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僚太の過去

「寝ちゃったね」

「寝ちゃいましたね」

僚太が部屋に入っていく姿を見た二人がこっそり扉を開け僚太が寝たことを確認した。


「連れ回しすぎましたかね?」

「今から耐性つけてもらっておいたら今後の買い物で文句言われなくて済むよ」

この発言に凛花はもしかして、と気づく。

「もしかして」

「あ、違うよ。これはお母さんが常々言ってることをそのまま口にしただけ」

思ったことを素直にそのまま聞こうとした凛花だったが、加奈にすぐに否定される。

「本当ですか?」

「本当だって」

「じゃあ、そういうことにしておきます」

このやり取りで加奈はあることに気づく。


「もしかして僚太をからかったの怒ってる?」

「別に怒ってはないです。ただ、羨ましいとは思いましたけど・・・・・・」

やっぱり気が合うなと思う加奈。


「ちょ、ちょっと、なに笑ってるんですか?」

「何でもない。それより今度は凛花ちゃんの部屋で話そうよ」

「絶対何かありましたよね?・・・・・・でも、私の部屋は狭いのでこういうのはどうですか?」


凛花が提案したものは加奈にも興味があるものだった。



「ここです」

「へ~、ここが。これは僚太が驚きそうだね。ていうかこの中こうなってたんだ」

「家具も何もないですけど」

「良いよ、良いよ。それでどんな話が聞きたいの?」

「僚太が・・・・・・」

「やっぱり、僚太が暗くなった時期の話が聞きたいんだね」

加奈は分かっていたと言わんばかりにそう言う。

僚太の家から出た時点で何となく察していたのだ。

「はい」

「私も断片的にしか知らないけど、」

そう言いながらも加奈は僚太の過去について語り始めた。



僚太の声により感情を読み取る力は小学校のあるときに偶々クラス全員が知ることとなる。

学校でとある喧嘩が起きた際、どちらかの言い分が嘘でないと辻褄が合わなかった際、僚太がどちらが嘘をついているか見破ったのだ。

僚太はその子が嘘をついているとしか言わなかったが、その後その子が嘘をついた証拠が偶々出てきて僚太は注目の的になる。


そこまでは良かったのだ。しかし、その嘘を見破られた子が広めた噂によりそれは正反対となる。



その内容はあまりにいい加減な言いがかりであったため加奈もよく覚えていないと言いつつ、眉間にシワがよっているのを見ると今でも許せていないことがわかる。


「それで、無視され続けたのがきっかけで僚太は・・・・・・・・・2、3年はそんな様子で一時はこのままうつ病になるんじゃないかって心配してたんだけど、」

「どうなったんですか?」

「それが、きれいさっぱり忘れたみたいに急に明るくなったんだよ。まあ、暗い時期が長かったからそう感じただけかもしれないけど、美奈子さんも伯父さんもそう感じたって言ってたよ」

「何があったんですか?」

「それは、本人しか分からないと思うよ?美奈子さんも伯父さんも知らないって言ってたから」

それを聞いて何があったのかあらゆる可能性を考え始める凛花だった。

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