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姫路城へ 3

姫路城までの道中、手を握り歩いてきたためか会話はなかった。


そして、着いたタイミングで手を離し、二人で天守を見上げる。

「・・・・・・眩しいね」

正午頃というのもあり、太陽は真上。

見上げ続けるのは辛かった。

「そうだね」

僚太は普通に受け答える。

先ほどの時間でようやく落ち着いてきたらしい。

堤防ギリギリまで押し寄せてきた波の高さは大分下がっていた。


やはり、今までの凛花との思い出が全てりんちゃんとの思い出でもあるということがわかったのだ。

一気に押し寄せた記憶という波に一度堤防が崩れてしまったが今では直っている。

人間は自分でも知らぬ内に経験から強くなる。

それが例え実態のない堤防であったとしても、より高く強固な堤防となっていた。



「せっかくだし一緒に写真撮ろ?ツーショット」

僚太が普通になっていくにつれて、というよりも急に普通に戻ったという方が正しいのだが、凛花もそれと同じようにいつも通りになったり、押し黙ったりしていた。

「・・・ちゃんと撮れるの?」

スマホを構えている凛花に僚太が言うと、

「やっぱりお願い」

食いぎみで凛花はそう言いスマホを片付ける。

僚太が内カメで姫路城も写るように調整していると、凛花はその画角に入りながら、チャンスとばかりに顔を僚太に近づける。


こんな人目があるところでキスはさすがに恥ずかしかったのか頬をくっつけていた。



そのまま数枚写真を撮ってから確認する。

「やっぱり上手だね」

「そうでもないでしょ」

二人はそう言っているが、全ての写真で僚太の顔は真っ赤だった。

僚太はもちろんのこと凛花も気がついたのだが、その事については触れなかった。


「それにしても本当に写真撮らないんだね」

凛花がそう言うのは今日を含めず最後の写真が二人で遊園地に行った日のものであったからだ。

「写真として残さなくても大事な思い出は覚えているものでしょ」

一度あの約束を忘れかけていたが、それでも思い出したのは夢で見たのが原因であっても、覚えていたいという深層心理からあの夢を見ていたと考えると、やはり大事な思い出は覚えているものだろう。

「それはそうかもしれないけど・・・・・・あれ?一本動画があるよ?」

「あ、えとー、それはー・・・・・・」

それはこんぴらさんで凛花に写真を撮るように見せて密かに動画として撮ったものであった。

後で、コネイトで送っておこうと思い撮っていたのだが、何でもお願いできる券が発行される危険性を感じ、手前で辞めていたのだ。

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