作戦会議
「全く分からないんですか?」
凛花がこう聞いたのは加奈が何か知ってそうだったからである。
「私としてはこれかな~、ってのはあるけど確証はないからね」
凛花の感じたように加奈には思い当たる節があるようだった。
「教えてください」
加奈は凛花の勢いに押され、
「教えるから」
そう言いながら両手を前にだし凛花を一旦落ち着けようとする。
「あ、すみません」
その様子に凛花は自分が勢い余っていたことに気づき、謝る。
「良いよ。それで、単刀直入に言うけど、僚太と結婚以外の約束もしてるんじゃない?」
「え?」
当時の記憶を思い起こす凛花。
結婚の約束の印象が強すぎて他にも約束をしたことを覚えていない。
「・・・・・・分かりません」
数分考えた後、やはり分からず正直にそう告げる。
「そっか。明るくなった頃から夢でよく昔のことを見るようになったって聞いたからもしかしてと思ったんだけど、まあ、昔の話だししょうがないよね」
「でも、本当に私との約束が原因なら無理させてしまってるんじゃ」
加奈は感心するように凛花を見る。
「普通は自分が好きな人に影響を与えてるって嬉しいことだろうに、僚太の心配が出来るのはすごいね。
美奈子さんがイチオシするわけだね」
「そうなんですか?」
自分がイチオシされていると知らなかった凛花は加奈に聞き返す。
「そうだよ?じゃないと美奈子さんは必要以上に二人が近づくことを避けるはずだしね」
「そう・・・・・・ですかね」
そこに関しては自信を持てない凛花。
「そうだよ。だって、自分の子の将来がかかってるんだから。それに、美奈子さんは慎重な人だから、簡単にはそうしないはずだよ」
確かにと思う。
短い期間ではあるが美奈子さんが慎重なのはよく理解できた。
それなのに私が僚太と何かしたりするときは背中を押してくれていた。
「僚太を振り向かせるにはどうすれば良いですかね?」
美奈子さんからの期待を感じそれに応えるべくそう聞く。
「それじゃあ、こんなのはどう?」
すんなりと作戦が出てきた所を考えると、元々考えていた内容なのだろう。
「それは、さすがに・・・・・・」
恥ずかしそうにそう言う凛花に加奈は心配しなくても良いという。
「だって・・・・・・・・・」
その理由に少しの拒否感を感じると共にそれなら出来ると思う凛花であった。