テスト期間
翌日、朝、ショートホームルームにて。
時々山根先生の代わりに来る副担任の神田先生が教室に入ってきた。
だからと言ってその日山根先生が休んでいる訳ではない。
どちらかというと当番制で圧倒的に山根先生の方が多い。これが、担任と副担任の一つの違いだろう。
「今日からテスト期間に入ります。テストの範囲表を配るので確認して勉強するようにしてください」
そう言いながら一番前にその列分のプリントを渡し、教卓の前に戻る。
「中間の時もそうでしたが職員室の出入りには注意してください。生徒の入れる範囲はテープで示されているのでその線を越えないこと。もし、越えた場合不正行為としてテストの結果を0点にします。
先生に用事がある場合はテープの線を越えないように先生を呼んでください」
確かに中間テストの時にも言われた内容だった。
ちなみに生徒が入れる範囲は相当に限られており入り口近くの鍵置き場、日直日誌置き場のところまで普通に歩けば計3歩程度の範囲だ。
そして、詰めても8人入るのがやっとのスペースとなる。
基本提出物は朝提出しに来るし、日直日誌を取りに行くのも朝のため職員室前はすごく混雑する。提出物の場合先生をそこに呼んで渡すという行程がある分時間がかかる。
たまたま前回のテスト期間の時に提出物があったためそれを僚太は経験している。
人混みを嫌う僚太にはすごく居心地が悪かったらしい。
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昨日で無事日直を終えた凛花は何かあるごとに僕に話を振ってくる。
一週間程度経ったことで周りからは珍しいものを見る目からいつもの光景を見る目に変わってきている。
僕は陰キャでクラスに友達がいないため特に何か言われることはないが凛花は女子や一部の男子によく話を聞かれている。
その男子達は凛花を狙っていない人達だ。
その多くは彼女持ちだったり他の子に片想いしていたりとなっている。
そんな青春をしている生徒は少ないため本当に極一部となっている。
女子の方はほとんど全員が凛花の事を取り囲んで話を聞き出したりしていた。
女子ってこういう話好きだよなとか思いつつ横目でそれを見ている。
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5限目、午後の最初の授業のため眠くなる人が続出し、中には寝てしまう人も多い時間帯。
教科は現代の国語。現国と略されるこの教科はどうやら最近出来たものらしい。
今までは国語総合としてやっていたものを現国と言語文化に分けて学ぶようになったらしい。
その担当教師が兵頭優子先生。他の教員より若くおっとりした感じの女性で明るい茶髪がよく似合っており男子生徒からの女子生徒からも評判が良い。怒っている所を見たことがないそんな感じだ。
その人の授業は基本手を挙げて発表する形式をとられる。
その先生の人気さである程度の人がしっかり手を挙げて授業に取り組むため他の人達はボーッとしながらノートをとるか寝るというのが定番化されつつある。
しかし、真面目に取り組もうとしている生徒も睡魔と戦うことになる。
原因の一つが今の時間帯。もう一つが兵頭先生の声にある。
おっとりとした雰囲気を持っている彼女だが声までもがおっとりしてるのだ。
その声は子守唄としては完璧で眠くなくても眠ってしまいそうになる。
僕は一応どの授業も真面目に受けようとは思っているがこの授業は例外だった。
初めは頑張っていたが諦めて寝た方が良いということが分かったのだ。
この現代の国語は授業を真面目に受けてなくても30点はとれるため大丈夫なのだ。
気がつくと残り3分で授業が終わるというタイミングだった。
その後の6限目も終わり帰ることになる。テスト期間中は部活がないのだ。
僕にとってテスト期間はゲーム・読書期間だ。
この期間中にゲームや読書を進めるというのは中学校からやっていることだ。
それにワクワクしながら家に帰るのだった。