・・・・そういえばこの後どうする?」
「どうするって?」
「寝るまで何かしないかなって」
寝るまでって・・・・・・いつまで起きておくつもりなんだ?
「何かって?」
「例えば枕投げ、とか?」
それはダメだろ。他にもこの宿に泊まっている人がいるのに・・・・・・
「他には?」
「パズレンとかボードゲームとか・・・・・・それともシンプルに二人で話す?」
・・・・・・ボードゲームはルールが分からない可能性が高いから却下だな。
そうなると話すかパズレンをするかとなる。
・・・・・・いっそのことパズレンしながら話したら良いんじゃないか?
・・・・・・なんというか話をするってどれをするにしても一緒に出来る気がするんだけど気のせいだろうか。
まあ、気にしなくて良いか。
「じゃあ、パズレンをする?」
「うん」
こうして会話をしながら食事の時間を過ごしたのだった。