旅行先での夕食
「最近端末で注文出来るようになったよね。現金は使えないけど」
「そうなんだ」
僚太は凛花といるようになってからは休日のほとんどで外出しているが、以前は逆だった。
そのため、さすがに来たことがないということはなかったが、直近で行く機会がなかった。
「僚太ってさ、サイドメニューはポテト派?ナゲット派?」
一応サイドメニューにはもう一つサラダがあるのだが、僚太が野菜が嫌いであることを既に知っていたためあえて選択肢に加えなかったのだろう。
「ポテト、かな」
僚太はそもそも行ったことが少ないため記憶上ではナゲットを食べたことはないはずだ。
「私もポテト派なんだ。ここに来てポテトは外せないよね」
「う、うん。そうだね」
僚太としては凛花の熱量ほどのこだわりはないのだが、ここは話を合わせた。
◆
ポテト派かナゲット派か、そんな話をしている内に端末の目の前にたどり着いていた。
と言っても入り口の近くにあるため入ってから少ししか経っていない。
人間の背丈よりも大きいタッチパネル式の端末がホーム画面で待機している。
凛花がその画面に指を伸ばしている。
「なに頼む?」
そう言われて端末に表示されたメニューを見る僚太。
特に目を引くのは期間限定の商品だろう。
「スッパーガー?」
思わず疑問を声に出してしまう僚太。
「あ、それ、すっごいすっぱいらしいよ。でも、美味しいんだって」
凛花の口ぶりからして凛花自身も食べたことがないのだろう。
「じゃあ、そのセットにしようかな」
僚太は惣菜の唐揚げのパックの隅に入っていたりするレモンをかじる位にはレモンが好きであったため大丈夫だろうとそのバーガーを選ぶ。
「私もこれにしよっと」
画面のスッパーガーを凛花がタップすると単品かセットかを提示してくる。
凛花は迷わずセットにすると個数を2個にした。
その次のサイドメニューを選ぶ画面でも先程どちらが好きか聞いていたためスムーズに進んでいく。
「ジュースはどうする?」
「じゃあ、これで」
僚太は自分でレモンジュースをタップする。
すっぱいバーガーにはすっぱいジュースだろうという単純な考え方である。
「じゃあ、私も」
結局全て同じものを頼むことになったのだった。