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姫路城へ

僚太は意を決しトイレからでる。


その際、先ほどのようにわざとトイレを流すほどの余裕はなかった。

彼は、結局なにも考えない事にした。

いつも通りにと考えるとよけいに意識してしまうため、それしか方法がない。

「僚太、もう大丈夫なの?」

「うん」

その返事に今まで以上に距離を感じる凛花。

まるで、今まで見えていた道が不正解のルートで目の前に行き止まりが突然現れたような、突然道が断たれたようなそんな感覚だった。



凛花の準備はほとんど終わっていたため、僚太より先に準備が終わる。

僚太は着替えて財布とスマホを持つだけであったためすぐに済み、ホテルを出る。


二人の間には今までにない気まずさが流れていた。

僚太は肩によけいな力が入っており、凛花は何か考え事をしているような感じであり、会話は一切ない。

幸い行き先は決まっており、凛花がその行き方を調べていたため移動はスムーズである。



会話がないまま駅を出ると、そこからは行き先である姫路城が見えた。

遠くからではあるが、真っ白で外にあるとは思えない、というのが姫路城を見た感想だった。

そう考えるぐらいは余裕が出てきていた。

凛花から話しかけられなかったためか、意識をそらし続ける事に成功し、心の堤防をなんとかより高く再建し、後は侵入してきている水を外に流すだけである。


「・・・・・・綺麗だね」

凛花が恐る恐る話しかけてくる。

それでまた、堤防が決壊しそうになるがなんとか落ち着かせる。

「うん」

そんな中では、こんな答えしか返せなかった。



そこからまた会話はなくなった。

おかげで僚太は大分落ち着いてきている。


しかし、凛花はますます考え込んでしまっていた。

知らぬ間に僚太を怒らせてしまったのか、ただの勘違いなのか。

はたまた違う何かなのか。

それを考えているためかいつもなら思いつくはずの話題も浮かばない。


僚太が落ち着いてくのに対して凛花は焦りを募らせる。

そんな姫路城への道の道中に飲食店があった。

時間は少し早いが、姫路城を見て回る時間を考えると先に食べておく方が良いと考え、

「ここで、お昼食べない?」

と、凛花に話しかける。

ホテルや今までがなぜあんなになっていたのだろうと思える位に普通に話しかけられた。

まあ、鼓動が早くなっているのは否定できないが。

そう思っていると、凛花からの返事が返ってこない。

あれ?

「凛花?おーい」

自分でも不思議と自然に名前を読んでいた。

「え?あ、ごめん。なに?」

「いや、このお店で食べといた方が良いかなって」

「そ、そうだね。入ろっか」

そうして、その店に入った。

・・・・・・そういえば、聞き返されたのは初めてかもしれないな。

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