遊園地 7
「初めは足ブラからでしょ!」
「いや、普通のやった後の方が良いでしょ!」
ゴンドラに乗るか足ブラに乗るかで並ぶ場所が違うことに気づきどちらから乗るかで口論となっていた。
凛花は足ブラから、僕は普通のゴンドラからで意見が分かれている。
凛花としては足ブラを先にというよりもゴンドラを後にしたかった。
僚太は足ブラの方が楽しみなので後に残しておきたかった。
しばらく経った後、
「でも、こんな些細なことで口論になるなんてなんかカップルっぽいね」
現実的に見ればそうなのかもしれないが普通は仲良しの理想のカップルを想像すると思うのだが・・・・・・
喧嘩するほど仲が良いとも言うしあながちこういうのが理想のカップルなのかもしれない。
思っていることを言えないよりは両方ともが言えて仲直りできる方が良いと思う。
「確かに」
「で、結局どうする?」
「足ブラからで良いよ」
僕が折れることでこの口論は幕を閉じた。正直これ以上口論を続ける体力が残っていない。
◆
そこから並んでしばらく経った後、ようやく順番が回ってきた。
足ブラ観覧車はゴンドラの内の2席のみのた中々回ってこないのだ。
ビーチにあるようなしましま模様のパラソルの屋根の下にスキー場のチェアリフトのような座席。
ちゃんと落ちないように安全ベルトもあるため安心して乗れそうである。
しっかり安全ベルトを着けた後、すぐに出発した。
暑い夏には心地のよい風が体に当たり、涼しく感じる。
遮るものがないため景色も良く見える。
高度は徐々に上がっていき下を見ると恐怖感を覚える。
高いところが苦手というわけではないが遮るものがないため恐怖心が増すのだ。
これは普通のゴンドラでは味わえない体験である。
凛花がどんな反応をしているのか気になり見てみるとまたしても目があった。
「また目があったね」
「景色見なくて良いの?海とか見えるけど」
「それはゴンドラでも出来るから良いの」
それからは隣からの視線が気になって景色を楽しむことは出来なかった。
しかし、ゴンドラにも乗るため足ブラ観覧車が体験できただけで満足感があった。
◆
「次はゴンドラだね。サプライズ発表をしようかなって思ってるんだけど良い?」
「先にサプライズって言ったらサプライズじゃなくない?」
「そんなことないよ。きっと驚くから」
凛花の声からはワクワクとした感情が感じ取れる。
なんだろう。全く思い当たらない。
そのサプライズの内容が気になって順番が来るのが遅く感じたのだった。