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腹筋

「え?」

凛花が声をあげる。

僚太の足を押さえるというのはつまり普段よりも密着するということ。


初めて二人で買い物に行った時の電車ではすごく密着していたがあれはビギナーが張り切りすぎた的なやつだ。

それ以降自分から密着することはあまりなかった。

昨日ハグをしたがあれはふんわりとそっと触れる感じだった。

それに対し今回のはしっかり固定しないといけないためそういうわけにもいかない。



「足固定しないと腹筋にならないでしょ?」

さも当然というように加奈が言う。

確かに腹筋は学校の体力テストでも足を固定して行う。

だから、加奈の言うことは正しい。

正しいのだが、違う点は学校では同性でそれを行うということ。


「補助は良いって」

僚太はそう言いながらそのままベッドに寝転がる。

そして、そのまま腹筋を始めるが、

「足、浮いてるよ?」

加奈のその言葉に僚太は体から力が抜けたように倒れ、足を伸ばした。


「やっぱり補助いりますよね?」

僚太が足を浮かせながら何度か腹筋をしている間に凛花の心の準備ができていた。



凛花が僚太の両足首を手で押さえている。

その状態で始まった腹筋だが、

「押さえる力が足りないね。もっと体重をかけよっか。それこそ膝で爪先を踏んで押さえても良いよ」

加奈の提案、それはもっともであった。

学校でもそのように足を固定することもある。


ただ、それをするとなるとやはり距離が近くなるため凛花はそれを躊躇った。

しかし、やると言った以上引き下がる訳にもいかず恐る恐る膝立ちで僚太に近づき、痛く無いようにそっと膝を爪先の上へ。

そして、先程より少し高い位置で僚太の両足を持つ。

先程は靴下の部分であったが、僚太の靴下はくるぶし上辺りまでしかなく今回持った位置は素肌である。


色々な緊張が凛花に押しかかる中、僚太の腹筋が始まった。



「良い感じだね」

加奈が僚太の腹筋の様子を見ながらそう言う。

すると僚太は体を起こした状態でキープし、

「これって結局何回すれば良いの?」

「う~ん。11回位?」

11という微妙な数字に僚太は一旦体の力を少しづつ抜き完全に寝転がる。

そして、その微妙な数の理由を僚太が聞くと、

「今9回位だから?」

実際のところ僚太、凛花共に十数回、なんなら20台にいっているのではないかと思っていた。


「1・・・・・・2・・・・・・3・・・・・・」

僚太の腹筋のカウントが正式に始まった。

そのカウントの進み具合は数を重ねるごとに少しづつ遅くなっていく。

その代わりにこの部屋にいる3人の内二人の心拍数が数を重ねるごとに速くなっていた。


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