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月曜の朝

以前残していた40連分の卵石と新たに集めた卵石で50連は引ける。

しかし、まだ2ヶ月あるということで30連分だけ引くことにした。

10連目、爆死。20連目、爆死。

とこういう流れで一応ラストにしようとしている10連を回す。

通常通りパズルを突き破っていく演出が流れ始めるが確定演出のようなものは来なかった。

最悪な結果になる可能性が頭によぎる。


30連目、爆死。

やっぱりかとうなだれる。ちなみにお父さんは0時になって数分で部屋から出ていった。

何でも隣で神引きされたら嫌だかららしい。

ここまで引いて爆死だと後には退けないと思ってしまうためもう10連引く。

結果は爆死。

同じ調子で本当のラスト10連を引く。

通常の演出が流れ嫌な予感が漂い始める。

しかし、最後の一つで演出がゆっくりになる。

これはまだ持っていないキャラクターということを示している。

ゆっくりとパズルが割れていき出てきたのは今回一番使わなさそうな主人公だった。

落ち込んで力が抜けたのかその後すぐ眠りについた。



毎週のようにやって来る憂鬱な月曜日の朝。今日のその憂鬱さはいつもの何倍にも感じられた。

休みはすぐに終わりまた学校生活に戻る。いっそのこと休みがなかった方が精神的に楽なのではと考えたこともあるが休みがないと考えるとその方が精神的にきそうだと思い直した。

そんな憂鬱な朝だが、

「おはよう、僚太くん」

凛花の明るい挨拶は飛んでくる。今の僕にはそれは太陽の光くらい眩しくてより一層憂鬱というなの影が濃くなったのを感じる。

凛花の挨拶にまばたきだけを返し、朝食をとり始める。

その日は全ての行動にいつもよりも時間がかかりいつもは余裕で間に合っているところが遅れそうになるほどだった。月曜日の朝、ガチャでの敗北、寝不足の三つがのし掛かり彼の動きを阻害していたのは明白であった。



例のごとく走り出した車はすぐに止まり貴史を乗せる。


「幸夫さん、今日の帰りなんですけど部活のメンバーで夜ごはん食べに行くみたいなので僕の迎えは大丈夫です」

「了解。楽しんで来なよ」

「はい」

車内はこれ以降沈黙が続いていた。それは、明らかに一段と強い僚太の暗さからだろう。


公園に着き3人は降りる。

「僚太、帰りはどうするんだ?」

そんな3人の背中に幸夫の声が届く。

「部活休んで帰る」

「そうか、じゃあ凛花さんも乗って帰る?」

「あ、それなら家の車で僚太くんと一緒に帰ります」

「良いのかい?」

「はい」

「じゃあ、よろしく頼むよ」

僚太はあることにも気づいていた。今日のお父さんの機嫌は格段と良い。

つまりガチャの結果が良かったということなのだろう。それに気づいてしまったのもあり、僚太の暗さは一層濃くなっていった。



その日の4限目の授業までは通常通り進んでいった。

ただし、凛花の影響でクラスで目立ち始めている僚太がいつもより陰キャ感が強くなっているのにほとんどが気づいていた。


そして、昼休み。そんな彼に声をかけるのはいつもと同じく凛花だった。

「放課後さ、寄りたいところがあるんだよね。寄って良い?」

「うん」

僚太は特に考えることなく了承する。

最も考えていたとしても彼女の家の車で帰るわけなので文句を言える立場ではなかったが。

「今日どうしたの?何かあった?」

「別に大したことはない」

嘘はついていない。スマホゲームの厳しさを知らない人にはこの気持ちは理解できないはずだからだ。

他の人からすれば大したことがない事と言えるだろう。


突然おでこに衝撃を感じる。それにより憂鬱さと眠たさから半開きだった目が全開になる。

顔をあげると凛花がいかにもデコピンをした後という手をしていたためおでこの衝撃がデコピンによるものだと分かる。

「何があったのか知らないけれど今日は後二時間だよ。ファイト!」

そう言いながらにっこりと笑う。

その笑顔にはみた人を笑顔にさせる力があるのではないかと以前考えていたが自分自身で体感してしまった。若干つられて口角が上がった気がした。

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