大富豪×王様ゲーム
大富豪は改めて説明する必要もないと思うが、簡単にいうと相手が出したカードより強いカードを前の人が出した枚数で出していくというゲームだ。
その中に8を出すとやぎりとなり強制的に場のカードを全て流し、改めて自分から出すことができるものや、11を出すとイレブンバックとなりそのターンのみ弱いカードほど強くなったりするルールが追加されている。
後は、4枚同じカードを同時に出すと革命が起こりそれ以降常時イレブンバックの状態になるというルールもある。
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「3を出して、やぎって12で一抜け!」
加奈姉はイレブンバックの状態でジョーカーを除くと一番強い3を出してからの流れ技で勝負を決めた。
この時点でジョーカーは2枚とも使われていたため確定で加奈姉が連続してカードを出せたのだ。
残された12のカードの上残りの手札一枚を出す。
出したのは13。ギリギリだったが、2位はとれた。
「負けた~」
「大貧民(最下位)は確か大富豪(一位)の命令を一つ聞かないといけないんだよね?」
何だ?その王様ゲームみたいなルールは。
「そんなルールがあったんですね」
いや、ないだろ。
あったとしても次のゲームの開始時に大貧民と大富豪が強いカードと弱いカードを交換する位だろう。
「あるんだよ。そうだな、じゃあ今回は僚太にハグする」
え?巻き込まれた?
「分かり、ました」
え?本当にやる気?
色々驚き過ぎて声が出ない。
声が出せないまま本当にハグされた。
どうすれば良いのか分からなかったが、加奈姉がジェスチャーで背中に手を回せとやってくるため、そっとそのようにした。
顔の近くにきた凛花の髪からうちのシャンプーの匂いがする。
ただ、自分が使っているシャンプーと本当に一緒なのか疑いたくなるほど違った匂いに感じた。
ふれあっている部分がジワジワと温かくなっていっているのが分かる。
こういうどうすれば良いのか分からない状況でも無駄に頭は回る。
今回の場合ハグしてきた凛花の情報を様々な感覚から感知し情報が脳に届いている。
長めのハグは凛花が僕から離れたことで終わった。
「それじゃあ、2回戦しよっか」
加奈姉は僕たちのハグが終わったのを見計らってそう言った。
既にトランプをシャッフルし、三分割していた。
ハグが長かったというよりも加奈姉の準備が早かったという方がしっくりくるだろう。
また、王様ゲーム的な内容があるかもしれないと本気で挑んだ結果またしても2位。
1位は加奈姉で凛花に何をさせるのか心配になっていたのだが、先程ので満足したのか何も命令せずに次のゲームを始めたのだった。