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ご褒美 2

準備をしていると時間はあっという間に過ぎていった。

といってもまだ出発の時間から考えると余裕がある。


その時ふと手紙の内容を思い出した。

大人っぽい格好をしても良い的な部分だ。

つまり、お母さんもお父さんも来ないということだ。

それに気づいた時点ですごく冷静になったように自分でも感じた。


なぜ、旅行を楽しみにしていたのだろうか。

なぜ、今まで親がついてこない事を文面から読み取ることが出来なかったのだろうか。

なぜ、迷わずに準備をしていたのだろうか。

なぜ、休日に家から出ようとしているのだろうか。

なぜ、ゲームも読書もせずに休日を過ごしているのだろうか。

・・・・・・・・・・・・


様々な「なぜ」が頭の中を行き来する。

答えは分からないが、1つ言えることは凛花が家に来てからこうなった。

それらが凛花が原因だとは言ってないが、凛花が来てからこうなったことは確かな事実である。

だからと言ってどうするもなくスーツケースを隣に置きベッドに腰をかける。


疑問ばかりの脳内の隅に準備を終えたという達成感がある。


そこでコンコンとノックが聞こえる。

家にいるのは凛花だけのはずなので、凛花であることは確定していた。

「僚太、準備出来た?」

その通り凛花だったのだが、雰囲気がいつもと違った。

「・・・・・・もしかして、大人っぽくっていうの真に受けたの?」

そう、いつにもまして大人っぽかったのだ。

まず、服装だが、普段が派手というわけではないが、今日はいつにもまして落ち着いて見える。

そして、目を引くのがいつもと違う化粧である。

具体的に何が違うかと言われると、詳しくないため分からないが、こちらも大人っぽく見えている1つの要因だろう。


「僚太はいつも通りだね。これだと、姉弟に見られるかもね」

「そうはならないでしょ、さすがに」

なぜだろう、そう思われたくないという思いがあった。



その後、凛花が僕の服装を大人っぽくすると、スーツケースに入れた服も出していた。

「服、少ないし、ほぼ同じじゃん?」

その通りであり、普段は上下3着ずつしか持っていない。

おそらくそれを見越してお母さんが新たに2着買っておりそれがスーツケースの中に入っていた。

僕がスーツケースを使わなかったときにどうする予定だったのかは気になるが、以前ペアルックとして買った服があるのでそれで計6着ずつになっている。


そこにお母さんの策略を感じる。

実は何度かペアルックの服をもっと着たらと言われていた。

今、洗濯に出している服を除くとこれで計5着。

お母さんは昨日ペアルックを着ていかない事を見越して旅行中に強制的に着せるという作戦を実行したのだろう。

実際、3着ずつあれば、毎日同じ組み合わせにはなるが、回せるのだ。

僕はそこまでこだわりはないため、それで全然支障がなかった。

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