表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
192/197

過保護 2

そうして、僕たちは最寄りの駅まで帰ってきた。

「やっぱり僚太はケチだよ」

ただ、凛花は不満げである。

これは先程聞いたのだが、どうやら帰りの便が満席になり、もう一泊することを狙っていたらしい。

だから、早めに着いたから早めに帰ろうと言わなかったわけだ。

「それで野宿になるよりは良いでしょ」

「一応あのホテルの別の部屋に空き部屋があるのは確認してたんだけどね」

結構用意周到だったようだ。

それなら、なぜもう少し引き留めなかったのかと思ったが、将棋の誘惑に負けたらしい。

本当に将棋にハマっているようだ。

しかし、そうなるとなぜ簡単に寝たのかという疑問が出てくるが、単純に睡魔に負けたそうである。

僕が言わなくても寝ていたのかもしれない。

「って、将棋の方はケチじゃないでしょ」

危うく、将棋の方までケチ扱いされるところだった。

ホテルの方は用意周到だったからいいとして、将棋の方は凛花を寝させることが目的だったのだ。

ケチと言われるのは違うだろう。

「ケチじゃないなら何なの?」

「過保護」

「あれ?認めるんだ」

僕がすんなり過保護だと認めたことで凛花は拍子抜けしたという感じだった。

よくよく考えれば、人の睡眠時間を気にして寝させるなんてそれなりに仲が良い人がすることだ。

凛花と関わりだしてから所詮まだ2ヶ月弱である。


2ヶ月弱と言うと、長く感じるかもしれないが意外とそうでもない。

ボーっと授業を受けて、ボーっと生活していれば2ヶ月弱なんて簡単に過ぎていく。

それにその半分以上が夏休みであったために、体感としてはさらに短い期間である。

そして、今の関係はよく分からない関係だ。

一番近いのは両片想いだろうか。

しかし、僕は凛花の好意を知ってしまっているから、当てはまらないのも確かだ。

かといって、今の関係を言葉に表すとしたらどう表すのか分からない。

それもこれも、凛花がりんちゃんであると見抜けなかった僕が悪い。

もし、初めに気がついていれば、今ごろ凛花の睡眠時間を気にして寝かせることをしても不自然じゃない関係になっていただろう。


そんな関係になっていないのにしたのだからそれは過保護の領域に入るのかもしれない。

「ケチじゃないだけマシでしょ」

「ラップ?」

「韻は踏んでないでしょ」

凛花が急にボケることで僚太はツッコミにまわるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ