今回もなぜかこうなった
なんやかんやあり、夕日が入り込む豪華な部屋に僕たちは案内されていた。
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親から言われた住所に来てみると、普通にホテルだった。
こういうホテルよりも旅館的なものが安い(偏見)イメージなのに・・・・・・
ご褒美だからか?
今さらだが、お母さんは倹約家であるため無駄遣いをしない。
もし、旅行に行くとしてもその周辺で一番安いところを選ぶはずだ。
まあ、僕が唯一家族で旅行に行ったあの時は、僕を慰める意味もあったのか、まあまあ大きい所に泊まった気がする。
りんちゃんのこと位しか記憶に残っていないためすごくふんわりではあるが、そんな安そうな場所ではなかったはずだ。
もしかすると、旅行ではお金を使うのかもしれないが、普段のお母さんを見ているとそんな風には見えない。
だからこそもう少しこじんまりした建物が現れると思っていた。
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そんな驚く僕の手を先程とは違い優しく握り早く入ろうと手を引く凛花にやっぱり大人っぽくした意味がないと思うが、そんなことは言えなかった。
そうやってホテルに入ると、徐々に怖くなってきた。
もし、未成年とバレて・・・・・・
それでどうなるのかはしらないが、それで泊まれない何てことになったら急に野宿生活が始まってしまう。
もしくは後で学校に連絡がいき、退学とか・・・・・・・・・
それに関しては別に良いか。どうせ家を継ぐわけだし。
・・・・・・でも、凛花は・・・・・・・・・
様々な最悪の結末を想像してしまい、内心かなりビクビクしながら受け付けへ。
「一人部屋を二部屋予約している立花と田中です」
その瞬間、受付の人がガチッと固まった。
もしかして、未成年だと思われたか?
そんな不安は一瞬で消し飛んだ。
受付の人が90度の礼を見せたのだ。
不安の代わりに動揺してしまうが、バレてしまうよりはマシだった。
「すみません。こちらの手違いで、部屋はすべて埋まっております。
代わりと言ってはなんですが、ちょうどキャンセルがありまして一つ上のランクの二人部屋はいかがですか?金額は予約通りで構いませんので」
普通なら、ちょっと話し合ったりすることなのだが、
「それで大丈夫です」
いつバレるか不安でこの場を早く終わらせたくそう言ってしまった。
「本当に申し訳ございません。こちらが部屋のカードキーでございます。
オートロックですのでカードキーを部屋に忘れないようにご注意ください」
こうして豪華な部屋(二人部屋)に泊まることになってしまったのだった。
なんか、二回目だけど。
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「先輩、さっきの人たちの予約、元から案内した部屋でしたよね?」
「あの子達友人の子供でね、くっつきそうで中々くっつかないらしいのよ。それで、その友人に借りがあったから手を貸しただけ」
「先輩、それって良いんですか?」
「良いのよ。金額の足りない分は私の自腹だし」
そういう先輩の借りが気になる後輩であった。
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美奈子はお金もそうだが、借りも貯めていたのかもしれない。