遊園地 9
ごめんなさい。まだ遊園地を出られませんでした。
次話は正真正銘遊園地から出ます。
まだあの感覚を覚えている左の頬をさすりながら遊園地の出口に向かっていたる
あの後は、外の景色なんて見ている余裕はなかった。ずっと聞こえる自分の心臓の音が密閉空間に共にいる凛花にまで聞こえそうで気が気ではなかった。
凛花もその後は席を移動せずずっと外の方向を向くばかり。
そのため表情はわからなかったが、恐らく凛花も同じ気持ちだったのだろうと考えないとやってられなかった。
「楽しかったね」
「そうだね・・・・・・」
最後のが頭から離れず他のことを考える余裕がなかった。
その状態で遊園地を出る間際、
「ここでも写真撮ろう」
凛花の言葉にもしや今回も、と思うが
「いくよ、3、」
パシャ!カウントが終わる前にシャッター音がなる。
「おい」
「ごめんごめん、わざと」
いや、それはわかってるよ。
「写真を真面目に撮れないのか?」
「撮れるよ。じゃあほらそこ立って」
言われた位置に立つ。
「じゃあ、いくよ」
カウントダウンもなければシャッター音もない。
「・・・・・・あ、ごめん。動画になってた」
これわざとだな。
「はあ、買い物行こう」
「デート中にため息はいけませんねぇ」
・・・・・・?どういうキャラでいこうとしてるんだ?
まあ、でも今のやり取りで大分あの事が頭から離れた気がする。
「あれは特別、だからね」
これは、わざとか?わざとなのか?
なんで頭から離れ掛けた絶妙なタイミングで話を蒸し返すんだ。
このやり取りをしているとキリがなさそうだったため歩き出す。
「あ、照れたでしょ?ねえねえ、おーい」
楽しそうだな。凛花もあのときは照れていた癖に。
この際無視をして歩いていく。
話していたらまたすぐにゴンドラでの出来事を思い出してしまう。
出来るだけ考えないようにしつつ先に進んでいく。
「で、どこに行くの?」
「・・・・・・・・・」
返答が帰ってこない。後ろを振り向くと怒っているときのお手本のようなポーズだった。
腕を組み頬プクっと膨らませそっぽを向いている。
何も言わない辺り無視していたのに怒っているのだろう。
「無視して悪かったって。だから、行き先を教えてくれ」
「なんでもお願いできる権利」
「え?」
「それをくれたら許してあげる」
さっき無くなったと思ったのに・・・・・・しょうがないか。
「わかったよ。だから、教えてくれ」
「次は、うどんだよ」
どうやら、本当に許してくれたらしい。
しかし、不安の種は増えてしまったが。
それにしてもうどんか。ここは有名だからな。
想像したら少しずつお腹が空いてきた。