銭湯 3
銭湯はお盆の時期で帰省している人も多いため普段よりも賑わいをみせている。
と言っても普段は知らずこの時期に来ることがほとんどなためそれは知らない。
よく考えてみれば凛花と裸の付き合いをするのは初めてである。
友人に聞くと銭湯は恥ずかしいから行かないと言うが、幼い頃から毎年来ているためそういう感情を抱いた事が無かった。
それもあり、凛花に聞いてみる事にした。
「凛花ちゃんは銭湯は好き?」
「好きといえば好き・・・ですかね」
その曖昧な答えにもう少し聞いてみる。
「実は最近初めて銭湯に入ったんですけど、気持ち良かったのと考え事をしてたのもあってのぼせかけてたんですよ」
今日は気を付けないとと言う凛花に加奈はふと気がついた。
最近初めて行った点、そこで考え事をしていた点そこから考えると一番あり得るのは・・・・・・
「今日は大丈夫だよ。皆で入って皆で出るから」
「お願いします。考え事は出来るだけ控えます」
その答えに加奈は思わずにっこりしてしまう。
「ど、どうしたんですか?私、変なこと言いました?」
突然笑われた凛花は慌てたようにそう聞く。
「ごめん、僚太が幸せ者だな~と思って、そう思ったら嬉しくて」
凛花としては考え事が僚太の事であるということを隠すつもりは無かったが、まだ言っていなかったのにバレてしまい少し恥ずかしくなる。
「考え事増やすようで悪いけど、僚太は例の約束を本当に大事にしているよ。
後、あのハグ嬉しかったって」
ここぞとばかりにすぐにでも伝えたかった情報を提示する。
「・・・・・・やっぱり考え事しちゃいそうです」
素直な凛花に可愛く思えた加奈はまるで凛花のことを妹のように見始めていた。
「大丈夫だよ。考える時間がないくらい質問攻めしてあげるから」
加奈は今回僚太を振り向かせる作戦を考えるよりも凛花のことを知りたいと思っていたのだった。
◆
美奈子さん、お母さんの気遣いによりお母さん達とは少し離れて入ることにした私たちは私の宣言通り私が質問をして凛花が答えるという流れを繰り返していた。
それで、会話が途切れないのはそれだけ加奈が凛花に興味があったということである。
「それで、何で今も僚太が好きなの?」
「それは・・・・・・」
これまでの質問は好きな食べ物は?的なものだったためすぐに答えていた凛花であったがこの質問で初めて止まった。