明るくなった?
翌朝、朝食を食べ終わった頃、加奈姉と叔母さんがやって来た。
今日は僕、凛花、加奈姉で外出することになった。
それは、お父さんは仕事、お母さんと叔母さんは二人で買い物。
それで、三人が余ったのである。外出する必要はなかったのだが、二人が行く気満々でついていくしかなくなっていた。
出来るなら留守番したかったけど、二人がそれを許してくれなかったのだ。
◆
来たのは家からそう離れていない場所にあるショッピングモール。
6階建てで、この辺りでは一番大きい商業施設と言えるだろう。
「久しぶりだな~ここに来るの」
「一年前も来てたでしょ」
「一年ってやっぱり長いもんだよ?」
急にまともなことを言い出したな。
確かに、一年は長いかもしれないがこのショッピングモールを久しぶりと感じるには短い気がする。
「ここでは何を買うんですか?」
「服とか?」
あ、これ決めてないやつだ。
ついでに時間がかかるやつだよ、多分。
◆
ここに入って1時間ほど経過しただろうか。
今は5階の100均にいる。
二人は1時間立ちっぱなしで買い物をしているにも関わらず未だに元気だ。
僕はそろそろ足的にも精神的にもきつくなってきている。
しかし、この状況を打開する作戦を思い付いた。
「そろそろ、お昼だし帰ろう?」
「別に帰らなくても良いじゃん。1階で弁当とか買って6階のフリースペースで食べられるし」
加奈姉が事も無げにそう言ってきた。
・・・・・・・・・まさか、午後まで続くのか?
◆
結局1階の食品売場でそれぞれ弁当とジュースを買い、6階のフリースペースにある机に弁当ジュースを置き、椅子に座っていた。
なお、一つの机に四つの椅子だったため凛花と加奈姉が隣、その対面に僕、僕の隣の空いた席に凛花と加奈姉のバッグが置かれている。
「すみません、私、先にお手洗い行ってきます」
「僚太、少し明るくなったね」
凛花が居なくなったのを見計らって加奈姉が話しかけてきた。
「そんなに変わってないでしょ」
「そんなことないよ。だって前はもっと素っ気なく対応されたし」
そう言われると少し申し訳なく思えてくる。
素っ気ない態度をとっている自覚はあった。
「今も素っ気ないでしょ」
そして、それは今もだ。
「大分マシになったと思うけどね・・・・・・やっぱり、凛花ちゃんのお陰かな?」
「そんなこと、ない・・・・・・と、思うけど・・・・・・」
「その反応は、やっぱり・・・・・・」
「すみません、お待たせして」
加奈姉が何か言いかけたタイミングで凛花が帰ってきた。