日直 2
朝教室に入ると日直の欄の名前が僕に変わっていた。
そういえば一昨日凛花がやっていたなと思いだし早めに職員室に日誌を取りに行く。
階段を2段飛ばしで上がり2階の廊下を渡り職員室に向かう。
この学校では1年が1階、2年が2階、3年が3階となっているため他学年の階は少し居心地が悪い。
そのため幾分か早足になっていたためかすぐに職員室の前に着いた。
入室制限があるが日誌は取れる位置にあるため先生を呼ばなくて済んだ。
階段まで引き返す際はまだ早足だったがそこからは通常の速度に戻り階段を降りてから廊下を渡り自分の教室へと辿り着く。
先程まで他学年の階にいたせいか妙な安心感を覚えつつ自分の席に座る。
隣には凛花が座っている。僕が席をはずす際たまたまいなかったが戻ってきていたようだ。
隣は気にせず日誌を書き始める。
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時限 教科 内容
SHR
1. 現国
2. 数学
3. 情報
4. 論理・表現
掃除 きれいにできた
5. 芸術
6. 体育
最近のトピックス(最後の行まで)
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書いたのは日程と掃除の内容の部分だ。
内容ではなく感想だと思うだろうが他の皆も掃除の欄はこんな感じだ。
時々ちょっと捻って隅々まで掃除が出来たやら黙々と掃除が出来たと書いている人もいるが所詮感想であって内容ではない。
恐らく一番始めに書いた人が掃除の欄に感想を書いたのが始まりだろうと僚太は考えている。
論理・表現というのは初め見たときは国語の一種かと思ったが英語だ。
ちなみに英語の先生と論理・表現の先生は違う。以前一度名前を出した片山先生という女の先生が英語の先生で論理・表現は水地先生という男の先生だ。
ハキハキしゃべるのが特徴で、この人が校内放送をすれば良いのにと思うことが多々ある。
というのも校内放送を使う先生は大体ボソボソとしか言わないため教室が騒がしかったりすると全く聞き取れないのだ。
貴史が一度委員会の集まりを校内放送で伝えられたときがあったそうで、幸い貴史は聞き取れたが、聞き取れなかった人もいたようで後で怒られていてかわいそうだったらしい。
話を日誌に戻すが最近のトピックスをどうするか。それが今日真っ先に考えるべきことであった。
お題が広いためどんな内容を書くか選択肢が増えるばかり初めの一文字すら書き始められない。
考え付かず右手に持っていたペンを回し始めたとき隣からの視線を感じた。
そこからそれに意識が取られるようになり選択肢が増えることもなくなりただただ時間が過ぎていく。
毎日早めに学校に来ているため時間には余裕がある。
この視線の問題を何とかしない限り日誌が進まないと判断した。
「なに?」
「いや、前に私が書いてるの見てたじゃん?それのお返し」
そんなお返し要らない!
そもそもお返しというのは自分がされて嬉しかったから返すものだ。
・・・・・今一瞬変な想像をしてしまった。
もしかしたら僕が見ていたのを嬉しく感じたのではないかと。
客観的に見れば自分が自意識過剰なだけのため考えないようにする。