バスでの移動
まずは駅に向かうらしく行きも乗ったバスに乗り込む。
当然のように凛花が隣に座るが今日はデートのため何も言わないことにする。
少し時間が経った。遊園地での疲れもありバスの揺れが心地よいこともあり眠気に襲われ始めるかと思われたが、どうしてもキスのことを思いだすため眠気すらもこなかった。
頬であったが、あの一瞬の感触を鮮明に思い出せるほどだ。
「食べに行くうどんはね、コシのある太麺と独特な出汁の味わいが特徴的なんだって」
「ネットに書いてあったのをそのまま読んだだけだろ」
「あ、バレた?」
なぜ凛花はこんなにも早く元の調子に戻れているのだろうか。
一回深呼吸をして落ち着いてみることにする。
「どうしたの?」
急に深呼吸をしたため驚いたのだろう。凛花が顔を覗き込んでくる。
「なんでもない」
「本当に?」
「なんでもないって」
「絶対に何かあるでしょ?」
しつこいな。いや、ここはそう思ったら負けだ。
「じゃあ何かあったと思っておけば良いんじゃない?」
以前も言ったが中立を選ぶのが最善だったりする。
「ふーん?じゃあ、皆に僚太くんの秘密をばらしちゃおっかな~?」
秘密?なんのことだ?凛花にあの能力のことも約束のことも話してないはずだ。
「秘密って?」
しかし、念のため聞いておくことにした。
「私の下着姿を見たことがあるってこと」
「な!あれはビキニっだったろ?」
あ、危ない。バスの中で大声を出すところだった。
「見た人が下着と思えば下着なんですぅ」
「それにそれは自爆でもあるだろ?」
下着姿を異性に見られたなんて友達にも中々言いにくいだろう。
「そうだよ。ダメージは一緒に受けるの」
まさかの考慮済みだった?
「本当に何もないって」
説得は無理だと考え初めの話に戻す。
「目を見て言って」
「何もなかったです」
何故か敬語になってしまったが目はそらさずに言ったつもりだ。
「ふーん。宿では覚悟してね」
・・・・・・?どういうことだ?
意味がわからなかったがそのときに丁度バスが目的地に着いたようで降りることになったため聞き出せなかった。
◆
そこから歩いて数分のところにうどん専門の飲食店があった。
なかに入ると以外にもすぐに席に通された。
穴場みたいな店なのだろうか。そう思いつつ店内を見渡す。
店内の証明は全体を明るくというよりも要所要所を明るくといった感じで配置されていた。
その若干の暗さが店内の落ち着いた雰囲気を作っている一つの要因だろう。
通された席に置いてあったメニューを見ていると見慣れない「ひやあつ」や「あつひや」などという言葉が付いたメニューがあった。