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いつか、分かる

その後、凛花が熱を測ると平熱に戻っていた。

その体温計を見せて、「病院に行かなくても良いでしょ?」と言うものだから、どれだけ病院を嫌っているのかが分かった気がした。

「何でそんなに病院が嫌なの?」

何となくこの答えは予想できていたが、聞いてみることにした。

もしかすると、一般的な病院を嫌う理由ではないかもしれないからだ。

「だって、病院って上の人たちが賄賂とかしてるイメージがあるじゃん」

「それはドラマの見すぎでしょ」

確かに医療ドラマではよくある話かもしれないが、現実も同じとは断言できない。

本当にそうなのかもしれないし、違うのかもしれない。

それは当事者しか分からないわけだが、分からない以上は病院を信用するしかない。

確か裁判でもグレー(怪しい)は白(無罪)みたいなのが冤罪を防ぐためにあったような気がする。

休みに入る前の公民のテスト勉強で出てきたから覚えていたのだが、分からない以上白なのである。


そして、おそらくそれは本当の理由を隠すためのものだろう。

「それで、本当の理由は?」

「いつか、分かるよ」

今は教えてくれないのだろう。

凛花の態度で何となくそれは分かった。

それと同時に本当に一般的な病院を嫌う理由ではないような気がした。

「僕も病院はあまり好きじゃないかな」

「何で?」

「いつか、分かるよ」

ちなみに僕も好きではないのは本当である。

わざわざ今言ったのは単にやり返したかっただけである。

理由はまだ凛花には隠している声で感情が分かる能力があることだ。


凛花はそれをも騙す力を持っているが、そういう人など極一部に限られる。

病院には何かしら風邪、病気になって来ている人が多いわけで負の感情を持っている人が必然的に多くなる。

「私には何でもお願いできる券があるから聞き出すことが出来るんだよ?」

そういえば、忘れていた。

今日甘やかしていたのは僕が安請け合いしたためであるためその券は消費されていないだろう。

「その顔は忘れてたでしょ?まあ、そんな野暮なことはしないけど、それよりも明日の計画を立てよう」

すっかり元気になったらしい。

話が90度変わったが、明日の計画は先程の病院云々の話よりも大事である。

しかし、僚太の中では既に案があった。

「この周辺を少しまわって帰るので良いんじゃない?荷物もあるし」

このホテルのチェックアウトは明日の朝である。

そして、夜に家に帰ることが出来るように出発する。

その間の時間で出来ることは限られる。

さらに、病み上がりの凛花のことも考えると、その案が妥当だ。



こうして明日の計画はすぐに決まったのだった。

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