迷い
凛花の朝は早い。5時に起床。そこからすぐに目を覚まし美奈子と協力して弁当を作るのが日課となっていた。昨日0時まで起きていたせいでまだ寝ぼけている頭にはずっと貴史に言われたことがループしていた。
凛花としては僚太に約束したからではなく今の自分を見て付き合って欲しい。
しかし、そこにはそれを打ち明ける勇気がないというのもあるのは事実だった。
昨日だって本当はあの事を打ち明けようとしていたのだ。
その前に2度目の告白をして確かめるつもりが、勇気がいるもので結局日付をまたぐことになった。
それで返ってきた反応がテレビで何か言っていたというものだった。
さすがにその流れで打ち明けることは出来なかった。
結局打ち明けた方が良いのか打ち明けない方が良いのか図りかねている。
打ち明ければ彼のことだから約束通りしてくれるだろう。
しかし、それはあくまで昔の約束のため自分を好きなのか約束のためなのかわからなくなる。
彼女としてはやはり自分を好きであって欲しい。幸いまだ彼女はいないようなので急ぐ必要はない。
それでもやはり言ってしまいたい気持ちが少なからずある。
やはり自分が求める分相手にも求めてもらいたいものである。
結局その思いをタンスの奥にしまうように抑え込み、今はただ待つことにしたのだった。
◆
金曜日の朝、後一日で今週の学校が終わるという喜びと今週の疲れが現れる。
ただし、今日の僚太にとっては喜びが圧倒的な大差で勝っていた。
なんといってもコラボキャラクターの全コンプ。
そんな状態で今日学校へ行ったら休みという事実が上乗せされるわけだから今週の疲れを感じることはなかった。
そういう気持ちだからかいつもより起きてから部屋を出る時間が早かった。
「おはよう。僚太くん」
「おはよう」
今までの中で一番爽やかな挨拶だった気がして自分でも驚く。
気持ちでこれだけ変わるのだと実感しながら朝食を食べるのだった。
◆
その日も特に変わったことはなく過ぎていき家に帰宅した。
帰宅するとやはり凛花と勉強をすることになる。
「土日なんだけど・・・・・・どっちかで遊びに行かない?」
「いや、勉強は?」
「リフレッシュも必要だよ。土曜と日曜どっちが良い?」
あ、もう確定事項なのね。
「じゃあ、土曜日で」
勉強はと聞いたのは僕が全教科80点以上とらないと、という契約書があったからであり、本心から勉強したいと思い言ったわけではない。
「じゃあ、決定だね。明日やらない分今日頑張ろう!」
これは嵌められたのか?声からして純粋に誘ってきていたので悪意はないのかもしれない。
それにしても勉強嫌いからすると明日のために今日頑張るというのは言うだけであり実行しない言葉だ。
だからこそ本当にやることになるとキツいのであった。