作戦会議?
「一緒に策を考えよっか」
「良いんですか?」
「もしかして、私も僚太のことを異性として見てると思ってる?」
凛花は頷く。
もちろん親戚のため結婚等は出来ないが初めの光景を見るともしかしたらと思ってしまっていた。
「それはないよ。でも、分かるでしょ?こうしたくなる気持ち」
そう言われるとこの人やっぱり・・・・・・と思ってしまう。
「あれ?もしかしてまだ知らない?僚太の秘密」
「感情、のことですか?」
あえて感情というだけに止めた。
親戚であっても知らない可能性がある。
「そう、それ。それが原因で周りの友達だった人から除け者にされて精神科にまで・・・・・・
ハグしてあげたくなるでしょ?」
一理あると言って良いのかは一先ず置いておいてこの人は距離感がおかしいということは断言できた。
「・・・・・・はい」
しかし、自分も同意できてしまうのが怖い。
「それで、作戦を立てるんだったね。私があの約束のことを小突いてみようか」
「あの約束?」
念のため、聞いておくことにした。
「う~ん、聞かない方が良いと思うよ」
その答えでその約束というものが自分が考えていた約束と同一であることがわかった。
「結婚の約束ですか?」
「あれ?知ってたんだ」
りょうちゃんは幼さゆえかもしれないが周りの人には一通り約束の事を話しているようだ。
「その・・・・・・私なんです。結婚の約束をしたの」
「え?」
加奈の驚きの声と共に静寂が長い間流れ始める。
「・・・・・・その事、僚太には?」
「言ってないです」
「もしかして幼馴染み同士の恋愛的な?」
凛花はその幼馴染み同士の恋愛というのがどのようなものを指しているのか分からず首をかしげる。
「端的に言うと、今さら素直になれないとか、昔じゃなくて今を見てほしいとか」
後の方はドンピシャだった。
更に言うと今さら素直になれないというのも後戻り出来ないようにするために最近覚悟を決めたばかりであるため当てはまらなくもない。
「なるほど、そういう感じか。難しい恋をしてるね」
頷いて良いのかも分からず苦笑する。
「それに相手が僚太なのも手強いね。あの子約束は絶対に守るからねぇ」
「やっぱり昔からそうなんですか?」
「私の記憶では約束を破っている事は見たことないなぁ」
「僚太くんの話、もっと聞かせてください」
自分が知らない僚太を加奈が知っている気がして尋ねた。
◆
「ご飯を食べに行くぞ」
二人が僚太の話をしていると遠くからその声が聞こえた。
こうして結局作戦を考えることは二人とも忘れていたのだった。