遊園地 4
「 すごかったね。 あんな速度出ると思ってなかった」
興奮した様子で話し掛けてくる凛花。
「 乗ったことなかったの?」
あんなに乗りたがっていたから ジェットコースター好きだと思っていた。 見た感じ本当に楽しそうだったのでジェットコースター好きの素質はあったのかもしれない。
「 うん 、実はそうなんだ」
「 へー 」
「 そういう僚太くんも初めてなんでしょ?」
「そりゃそうだよ。 あれ以来遊園地来てなかったし」
その発言は不用意であった。
楽しい雰囲気を壊してしまう。
「途中で目あったよね。いつもあんまりこっちを見てくれない僚太くんにしては珍しいね」
場の空気を良くするためか本当に思ったのか そんなことを言い出す凛花。
多分どちらともだろう。
「デート中だから見てもいいでしょ」
それを感じたからこそ 、そして何より約束を守るためにもこの発言をした。
さすがに恥ずかしいものはあった。
その言葉に凛花はプイと顔を背けたため更に恥ずかしさが増してしまう。
「・・・・・・ずるいよ、急に」
「ん?何て?」
近くにはいるが何せ遊園地の中で周りからも様々な音が聞こえるのだ。
そのため何と言ったのか聞こえなかった。
「コネイト交換しとこ、はぐれたら大変だし」
その声には焦りと照れが感じられた。
コネイトというのはメールアプリのことである。
英語で繋がるという意味のコネクトとよく言う運命の糸の糸から来ているらしい。
運命の糸がもととは言ったが決して恋愛方面のアプリではない。
一般的なメールアプリでもあったため僚太もそのアプリを入れていた。
「良いよ」
声の感情が僕の言葉によるものだとしたら恥ずかしい思いをしたかいがあったなと思いつつあえてそれには触れなかった。
というよりも凛花にまだ能力のことを言っていないため言うことは出来ない。
コネイトの連絡先の交換は簡単でそのアプリを開いた状態でスマホの裏同士を数秒間つけるだけだ。
他にもQRコードやコードを打ち込む等が出来るが、それが一番お手軽であったためスマホの裏同士をかさねあう。
どちらともに連絡先が交換できた合図であるバイブが鳴り、念のためそれぞれがスマホの画面を確認する。
「やったね、自然に僚太くんの連絡先ゲット!」
それが目的だったのかよ!でも、あの理由も嘘ではなかったため副産物なのだろう。
「あ、ここじゃなくて次のアトラクションに並びながら話そ」
今話していたのはジェットコースターのすぐ近くの道の端である。
そのため時間がない上に無駄な時間を過ごしてしまった。
いや、こういうのが逆に思い出になるのかもしれない。
彼自信気づいていないがお祖父ちゃんのことに感じていた責任は今までよりもすごく軽いものになっていた。