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閑話 エイプリールフール

4月1日、エイプリールフール。

春休みということもあり、部活が正午に終わるのだが、貴史にはあるメッセージが届いていた。



私、彼氏ができました。

相談したいことがあるので、今から会えませんか?



相手は沙羅である。

今日がエイプリールフールであることは貴史も気がついているが、沙羅がエイプリールフールだからと言って嘘を言うような人ではない。

ただ、そうなると本当に彼氏ができた、ということになる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


貴史は自分でもどれくらい経ったか忘れるほど硬直し、返信が遅れてしまっていた。



時間は少し遡り、とある女子ソフトテニス部が校外のテニスコートでたむろっていた。

部活としてはもう終わっていたため、迎えを待っているか、その人につきあっているかのどちらかで家に帰っていなかった。


そして、話題は沙羅と仲が良さそうな男性、についてである。

ただ、沙羅は否定するばかり。

こうなったらと数人が沙羅を取り押さえ、残りのメンバーがコネイトの履歴を見ることに。

数の差はそうそう覆ることはなく、沙羅は簡単に取り押さえられ沙羅のスマホは簡単に取られてしまう。


コネイトの内容からカップルかどうかまでは判断出来ないが、自分達が知らない間にも二人で会っていたことが明らかになり、皆がニヤニヤする。

「あ!」

一人が何か思い付いたように声をあげると、沙羅のスマホを持っている人にコソコソと伝える。



「さらっち、この後何か予定ある?」

その問いに沙羅は正直に答えてしまう。

「特にない、けど・・・・・・」

「じゃあ、送っても大丈夫そうだね。送信っと」

「何て送ったの?」

沙羅は必死に体を動かしながら聞く。

「私、彼氏ができました。相談したいことがあるので今から会えますか?って」

固まってしまう沙羅に少し悪いことをしたと思ったのか、

「まあ、今日はエイプリールフールだし、そう言えば会える口実が出来ただけだって」

そう励まし?の言葉をかける。

ただし、沙羅の様子は変わらない。


さすがにやり過ぎたと思ったのか、

「ごめん、やり過ぎた。私たちが勝手にやったって送っておくね」

そう言いながら打ち始める。

「ま、待って」

その頃には沙羅への拘束も解けており、スマホを取り返し、打ちかけの文章を消す。

「今から行って来る」

まさかの展開に皆引きぎみで行ってらっしゃいっと言うしかなかった。

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