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閑話 ホワイトデー

遅れましたが、ホワイトデーの閑話です。

今回は2話分の文量で書いているので少し細かく書けたかな、なんて思ってます。

1話分で書こうとしてたのですが、全く収まりませんでした。


明日6時には3話分の文量で投稿しますので読んでいただけると嬉しいです。

貴史は今、最近新たに作られた売場の場所に来ていた。


そう、ホワイトデー用のチョコやら様々売っている場所だ。

自分で作るということも考えたが、部活等で時間がないため買うことにした。

言わば時間短縮のために買いに来たわけだが、あれこれ見ている内に既に30分位は経っている。

長い時間いたからか、

「あ、部長、お疲れさまです。やっぱりモテるんすね」

そう言いながらテニス部の後輩が通りすぎていった。

気が利く後輩で助かった。

もし、誰に渡すのかとかまで聞かれると部活中に話題を出される。

初めに沙羅さんと会った練習試合を皆知っているため厄介だ。


それに今の関係は自分でもどう表現して良いのか分からない。

恋人、ではない。

かといって友達か、と言われるとそれもまた違う気がする。

親友は近い気もするがやっぱり違う。

そんな関係、と言ってもパッとしない。

客観的に見ると友達のような関係なのではないかと思う自分もいる。

ただ、そうは思いたくない自分もいる。



そんな関係性のことを考えていると更に時間はかかり、結局1時間して決めたのだった。


買ったのは良いが、まだホワイトデーの前日。

どこかで保管しなければいけないわけで、当然家に持って帰ることになる。


「あら?貴史、もうグリップ無くなったの?」

お母さんが聞いてくる。

確かに僕が買って帰るものといえばテニス用品位しかないが、グリップと決めつけられると何か他のものも買った方が良いのかも、と感じてくる。

「いや、グリップじゃないよ」

ホワイトデー用と伝えるのはさすがに恥ずかしかったため即座に自分の部屋に持って帰り言及を避ける。



そんな貴史を見て、

「何を買ってきたんだ?」

父親が不思議そうにする。

それを見て、

「明日、誰かに渡すんじゃない?」



こうして翌日を迎えた。

天気はとても良く冷たい空気とあいまって暖かい日差しを感じる。


今日は平日のため学校がある。

そのため部活を早退して渡しに行くことにした。

先生にも早めにその旨を伝えに行き、準備を万全に備える。


そうしている内に時間は過ぎていき、早めに部活を抜けた。

荷物を背負い家まで走って帰る。

鍵を開け家に入り、すぐさま自分の部屋へ。

そうして汗の処理をいつもよりも入念にして着替える。

本当であればシャワーを浴びておきたいところではあったが、そんな時間はなかった。

急いでいる理由は単純で沙羅さんに会うには学校に行って出てくるところを待たなければ他にないということ。

一応、コネイトで学校の入り口で待ってもらうように連絡はしているが、あまり待たせたくなかった。

少し早めの方が良いと準備が出来るとすぐに家を出て駅へと急ぐ。


その勢いのまま電車に乗り、隣町に向かっていくのだった。



校門で待っておくように連絡が来たのは昨日だった。

おそらくバレンタインでチョコをあげたお返しだろうというのは日付的に理解できた。

ただ、逆に貴史を困らせてしまったのではないかと今更ながらに不安になる。

と同時に、それのお陰で会う機会がまた出来たため、なんとも言えない気持ちになっていた。


そんな気持ちのせいか全く寝付けず今日に至る。

寝不足のせいか頭は少しボーっとしており、目を閉じていれば自然と眠りにつけそうである。

そんなボーっとした中で、隈が出来てないか心配になっており、授業なんてほとんど覚えてない。

それどころか、

「立花、今日の部活は休んでしっかり休みなさい」

部活中も全然思ったように練習できず、皆から心配され、強制的に帰らされる始末。

そんな中校門で待っていると何してるんだ、という話になるため、貴史さんに断りの連絡を入れると、

近くでコネイト特有の着信音が聞こえた。

そちらに目を向けるともうすぐ近くに貴史さんの姿があり、スマホを見ていた。


「大丈夫ですか?」

コネイトで体調が悪いことを伝えたためかちょっとあった距離を走って近づきながら話しかけてくる。


今日はもう、会えないと思っていた貴史に会ったためか安心した沙羅は目眩に襲われ貴史の方に倒れかける。

貴史がさすがの反射神経でそれを支える。

「あ、ごめんなさい。それ、ホワイトデーのですよね?わざわざありがとうございます」

「こちらこそバレンタインの時はありがとうございました」

「本当にありがとうございます。でも、すみません。今日はこれで」


沙羅は少しでも早く、貴史に帰って欲しかった。

こんな体調が悪いときに会いたくなかった。

「良かったら送っていきましょうか?」

「そんな、大丈夫ですって」

「肩貸しますね」

拒否する沙羅の片手を首にかけ支える。


沙羅に取っては少し高すぎたが、安定しており、不思議と安心感があった。



家に着く頃には体調は少し良くなっており、

「それじゃあ、僕はこれで」

家の前で帰ろうとする貴史に

「良かったら送っていきましょうか?・・・・・・なんちゃって」

冗談を言えるほどになっていた。

その冗談に貴史は苦笑しつつ、少し安心した様子で帰っていったのだった。

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