合格発表
合格発表を行うというアナウンスが流れると受付前には先程同じ部屋で試験を受けた人達が集まっていた。
◆
結果発表は全員が集まったのを見計らったように急にうつされた。
よし、という声よりも安堵の長い息が出た。
結果は合格。
他の3人の表情を見ると全員受かったであろうことがわかった。
ホッとしていると合格者は・・・・・・というアナウンスが流れてきたためそれに従い動くことになった。
◆
こうして様々な手続きを終え免許センター内にある食堂のようなところで昼食を食べることになった。
今回はテーブル席でちゃんと4人で座れる席があったためそこに座りそれぞれが食べたいものを注文する。
僕と凛花はざるそば、貴史はカレー、沙羅はトンカツ定食である。
凛花が僕を真似てざるそばを頼んだのは言うまでもない。
注文の後はそれぞれスマホを触っていた。
皆も家族に合格したことを報告しているのだろう。
実際のところ何も言われていなければ連絡しなかったかもしれないが、ちゃんと報告するように釘を刺されていた。
報告しないとご褒美は無しだそうだ。
あまり期待はしていないが、ここまでやって無しにするのはもったいない。
それに楽しみにしている凛花にも申し訳ない。
少しすると皆報告し終えたのか話し始めた。
「何点だったのか教えてもらえないのかな?」
凛花の問いに答えられる人は誰もいない。
皆これが初めてであり、経験のある人はいないためだ。
「合格したから点数は別に良いんじゃない?」
僕としては合格したのなら点数は別にどうでも良かった。
「僚太はそうでも立花さんはそうもいかないんでしょ」
貴史がそう言う。
「凛花は点数にこだわるもんね」
沙羅はちょっと引き気味にそう言う。
友達の沙羅からしても凛花の点数へのこだわりはすごかった。
もう一回同じテストを受けるのではないかと思うほど間違えた場所をしっかりと直し、更には教科書やワークから同じような問題を探しだして解く。
また、100点をとってもその復習を欠かさない。
「だけど、最近はあまり気にしてないよね?」
それが沙羅が気になっていたことであった。
それが、今回は点数を気にしている、ということに頭の中にはクエスチョンマークがいっぱいだ。
「気にする必要がなくなったからね。今回はこの中で誰の点数が高かったのか知りたくなって」
「やっぱり立花さんが一番高いんじゃないんですか?」
凛花の答えに貴史が一番可能性のありそうな事を言う。
「僚太も同じ勉強をしてるからね」
確かに同じ勉強をしており、更にどちらも合格しているということは最大でも5点しか差がないということ。
「・・・ありがとう」
僚太の誰にも聞こえないように呟いたであろう声が凛花の耳に微かに届いていた。